日本政府は12月22日、2022年度の実質成長率見通しを7月時点の試算である+2.0%から+1.7%に下方修正した。一方、2023年度の成長率を+1.1%から+1.5%に上方修正した。この結果、2023年度の実質国内総生産(GDP)は新型コロナウイルス感染拡大前を上回り、過去最高になると試算している。

内閣府によると、2022年度は個人消費や民間住宅の見通しを下方修正する一方、設備投資や輸出、輸入は7月の想定より改善すると試算。消費者物価指数の前提は+2.6%から+3.0%に引き上げた。2022年度GDPは実質550.3兆円。名目ベースは560.2兆円となり、2019年度の水準を超える。2023年度の実質成長率は+1.5%に引き上げたが、民間予想の平均である+1.0%を上回った理由について内閣府は、「春闘による賃上げの影響」を評価しているようだ。賃上げ効果などにより、個人消費と設備投資の見通しを上方修正した。

市場参加者の間からは「2023年度の実質GDP予想値は世界経済など外部環境が大きく変わる可能性があることを織り込んだ数値ではないため、内閣府の見通しを額面通りに受け止めることはできない」との声が聞かれている。2023年度は日銀総裁の交代に伴い、イールドカーブコントロール(YCC)のさらなる修正やマイナス金利の撤廃などの追加措置が講じられる可能性があるが、一部の市場参加者は「内閣府の予想数値はそのような重大な変化を織り込んでいない」と指摘しており、実際の経済成長率が1%以下にとどまる可能性は排除できないと見ているようだ。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:日本政府は2023年度の実質GDP成長率を上方修正