株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の流通小売市場を調査し、現況や動向、また業種別32市場の現状と展望を明らかにいたしました。

1.市場概況

2020年の国内小売市場規模は前年に比べ微増したとみられる。新型コロナウイルス感染症拡大に対し、緊急事態宣言が2020年4月に発出され、小売店舗は営業自粛・時短営業、映画館や美術館等施設の休業、学校の休校、在宅勤務の拡大、移動・外出の自粛など、生活様式が一気に変化し、小売市場にも大きなインパクトを与えた。

コロナ禍では、同一業態、業種でもECに注力していた企業とそうでない企業で勝負が分かれた。コンビニエンスストア(以下、CVS)やドラッグストア、家電量販店などでは、都市部の昼間人口減少により、都市型の店舗展開をする企業よりは、郊外型の店舗展開を行う企業の業績が好調に推移する傾向がある。しかし、もともと都市型の店舗展開を行っていたとしても、実店舗に加えてECに注力していた企業は前年比プラスを維持している企業もある。食品スーパーやコンビニエンスストアなどの業態はこれまでEC展開が進んでいなかったが、ここにきて対応を迫られ、物流企業等と連携を図りながら取り組みを活発化させている。

2.注目トピック~分野別ラストワンマイルの動向

国内の様々な分野のEC化率が徐々に拡大してきたここ数年、各分野ではラストワンマイルの取り組みに変化が起こりつつある。セブンイレブンやローソンがラストワンマイル戦略を打ち出し、食品スーパーもネットスーパーの展開を加速、物流企業や総合ECモールと連携して配送を強化する動きもある。これまで様々な課題から積極的でなかった企業や、一度取り組んだものの取り扱う商品によっては運営が難しく撤退していた小売企業(食品など)も再度注目しているトピックスとなっている。

近年は、荷主(小売企業)も宅配企業も新しい取り組みをスタートさせ、また新規の配送プレイヤーも続々と登場している。各分野でのトレンドを見ると、GMS(総合小売店)や食品スーパーはEC展開の強化や物流拠点の拡充、店頭受け取りサービス等がラストワンマイル戦略として位置付けられている。CVSでは自社またはデリバリーサービスを活用した配送の短時間化や対応店舗の拡充が積極的に行われている。家電量販店やホームセンターでは即配サービスが強化されてきている。

家具専門店のニトリホールディングス(同社グループ会社のホームロジスティクス)、通販事業を手掛けるベルーナやフェリシモは自社で構築した物流ノウハウを活用し、他社のラストワンマイル配送を支援する外販事業(EC事業者などの物流・配送支援等)も行うといった展開をみせている。また、小売企業が自社で展開を強化するサービス以外に、大手物流企業も独自にこのテーマに注力するほか、新しい専門企業が宅配ロッカーサービス、置き配サービス、配達代行サービス等の展開を加速させている。

3.将来展望

2021年の国内小売市場規模も微増すると予測する。2021年も緊急事態宣言が発出されたが、2020年に比べて休業を実施する店舗は少なくなり、2020年に好調であった小売業態、業種はその傾向を維持している。ただ、2021年後半になり2020年の反動もあり陰りが見える小売業態、業種もある。テレワークの定着がありつつも、CVSなどでは都市部店舗の客足が回復しているところはあるが、依然として観光客需要は取り戻せていない。

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調査要綱
1.調査期間: 2021年10月~12月
2.調査対象: 日本国内の流通小売企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による文献調査
4.発刊日:2021年12月27日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】流通小売市場に関する調査を実施(2021年)2020年、コロナ禍の小売市場規模は前年に比べ微増