【図1】【図2】食物アレルギー対応の食事づくりの悩み
【図3】【図4】食物アレルギー発症に対する不安
【図5】食物アレルギー発症予防のための母親自身の食物除去
【図6】食物アレルギー対応をしていると便利だと思う食品
日清オイリオグループ株式会社(社長:今村 隆郎)は、2012年度から食育活動の一環として、食物アレルギーに関する実態調査を実施しています。今年度もアレルギー週間(2月17日~23日)にさきがけ、食物アレルギー疾患と診断されている離乳食期の乳幼児をもつ母親100名(以下、単に母親)を対象に調査を行いました。
≪調査結果のポイント≫
■約7割が食物アレルギー対応の離乳食づくりに悩みを持つ
母親の約7割が、食物アレルギー対応の食事づくりにおいて悩むことがあると回答しました。悩んでいることについて8割以上が「食材や献立が偏る」と回答し、次いで「外出時の食事対応」、「栄養が不足するのではないか」が上位にあがりました。【図1】【図2】
■約7割が食物アレルギー診断前から発症を心配。とくに卵アレルギーを心配する母親が多数
食物アレルギーが年々増加傾向にある中(※1)、食物アレルギーと診断される前から発症を心配していたのは約7割でした。また、最も心配していた食品について7割以上が「卵」と回答しました。【図3】【図4】
■食物アレルギー発症を心配した母親の3割以上が妊娠中・授乳中に自身の食事で除去を行う
診断される前から食物アレルギー発症を心配していた母親のうち、妊娠中や授乳中に自身の食事において特定の食品を食べないようにしていたと回答したのは35.8%でした。【図5】
■食物アレルギーに対応していると便利だと思う食品の上位は「主食となるパン、パスタやお米」、「ソースやマヨネーズなどの調味料」
離乳食以降の食事づくりにおいて、食物アレルギー対応をしていると便利だと思う食品について、「パン、パスタやお米」、「調味料」が上位となり、毎日食べる主食や調味料へのニーズが高いことが分かりました。【図6】
■約6割は有事に備えた食物アレルギー対応食品などの備蓄をしていない
有事に備え、食物アレルギー対応食品などの備蓄を行っていると回答した母親は約4割にとどまり、約6割が備蓄を行っていないことが分かりました。【図7】
※1:アレルギー疾患に関する3歳児全都調査(参考資料1)
≪調査概要≫
調査実施日:2016年12月27日~2017年1月5日
調査方法 :インターネット調査
調査対象者:全国の食物アレルギー疾患と診断されている
離乳食期の乳幼児をもつ母親100名
≪お話を伺った先生≫
栗原 和幸(くりはら かずゆき)先生
神奈川県立こども医療センター
地域連携・家族支援局長、アレルギー科部長
≪専門家のコメント≫
栗原 和幸(くりはら かずゆき)
神奈川県立こども医療センター
地域連携・家族支援局長、アレルギー科部長
https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_6.jpg
日本小児科学会(専門医)
日本小児アレルギー学会(評議員、薬務委員、編集委員、治療・管理ガイドライン改訂委員、研究推進委員、第47回学術集会会長(2010年12月))
日本アレルギー学会(代議員、認定専門医・指導医、編集委員)
昭和52年 千葉大学医学部卒業後、神奈川県立こども医療センター アレルギー科、東京慈恵会医科大学小児科、ロンドン大学付属国立心肺研究所アレルギー・臨床免疫部、都立母子保健院小児科、国立相模原病院小児科医員等を経て平成5年より神奈川県立こども医療センターアレルギー科部長。平成25年より現職。
食物アレルギーがあると、誤食や急激に現れる症状が心配になります。食品のアレルギー表示を正しく理解し、細かくチェックすることが必要です。調査によると、偏りや栄養不足を心配する方がいましたが、さまざまな食材をとり入れていくことで栄養を補うことができます。また、卵を使っていないマヨネーズなどアレルギー症状の原因物質を使用していない食品も多数あります。医師に相談の上、市販の加工食品を活用することは、献立の偏りや栄養バランス、外出時の食事などの悩みを軽減する助けとなるでしょう。
除去食品が多品目にわたる場合は管理栄養士などに相談してください。乳幼児に多い卵・牛乳・小麦アレルギーは成長に伴って耐性を獲得する傾向が強いので、定期的に医師とも方針を確認しましょう。
また、食物アレルギーを心配して妊娠中や授乳中に特定の食品を食べない方がいましたが、母親の食物除去によるお子様の食物アレルギー発症予防効果は否定されており、食物アレルギー発症予防を目的として母親自身が食物除去を行うことは推奨されていません。妊娠中や授乳中は十分な栄養素が必要ですので、バランスの良い食事を心がけてください。
さらに、離乳食は月齢に沿った一般的な進め方で問題ありません。離乳食の進みを遅らせることに食物アレルギー予防効果は認められていません。すでに食物アレルギーを発症している場合もありますので、初めて食べる食品は少量を与えて細かく観察することが必要です。
