■業績動向

(1) 2017年3月期通期見通し

ヘリオス テクノ ホールディング<6927>は2017年3月期通期について、売上高17,400百万円(前期比32.5%減)、営業利益1,350百万円(同14.2%増)、経常利益1,290百万円(同10.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益850百万円(同5.2%増)と減収増益を予想している。

同社は第2四半期の好調な決算を反映し、通期予想を上方修正したが、この修正予想も、同社の現状に照らすと控えめな予想値だというのが弊社の見方だ。

ランプ事業では下期はLEDの拡大が期待される。同社は大手事務機メーカーとLED照明の販売代理店契約を締結した。下期からのスタートだが、既にその効果は出ているもようだ。また、アミューズメント分野のLED化の進展やニッチマーケットの開拓により、着実に販売が伸びている状況だ。MLS光源は第2四半期に引き続き下期も順調な納入が続く見通しだ。

製造装置事業は第2四半期に納入が集中したこともあり、下期は第2四半期比で減収となる見通しだ。また、前年同期対比でも大型中古移設案件の反動減で減収となる。しかし下期も、豊富な受注残を背景に、2018年3月期の検収に向けて装置の作り込みが続くとみられる。また、下期は新型のHRPの市場開拓と受注拡大の進捗も注目ポイントだ。

人材サービス事業は地域密着型営業による顧客基盤拡大と、既存客の新工場稼働の恩恵で、下期も安定した稼働が続くと期待される。

(2) 2018年3月期以降の考え方

前述のようにFPD製造装置の市場は2016年から2018年にかけて高水準が続くとみられる。同社自身も露光装置用光源ユニット(MLS)や配向膜製造装置の受注を通じて、同様の見方をしている。したがって同社の業績も2019年3月期までは現状の高水準が続くと期待される。しかし2017年3月期の業績水準は台南地震からの復旧工事で押し上げられている面もあり、ここからの増益を達成するのは決して簡単ではない。

2018年3月期以降に増益を実現していくうえではHRPの市場開拓と受注拡大がカギを握ると弊社では考えている。HRPはすでに実機が販売されている。また用途も液晶パネルや有機EL等多方面で活用できる。前述のように、曲面ディスプレイの登場が大きなきっかけになるとみられるが、それに限定されるわけではない。HRPの技術は同社特有というわけではなく、競合他社も存在するため、早期に注目市場を押さえてブランドイメージを確立するのが重要だと弊社では考えている。

中期的には、既納入装置に対する保守・メンテナンス(改良・改修含む)や中古装置移設事業の重要性が一段と高まってくると弊社では考えている。2016年3月期にあった大型の中古機移設案件や2017年3月第2四半期にあった台南地震の復旧特需は、将来の事業モデルのあり方を暗示しているように弊社では考えている。前述したように、ナカンテクノはリードテックを子会社化し20人近い熟練技術者を獲得したが、この意義は大きいと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ヘリオステクノ Research Memo(6):17/3期通期は減収だが2ケタ営業増益の見通し