米国のトランプ政権は、貿易不均衡の是正に取り組んでいる。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の真っ最中でもある。人為的な通貨操作を強く批判。クリントン政権のルービン財務長官以降、米国の財務長官が繰り返してきた「ドル高は国益に叶う」との文言は、公正な貿易を望んでいるトランプ政権のムニューシン米財務長官からいまだ聞かれない。このため、米国政府がドル高政策を断念したのではないかとの見方は、政権発足当初から根強い。本年のドルが年初から下落した一要因でもある。

ムニューシン米財務長官はCNBCとのインタビューで、短期的に、ドルの動向は経済の違う部分で、プラス、マイナス両方の影響がでると指摘。貿易に関しては、ドル安はいくらか有利に働くと指摘した。特に、貿易赤字の縮小を目指しているトランプ政権にとっては重要な要因となるため、トランプ政権はドル安を望んでいると考えられる。

しかし、ムニューシン米財務長官は短期的な動向はあまり重要でないと強調。長期的には、強いドルは、外貨準備通貨であることや、米国経済への自信が表明された証拠になると述べた。良い、悪いの問題ではなく、必然的な結果だと説明した。結局、ドルの価値は市場が決めるとの見方が根本にある。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米政権からドル高スローガン聞かれず