この際、特に重要な国がフランスとイギリスである。フランスは仏領ポリネシアやニューカレドニアという海外領土を保有しており、中国の太平洋方面における活動の活発化は懸念事項である。イギリスも英連邦の宗主国というだけではなく、五か国防衛取極(FPDA: Five Power Defense Arrangements)の締結国である。同取極は1971年にイギリスがスエズ以東から軍を撤退させるに伴い、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール及びマレーシア間で締結された軍事同盟である。シンガポール及びマレーシアの安全保障を確保するために結ばれた条約であるが、両国の発展に伴い役割を徐々に縮小させていた。しかしながら、香港返還や中国の軍事活動の活発化を背景にその役割が見直され、国防大臣会合や合同演習を活発に実施している。イギリスのインド太平洋への関与の根拠はFPDAにある。