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避難所で人を弱らせるのは、寒さや空腹だけではありません。においや衛生環境の崩れは、感染症の拡大や睡眠不足といった“見えない二次災害”を引き起こします。だからこそ非常時専用ではなく、普段から使える“空気の守り”が必要です。富士山頂での導入例と、避難所での運用事例から考えます。
においや衛生環境の悪化は、避難生活の質を大きく下げます。臭気ストレスや不衛生な空間は、免疫低下や感染症の蔓延を招きかねません。
日常的に稼働させることで、いざという時も迷わず運用できる—空気の守りは、普段使いの延長線上にあるのです。
オゾンの効果
2025年7月、標高3776メートルの富士山頂トイレに、オゾン除菌脱臭器「エアバスター」が3台設置されました。
低温・低圧、電源制約といった厳しい条件下でも安定稼働し、登山者の臭気ストレスと衛生不安を軽減。低消費電力・消耗品不要という特長は、インフラが限られた環境での運用を後押しします。観光と環境保全を両立させる新たな試みです。
避難所では、インフルエンザやノロウイルスの集団感染が過去に何度も報告されています。感染拡大を防ぐには、トイレや共有スペースの衛生管理、換気、動線設計の徹底が欠かせません。
こうした衛生対策が後手になると、避難所全体が“感染源”となり、被災者の健康被害が広がります。
能登半島地震では、石川県内の避難所や仮設住宅の集会所で「エアバスター」が感染症対策として運用されました。金沢市で102台、能登地域で122台という大規模導入です。
三友商事は自治体と防災協定を結び、平時は公共施設などで稼働、有事には優先的に避難所へ移設できる体制を構築。能登の7市には計122台を寄贈しました。
・低消費電力で運転できること
・フィルターや薬剤など消耗品を前提としないこと
・低濃度オゾンでにおいと菌・ウイルスの両方に対応できること
・人の出入りが多い場所でも安全に運用が可能なこと
同型機(BT-03)は全国2700台以上の救急車に搭載され、薬剤に頼らない除菌・脱臭で現場の衛生環境を支えてきました。この実績が、避難所や観光地といった多様な現場での活用につながっています。
世界文化遺産・富士山では、限られたインフラ下のトイレ快適性が長年の課題でした。臭気や衛生環境のコントロールは、観光客の満足度を高めるだけでなく、地域住民の生活とも両立させる重要な要素です。
三友商事は2025年、「ソトコト・ウェルビーイング&リジェネラティブアワード」を受賞。空気の安心を日常に溶け込ませ、非常時にも機能させる取り組みが高く評価されました。
・普段の設置場所と非常時の移設先をセットで決めておく
・非常用電源での稼働時間を把握する
・換気と合わせた低濃度運用ルールを一枚にまとめる
・近隣施設や自治体と貸し出し・持ち回りの体制を作る
・防災訓練で実際に稼働させ、トイレや動線の課題を洗い出す
まとめ
非常食や水と同じく、“空気の安心”も命を守る備えのひとつです。
富士山頂での実装、救急車での実績、避難所での運用例ーこれらはすべて、日常から非常時へとつながる備えの形を示しています。見えない二次災害を防ぐ第一歩は、毎日の風景に“空気の守り”を加えることから始まります。