≪調査結果の詳細≫
■食物アレルギー対応の食事づくりの悩み
食物アレルギー対応の食事づくりにおいて悩むことがあるか聞いたところ、72%が「はい」と回答しました。【図1】
また、悩みがあると回答した人に、どのようなことで悩んでいるか聞いたところ、「食材や献立が偏る」(83.3%)に多く回答が集まり、次いで「外出時の食事対応」(47.2%)、「栄養が不足するのではないか」(41.7%)と続きました。【図2】
第1位と第3位に食事の偏りや栄養不足を心配する回答があがり、子どもが食物アレルギーを持つことで、食事のバランスを気づかう様子が伺える結果となりました。
【図1】【図2】
https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_1.png
■食物アレルギー発症に対する不安
子どもが食物アレルギーと診断される以前から食物アレルギーの心配をしていたか聞いたところ、67%が「はい」と回答しました。【図3】さらに、子どもが食物アレルギーと診断される以前から食物アレルギーの心配をしていた人に対して、最も心配していた食材について聞いたところ、73.1%が「卵」と回答しました。【図4】
卵(鶏卵)は日本において食物アレルギーのなかで最も多くみられる(参考資料2)ことから、多くの母親が心配していることがうかがえます。
【図3】【図4】
https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_2.png
■食物アレルギー発症予防のための母親自身の食物除去
子どもが食物アレルギーと診断される以前から食物アレルギーの心配をしていた人に、食物アレルギー発症予防のために妊娠中や授乳中、自身の食事において特定の食品を食べないようにしていたか聞いたところ、35.8%が「はい」と回答しました。【図5】
食物アレルギー診療ガイドライン2016では『食物アレルギー発症予防のために、妊娠中や授乳中に母親が食物除去を行うことは推奨されない』としていますが、食物アレルギーの心配をしていた母親の3割以上が特定の食品を食べないようにしていたことが分かりました。
【図5】 https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_3.png
■食物アレルギー対応をしていると便利だと思う食品
離乳食以降の食事づくりにおいて、食物アレルギー対応をしていると便利だと思う食品を聞いたところ、「主食となるパン、パスタやお米」、「ソースやマヨネーズなどの調味料」が上位にあがり、毎日食べる主食や調味料へのニーズが高いことが分かりました。【図6】
【図6】 https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_4.png
■有事に備えた備蓄
有事に備えて食物アレルギー対応食品などの備蓄を行っているか聞いたところ、57%が「いいえ」と回答しました。【図7】
東日本大震災の際、食物アレルギーを持つ小児の保護者からはアレルギー対応食品等、食べられるものを入手するのが大変であったという声が多くあがりました。(参考資料3)
しかし、今回の調査では半数以上が備蓄をしていないという結果になりました。
【図7】 https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_5.png
【参考資料1】食物アレルギー疾患の罹患(りかん)状況の推移(3歳までにアレルギー症状があり、診断を受けている児※の割合)
※児:平成26年10月の都内3歳児健康診査受診者
https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_7.png
出典:アレルギー疾患に関する3歳児全都調査 平成26年度版
(各アレルギー疾患の罹患状況の推移から「食物アレルギー」のみ抜粋)
【参考資料2】食物アレルギー原因食物の割合
出典:消費者庁「食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業」平成23年即時型食物アレルギー全国モニタリング調査結果報告(アレルギー.2016;65(7):942-946)
https://www.atpress.ne.jp/releases/120668/img_120668_8.png
【参考資料3】
東日本大震災以降に実施された調査によると、震災で困ったことがあったと回答した食物アレルギーの小児の保護者のうち、困ったことの内容について「食べられるものを得るのが大変だった(食物アレルギー用食品他)」と答えた方が117例中59例(50%)と最も多かった。
出典:東日本大震災におけるアレルギー児の保護者へのアンケート調査(日本小児アレルギー学会誌 2011;25:801-809) 情報提供元: @Press