■要約

イノベーション<3970>は、法人営業の生産性向上に寄与するインターネットを活用したマーケティング支援サービス事業を展開している。企業が利用するIT製品の比較・資料請求サイト「ITトレンド」(資料請求件数に応じて売上げが発生する成果報酬型ビジネスモデル)を中心としたオンラインメディア事業と、中堅・中小のBtoB企業を対象としたマーケティングオートメーション(以下、MA)ツール「List Finder」を提供するセールスクラウド事業が2本柱。2016年12月に東証マザーズ市場に上場した。

1. 2017年3月期の業績は過去最高益を達成
2017年3月期の業績は、前期にマーケティング代行事業の撤退・譲渡を実施した影響で、売上高が前期比3.6%減の1,257百万円となったが、主力事業であるオンラインメディア事業やサービスクラウド事業がいずれも好調に推移したことで、営業利益は前期の3百万円から172百万円と大幅増となり、過去最高益を達成した。

2. 2018年3月期は成長に向けた積極投資を行いながらも増収増益を見込む
2018年3月期の売上高は前期比17.3%増の1,475百万円、営業利益は同14.5%増の197百万円となる見通し。利益率が若干低下するが、これは今後の成長に向けた積極投資を計画しているためだ。具体的には、広告宣伝費を前期の1百万円から50百万円に拡大するほか、新たに開設した開発拠点、Sales Tech Lab.(セールステックラボ)の投資費用として34百万円を見込んでいる。これら費用増がなければ営業利益は約280百万円、前期比で60%以上の大幅増益となる計算で、実質的には今期も高成長が続く見通しとなっている。

3. 「ITトレンド」の高成長が続く見通し
ここ数年のクラウドサービス市場の拡大により、IT製品の導入コストが安価となったことで、中小企業におけるIT製品の導入意欲も高まり、「ITトレンド」のような製品比較サイトで調べて、資料請求する流れが広がってきている。「ITトレンド」は比較・資料請求サイトとして業界トップクラスの集客数を誇っているが、今後も圧倒的なポジションを築くべく、掲載する製品数やカテゴリー数の拡充に注力していく方針だ。現在、業界では約1.3万件のIT製品があるが、このうち「ITトレンド」の掲載品目数は約1,400件(企業数で約400社)しかなく、拡充していく余地は大きい。特に、販売チャネルを持たない中小のIT製品開発企業にとって、「ITトレンド」を使って見込み顧客を獲得できるメリットは大きく、今後も掲載品目数の増加やサイト来訪者数の増加によって、同事業の収益は2ケタ成長が続くと弊社では予想している。

4. 中堅、中小のBtoB企業向けに特化して「List Finder」を伸ばす
BtoB企業向けのクラウド型MAツールとして、「List Finder」は導入企業数で国内トップの実績を誇る。シンプルな機能で使い勝手が良いこと、月額3万円からの低額で利用できること、MAツール提供会社として、国内で初めてクラウドセキュリティの国際規格「ISO/IEC27017:2015」の認証を取得するなど、セキュリティ面での信頼性が高いことなどが背景として考えられる。MAツールは企業のマーケティング活動における生産性を向上するツールとして今後も年率2ケタ成長が見込まれる成長分野であり競争も激しいが、同社では展示会やセミナーでの販促活動やインサイドセールスなどマーケティング施策を強化していくほか、製品の機能向上、他社システムとの連携を図ることで2ケタ成長を目指していく方針だ。

5. 株主還元として、配当金や株主優待なども今後検討
今後の株主還元策としては、配当金や株主優待などは検討しているが、現在は新技術・新サービスの開発に積極的に投資している。また、株式の流動性を高めるとともに、株主数を増やすことを目的に2017年6月末に1:2の株主分割を実施することを発表している。

■Key Points
・BtoB企業向けに特化した営業・マーケティング支援サービス事業を展開
・18/3期は積極投資で利益率は若干低下するが、過去最高業績が続く見通し
・既存事業の成長に加えて新規事業の創出により高成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 イノベーション Research Memo(1):「ITトレンド」と「List Finder」を両輪として高成長が続く