株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内における水素エネルギーシステム市場の現状及び今後の方向性を調査し、2030年度および2050年度の市場規模を予測いたしました。

1.市場概況

水素エネルギーシステムは、2017年12月に国の水素基本戦略が策定され、2030年および2050年に向けて導入目標を設定したことにより、国を挙げて水素利用に取り組み、世界に先駆けて水素社会を実現する取り組みが行なわれている。水素エネルギーシステム導入の最終目標は、CO2フリー水素を導入することと、調整電源として再生可能エネルギー電力の導入拡大を図ることにより、地球温暖化を防止することである。

2.注目トピック~家庭用FC(エネファーム)

家庭用FC(エネファーム)には、PEFC(固体高分子形燃料電池)とSOFC(固体酸化物形燃料電池)があり、FCセルの運転温度が異なっている。PEFCでは70~90℃であるのに対して、SOFCでは電解質にセラミック材料を使用することにより700~1,000℃と高温である。

PEFCエネファーム(700W機)は、新築住宅を中心に販売されてきている。ハウスメーカーでの採用も多い。最近では、ZEHスキームによる採用が増えてきており、PEFCエネファーム販売の半分程度は新築のZEH物件となっている。
SOFCエネファームは、小型・高効率のエネファームtype S(700W機)が販売されており、小型化によりスペースに制限のあるマンションにも設置可能となった。さらに、SOFCエネファームミニ(400W機)も製品化されて、これまで設置できなかった既築の戸建住宅や集合住宅にも設置可能とした。

今後の水素エネルギー社会では、都市ガス燃料のエネファームだけでなく、純水素のFCも含めて普及させていかなければならない。純水素FCでは、CO2フリー水素を燃料とすることになる。これまでは主に都市ガス会社がエネファーム販売を後押ししてきたが、今後、国内では誰が水素を供給していくかが課題になっている。

3.将来展望

日本における水素エネルギーシステム市場は、2020年度の952億円(製造:81億円、輸送・貯蔵:292億円、利用:579億円)の見込みから、2030年度には1兆2,289億円(製造:557億円、輸送・貯蔵:4,522億円、利用:7,210億円)、2050年度には3兆7,940億円(製造:1.620億円、輸送・貯蔵:8,550億円、利用:2兆7,770億円)に拡大すると予測する。

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調査要綱
1.調査期間: 2020年4月~8月
2.調査対象: エネルギー会社、設備メーカー、エンジニアリング会社、自動車メーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2020年08月31日

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情報提供元: Dream News
記事名:「 【矢野経済研究所プレスリリース】水素エネルギーシステム市場に関する調査を実施(2020年)~燃料電池自動車と水素ステーションが市場を牽引し、海外のプロジェクトが安価な水素サプライチェーンを構築と予測~