日本コンタクトレンズ協会は、コンタクトレンズを安全かつ快適に使用してもらうため、様々な普及・啓発活動を実施中。

その活動の一環として「コンタクトレンズの日」である2024年9月10日にメディアセミナーを開催し、第10回目となるコンタクトレンズユーザーの実態調査の結果を発表しました。

 

日本コンタクトレンズ協会がメディアセミナーを開催!

9月10日は「コンタクトレンズの日」。

人差し指にコンタクトレンズを乗せて装着するイメージと、数字の9・10が似ていること、そしてコンタ“クト”と“9 10(クト)”の語呂合わせをもとに、9月10日に制定。

そして10月10日の目の愛護デーまでの1ヶ月間、コンタクトレンズの正しい使用・目の健康の啓発活動を行う期間となっています。

今回行われたメディアセミナーに登壇した、一般社団法人日本コンタクトレンズ協会 会長の川浦康嗣さんは、コンタクトレンズの使用について実態調査を実施し、その結果を報告しました。

2024年1月に行った本調査では、まずコンタクトレンズ購入時の眼科受診実態や、使用コンプライアンスについて説明。

その結果、年々コンタクトレンズ購入時の眼科受診割合は、購入のたびに毎回眼科を受診する方は2020年次の調査と比較して6ポイントマイナスである22%。その一歩で、不定期受診されている方は実に70%と、2020年と比較して5ポイント増の70%となりました。

「眼科受診実態では、10代〜20代の若年層女性のカラーレンズユーザーの状況が最も懸念され、特に10代は“一度も受診したことがない方”と、“初めて購入した際に受診したが、その後は受診していない方”を足すとほぼ半数となりました。」

と、眼科を受診していない方が増加傾向にあると説明。

また、コンタクトレンズの使い方が原因で1ヶ月以上治療した経験がある方は男性の方が割合が高く、コンタクトレンズ使用のコンプライアンスは男性が低い傾向にあるという結果も出たそうで、

「“レンズを2枚重ねで装用した”、“レンズの貸し借り”、“専用洗浄剤でない洗剤でレンズを洗った”、“水道水でレンズを洗った”、“水道水でレンズを保存した”、の5項目で男性ユーザーの方が女性ユーザーよりも高い結果となりました。」

と説明しました。

また、コンタクトレンズの入手経路については、2020年と比べて「海外の販売店や個人輸入、雑貨店やディスカウントストアでの購入」が増加している結果に。

若い方の中には、正しい装用方法が分からなかったり、コンタクトレンズを購入する際に眼科へ行くことの大切さを知らない方もいるという驚きのデータも出た今回の調査。川浦会長は日本コンタクトレンズ協会の今後の課題について、

「1点目はユーザーに対して、眼科受診の重要性やコンプライアンスを高めるため、さらなる情報提供を行う必要があること。また、2点目は特に若年層に向け、コンプラアンスを守ることを自分事化してもらうため、SNSを活用した啓発活動をすること。3つ目は空レンズケースの廃棄に関したSDGsの観点での情報発信。これらをセットで配信していくことを検討して参ります。」

と総括しました。

 

「このぐらい大丈夫」と軽く考えたことで一生残る眼障害がこることも!

続いて、正しいコンタクトレンズの装用を行わないことで起きてしまう深刻な「眼障害」について、聖マリアンナ医科大学眼科 講師 川崎市立多摩病院眼科 部長の松澤亜紀子先生が登壇し解説。

松澤先生によると、そもそもコンタクトレンズとは「高度管理医療機器 classⅢ」という位置付けで、副作用や機能障害が起きた際には「人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、適切な管理が必要なもの」だと説明。

「例えば、人工透析機であったり、体の中に入れる人工骨といったものと同じ位置付けの医療機器なんです。」

と、今や手軽に購入出来てしまうコンタクトレンズについて、実はしっかりとした管理が必要なものであることを言及しました。

16歳から49歳までの女性を対象にした「コンタクトレンズ関連障害のWEB調査」によると、3803名の中で1年以内に眼障害ありの割合は1/3以上となる34.5%。

原因はコンプライアンス軽視による眼障害が多く、

●レンズの装用方法の問題
●レンズケアを含めた衛生管理の問題
●コンタクトレンズを取り巻く問題

上記3つを挙げられていました。

「衛生管理の低さや交換スケジュールを超えた使用は、例えば本来使用期間は2週間であるものを3週間使ってみたり、というような“スケジュールを超えた使用”ですね。また“コンタクトレンズを装用したまま寝て”しまったり、朝から晩までなど“長時間の装用”、“海外・インターネットでのコンタクトレンズの購入”などが眼障害の要因となります。」

と、眼障害を起こしてしまった方の要因を解説しました。

会場では実際にあった症例を紹介しつつ、松澤先生は「一生治らない、不可逆性な障害を負ってしまうこともあります。」と警鐘を鳴らしています。

また、衛生面ではレンズだけでなく、レンズを入れておくケースも重要。

保管するケースに異物が入っていたり、消毒液が入っているからと洗浄・乾燥などを行わないと、内部にはカビや微生物が繁殖。最終的には緑膿菌やアカントアメーバなどが原因となる「細菌性角膜潰瘍」「角膜炎」を引き起こし、最悪の場合角膜移植などの手術を行わなければいけなくなることもあると、危険性を語りました。

「若い方の症例が多いと感じた方もいらっしゃるでしょうが、実際は40〜50代の患者さんもいらっしゃいます。しかし、10代〜20代の方は信じられないような使い方をして眼障害となってしまう方がいらっしゃるんです。今はインターネットで購入できてしまっているので、適切な使用方法を知らない方もいらっしゃるばかりか、間違った情報で行動するなど、自己流になってしまっているところがあるのではないかと思います。」

と、現在のコンタクトレンズを取り巻く状況や、正しく装用せず眼障害を起こしてしまう若者について説明。

「鉄は熱いうちに打て、という格言もあるように、コンタクトレンズの装用が始まる中学生くらいよりも前から(コンタクトレンズについての)指導をされるのが良いのかなと思います。また、眼科を受診される方って、後ろめたさを感じられる方も多いようですので、出来る限り優しく接したり、画像などをお見せして“こんなに酷いことになってしまうんだよ”というお話をしています。」

と、松澤先生独自の患者との接し方についても教えてくれました。

現在日本コンタクトレンズ協会では、こうした正しい情報が若年層にあまり届いていないことを受け、TikTokとYouTubeを活用し、クリエイターを起用したコンタクトレンズ使用コンプライアンスと定期的な眼科受診啓発のショート動画やVLOGなどを配信予定。

その他、様々な活動を通して正しいコンタクトレンズの装用方法などを伝えていきます。

コンタクトレンズを使用している方は、ぜひ正しい装用方法と眼科に受診することの重要性を改めて学んでみてはいかがでしょうか。

日本コンタクトレンズ協会:https://www.jcla.gr.jp/

情報提供元: TORSO JACK
記事名:「 日本コンタクトレンズ協会の実態調査で浮き彫りに?コンタクトレンズ不適切利用による眼障害の増加