■要約

ヘリオス テクノ ホールディング<6927>は旧フェニックス電機(株)が経営統合や事業譲受等を経て、2009年に社名変更して誕生した。会社分割によって現在は純粋持株会社となっており、傘下の事業会社において、ランプ事業、製造装置事業及び人材サービス事業の3つの事業を展開している。

1. 2017年3月期は実質的に増収増益で着地。製造装置事業が順調に拡大
同社の2017年3月期決算は、売上高17,117百万円(前期比33.6%減)、営業利益1,386百万円(同17.3%増)と減収ながら大幅増益で着地した。減収は前期の一過性の大型案件の反動で、それを除けば約22%の増収だった。露光装置用光源ユニットや液晶パネルの配向膜製造装置、精密インクジェットプリンター等、収益性の高い製品が売上を伸ばしたことが増益につながった。

2. 中長期の成長戦略はM&A・事業提携や新製品の拡販等が基本戦略
同社は中長期の成長戦略として、1)M&A、事業提携、2)新製品の開発・拡販、3)既存事業分野のサービス収入の拡大、の3分野を掲げている。各事業会社がそれぞれ取り組んでいるが、全般的には順調に進捗しており、収益貢献が具体化しているものも多い。同社が最も期待をかける半導体製造装置事業への進出は、中国企業やファンドとの間で基本合意が出来ている状況にまで進捗している。

3. 精密インクジェットプリンターが60台超の大型受注を獲得
成長戦略の各施策の中で進捗が最も顕著なものは、製造装置事業における新製品の精密プリンター(HRP)だ。2017年3月期にはHRPの受注を一挙に60台超獲得した。売上計上は2018年3月期が予定されている。HRPの発注元や使途は様々で、現状は試作用が多い模様だ。弊社が期待する有機ELの量産向け受注は、まだ先のこととみられる。今後の一段の拡大に期待したい。

4. 2018年3月期も増益予想。主力の製造装置事業に上振れの可能性
2018年3月期通期について同社は、売上高21,900百万円(前期比27.9%増)、営業利益1,800百万円(同29.8%増)と増収増益を予想している。成長戦略として取り組む各種製品・サービスが2018年3月期には明確に拡大すると期待される。注目のHRPや保守・メンテナンス等の予想売上高を積み上げていくと、現在の会社予想は保守的との印象で、上振れの可能性があると弊社では期待している。

■Key Points
・M&A・提携や新製品等、3つの戦略で中長期成長を狙う
・HRPが60台超の大型受注を獲得。赤外線LEDやパワーデバイステスターにも期待が高まる
・2018年3月期は増収増益の見通し。製造装置事業では上振れる可能性も

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 ヘリオステクノ Research Memo(1):計画は順調に進捗。新製品のHRPが急拡大で2018年3月期も増収増益に