『一流の人はなぜそこまで、靴にこだわるのか? (Business Life)』
(クロスメディア・パブリッシング)
ビジネスシューズは種類は豊富にあります。
仕事や用途に適した靴を履いてこそ、一流のビジネスマンというものです。
「なんとなく見た目が好きだから」
「値段も高いから、いい品なんだろう」
などと適当に選んではいけません。ビジネスマンにとって靴とは長い付き合いになります。靴の種類を知っておけば、自分のスタイルや仕事に合ったものを選ぶことができるようになります。
と言っても難しいことは何もなく、少し靴の構造やパーツ、ビジネスシューズの種類などを知っておけばいいだけです。
「そんなの知ってる」という人も、せっかくなので基本のおさらいをしてみてください。
今回は靴を様々な角度から分類し、「長く履けるための条件」を探っていきます。
まずは手始めに、靴の構造と各部の名称を見てみましょう。これを正しく理解しておくと、靴選びはもちろんメンテナンスの際にも役立ちます。
①アッパー
ソール(靴底)やヒール(かかと)を除いた、靴の表部分の総称です。足の上半分を覆うため、ここには耐久性や柔軟性、通気性、吸湿性などが求められます。たとえ革が用いられていなくてもここを「甲革」とも呼ぶのは、牛革のような天然皮革がこれらをバランス良く満たす素材だからです。
②トウ
いわゆる「つま先」のことです。この部分の形状や長さ(トウシェイプ)が靴の表情を決める大きなポイントとなります。トウがアッパーとは別の革で覆われている場合は「、トウキャップ」もしくは「飾り革」といいます。もともとはつま先の保護・補強が目的でしたが、現在ではあくまでデザインの一部になっています。靴の名称は、トウキャップの有無や形状、装飾の違いで変化します。これについては後ほど詳しく説明します。
③シューレース
靴紐のことで、フィット感を微調整するのに不可欠であるとともに、実は靴の表情を引き締める役割もあります。
素材は、耐久性に優れる綿や綿・化繊混紡が主流ですが、発色に優れアタリの良い絹製も捨てがたい。表裏を気にせず通せる「丸紐」か、それともタイトな感触を得られる「平紐」か……。形の好みも人それぞれです。しかも、簡単に交換できるので、長さ、幅、色まで含めると相当にこだわれるパーツです。
④アイレット
別名「鳩目」。シューレースを通すための穴のことで、紐で締め上げる形状の短靴には、これが片足に2~6個、対配置されています。一般的には、鳩目の数が少ない方がドレス度が高く、改まった場にはふさわしいとされています。
⑤レースステイ
紐を取り付ける部分のこと。アイレットが備わり、シューレースを通す部分です。日本では「羽根」の名称を使う場合も多く、この部分が、アッパーの甲の部分に下へと潜る構造の靴を「内羽根式」、反対に上に被さる構造のものを「外羽根式」と呼びます。
⑥タン
レースステイの内側にあるアッパー部のパーツのひとつ。その形状から、日本では「べろ」「舌革」とも呼ばれます。足の甲への感触を和らげるとともに、埃除けや防水の機能としても機能します。
⑦ヒールカップ
足のかかとをぐるりと覆うエリアのことです。曲線的・直線的、それに小さめ・大きめなど、各靴メーカーの特徴が何気なく現れるところでもあり、この部分と足のかかとの「喰いつき」は、靴の履き心地を左右する重要なポイントになります。日本人は足全体の大きさに対しかかとが相対的に小さいため、ここが小ぶりにまとまった靴の方がフィットしやすい傾向にあります。
⑧ソール
厳密には、地面に直接触れる【A】「アウトソール(外底)」と、足の裏に直接触れる【B】「インソール(中底)」とに分かれます。
アッパーと同様に、ここにも高い耐久性や柔軟性、通気性、吸湿性が求められます。アウトソールであれインソールであれ、もともとはアッパーより厚い牛革を用いるのが常でしたが、今では様々な素材が使われるようになっています。
⑨ヒール
足のかかとの部分を下支えするパーツです。婦人靴ではここにプラスチックを用いる場合も多いのですが、紳士靴では主に牛革やゴムなどで構成されます。地面に接する部分は磨耗が避けられないため、定期的な交換が必要です。
⑩コバ
靴を真上から見たときに、アッパーの外側を取り囲むようについているアウトソールの外縁となっている部分のことです。その幅は靴の底付けのやり方や流行によって微妙に変化しますが、広ければ安定感、狭ければ繊細な印象が強調されるように思います。
以上、簡単な靴の構造の説明でした。
このポイントを知ったうえで、自分に合った靴を選んでいただけたらと思います。
足元で格の違いもけっこう出るものです。ただ高いだけ、見た目が派手なものを選ぶのではなく、履くだけでスッと背筋が伸びるような格式の高い靴をぜひ選んでください。