株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の住宅設備機器市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年度の主要住宅設備機器(水まわり設備機器+水まわり関連設備機器+創エネ関連設備機器)の市場規模は、前年度比2.3%増の1兆9,868億円と推計した。

新設住宅着工戸数(国土交通省)は減少傾向にあり、住宅設備機器市場の3分野共に中長期的には成長の阻害要因となる。しかしながら、2023年度の水まわり設備機器市場は原材料費高騰に伴うメーカーの価格改定効果により、前年度比2.2%増となった。創エネ関連設備機器市場は、太陽光など再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来電力の自家消費需要の拡大で、家庭用蓄電システムや住宅用太陽光発電システム(PV:Photovoltaic)が好調となり、同8.1%増となった。一方、水まわり関連設備機器市場は、コロナ禍の巣ごもり需要の減少や流通在庫の増加などの影響で同1.5%減となった。

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2.注目トピック~住宅設備機器市場は高効率給湯器が成長ドライバーに

2021年に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2030年度以降に新築される住宅について、「ZEH※1基準の水準の省エネルギー性能の確保」「太陽光発電設備の設置率6割」が目標として示された。また、改正建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)が段階的に施行されており、2025年4月には戸建住宅を含むすべての建築物において、省エネ基準への適合が義務化される。

そのような状況下で、資源エネルギー庁によると家庭のエネルギー消費量の約3割は給湯が占めることから、高効率給湯器の普及促進が課題となっている。高効率給湯器のなかでも、エコキュート※2、ハイブリッド給湯器※3については、太陽光発電による余剰電力の活用先としても有望視されている。
近年、太陽光による発電量が増える晴天時に、電力の需給バランスを一致させるため、発電の出力を抑える “出力抑制” が頻発している。電気のムダとも言える出力抑制を防ぐためには、太陽光発電システムを導入している住宅(家庭)において余剰電力を活用する、すなわち自家消費の促進が有効とされている。そこで、エコキュートやハイブリッド給湯器を設置し、昼間の余剰電力を使用してお湯を沸き上げることで、再エネ発電電力を無駄なく活用しようとする動きが活発化している。エコキュート市場、ハイブリッド給湯器市場は今後、再エネ普及促進に連動し、拡大していくことが期待される。

※1.ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス:Net Zero Energy House)とは、断熱性能の向上等により大幅な省エネルギーを実現させた上、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入などにより、年間のエネルギー収支をゼロ以下にすることで、カーボンニュートラルの実現に寄与する住宅を指す。
※2.自然冷媒(CO2)によって吸収された空気を圧縮、高温化し、その熱でお湯を沸き上げるヒートポンプ式の給湯器。
「エコキュート」は、関西電力株式会社の登録商標(給湯器メーカーや電力会社が推奨する愛称)です。
※3.エコキュートと潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)を組み合わせた給湯器。基本はヒートポンプで沸き上げ、給湯需要が高まるタイミングではエコジョーズを併用する。

3.将来展望

2024年度の主要住宅設備機器の市場規模を前年度比3.0%増の2兆471億円と予測する。

水まわり設備機器市場は、価格改定の効果が継続しており、前年度比2.0%増の1兆735億円と予測する。
水まわり関連設備機器市場は同5.5%増の5,719億円と予測する。2023年度に積み上がった流通在庫は解消しつつあり、出荷のペースは回復に向かうとみられる。また、子育てエコホーム支援事業や給湯省エネ事業など補助金制度の実施により、食器洗い乾燥機や浴室暖房乾燥機、高効率給湯機などの販売の押し上げ効果も期待される。
創エネ関連設備機器市場は前年度から伸び率は鈍化するものの、引き続き住宅用太陽光発電システムや家庭用蓄電システム市場の伸長により、同2.3%増の4,017億円と予測する。

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調査要綱
1.調査期間: 2024年5月~7月
2.調査対象: 住宅設備機器メーカー、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメール等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2024年7月29日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】住宅設備機器市場に関する調査を実施(2024年) 2023年度の主要住宅設備機器市場規模は前年度比2.3%増の1兆9,868億円