岸防衛大臣は8月27日の記者会見で「英空母打撃群とは、7月11、12日にアデン湾において海賊対処共同訓練を実施したほか、8月24日には『米国主催大規模広域訓練2021(LSGE20121)』の後段部分において、初めて日本周辺で共同訓練を行った。さらに8月25、26日に海上自衛隊は『パシフィック・クラウン21−1』として英空母打撃群と沖縄南方海空域で共同訓練を実施した。海上自衛隊から「いせ」「あさひ」、英空母打撃群からは空母「クイーン・エリザベス」のほか駆逐艦「ディフェンダー」、その他米海軍の駆逐艦、オランダ海軍のフリゲート艦などが参加した。本訓練を通じ戦術技量の向上や各国との連携強化を図り、日英防衛協力が新たな段階に入ったこと、FOIP(Free and Open Indo-Pacific)の維持強化のため英国の関与が強固かつ不可逆的であり、わが国の安全保障のみならず、インド太平洋地域と国際社会の平和と安全の確保に資するものであることを示せた」と今回の英空母打撃群の寄港や共同訓練実施の意義を強調した。
英国政府は、2021年3月16日、欧州連合(EU)離脱後の安全保障、防衛、技術開発及び外交に係る今後の方針をまとめた「統合レビュー( Global Britain in a competitive age、The Integrated Review of Security, Defence, Department and Foreign Policy)」を公表し、英国の防衛は本国及びその周辺を重視しつつ、インド太平洋地域への関与を深める方針を打ち出した。2017年8月には、来日した当時のテリーザ・メイ首相が、安全保障協力に関する日英共同宣言において「日英両国は、戦略的利益並びに自由、民主主義及び法の支配といった基本的価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであることを確認し、アジア及び欧州におけるもっとも緊密な安全保障上のパートナーとして国際システムを維持すべく指導力を発揮していく」と力強いコミットメントを発表している。