米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の予想通り政策金利据え置きを決定した。声明は前回から大きく修正された。次の行動に「辛抱強くなる」との文言が削除されたことから、早くて7月の利下げ観測が強まった。そのほか、見通しの不透明性が上昇したと指摘されたことや、成長を持続させるために行動することを強調したことが利下げ観測につながった。

さらに、ブラード・セントルイス連銀総裁が据え置き決定に反対票を投じ、0.25%の利下げを主張。パウエル議長が率いるFOMCとして初めての反対票となった。パウエル議長は反対票に関して、「健全だ」との見方を示している。会合後の会見では、パウエル議長は多くのメンバーが利下げの論拠が強まったと主張したことを明らかにした。

四半期ごとに発表される最新のスタッフ予測でもインフレや金利見通しが前回3月から大幅に下方修正されたことも利下げ観測を強める要因となった。個人消費支出(PCE)の見通しは2019年+1.5%(3月1.8%)、2020年:1.9%(2.0%)にそれぞれ下方修正された。また、金利見通しでは、年内2回の利下げを予想しているメンバーは7人、1回が1人。据え置き予想が8人。利上げ予想は1人。前回の予測では利下げ予想がなかった。今回の予測では全8人が年内の利下げを予想しており、見解が大幅に転換したことも明らかになった。

ハト派なFOMCの結果を受けて米国金利先物市場では現時点で7月の利下げを100%織り込んだ。ただ、パウエル議長は米中貿易協議の結果次第で利下げを見送る可能性を完全に排除したわけでもなく米中貿易交渉の行方次第で、金融政策にも影響を与える可能性は否めない。

■6月FOMCポイント

◎ハト派的要素

・経済活動
緩やかなペースで拡大(前回声明:堅調なペースで拡大)
・コアインフレ、インフレ期待
2%を下回って推移(低下し、2%を下回って推移)
・市場ベースのインフレ
「低下した」(前回)引き続き低い」
・景気見通し
「見通しの不透明性が上昇」「不透明性がインフレ圧力に」
・政策
「委員会は新たな情報による見通しへの影響を綿密に監視し、
強い労働市場、2%インフレ目標達成し、持続的な成長のために適切な行動」
(前回L:次回の政策には辛抱強い対応)
・ブラード・セントルイス連銀総裁が据え置き決定に反対票を投じ、0.25%の利下げを主張。
・FRB予測:PCE:2019年+1.5%(3月1.8%)、2020年:1.9%(2.0%)
・本年金利予想:年2回の利下げ:7人、1回利下げ:1人、据え置き:8人、利上げ:1人

◎タカ派
・消費
年初に比べて回復(消費や投資は第1四半期に伸びが鈍化)
・投資
弱まった(消費や投資は第1四半期に伸びが鈍化)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:市場は7月の利下げに備える