日本ではオイルを贅沢に使った施術が有名な“アーユルヴェーダ”ですが、本来は一人一人の体の性質を診断し、それぞれに合った食生活やケアをすることによって、心と体のバランスを整えていくインド発祥の予防医学ということをご存知ですか?今回は、ヨガインストラクター養成スクールでアーユルヴェーダの授業を担当しているライターが、アーユルヴェーダの歴史や効果、生活への取り入れ方など、その魅力をお伝えします。


この記事でお伝えするポイントは次の4つ

1) インド発祥の伝統医療“アーユルヴェーダ”とは?

2) アーユルヴェーダの効果

3) アーユルヴェーダのメソッドの根本“ドーシャ”とは?

4) アーユルヴェーダを学んでみよう

インド発祥の伝統医療“アーユルヴェーダ”とは?

まずは、アーユルヴェーダという言葉がもっている意味をご紹介します。アーユルヴェーダは2つのサンスクリット語から作られています。前半の「アーユル(アーユス)」は、生命という意味があり、後半の「ヴェーダ」は知識、教え、科学という意味があります。日本語では「生命科学」や「いのちの科学」と訳されています。
「ヴェーダ」というのは文献の名前でもあり、アーユルヴェーダは紀元前約1000年前に記された『ヴェーダ文献』を起源としています。文献上での記録はここが最初ですが、アーユルヴェーダ自体の歴史はもっと古く、5000年前や10000年以上前からあるとも言われています。
実はヨガもこの『ヴェーダ文献』を起源としています。アーユルヴェーダとヨガは姉妹科学とされており、アーユルヴェーダで肉体の健康をケアし、ヨガで心の健康を作ります。ですから、ヨガを通じてアーユルヴェーダを知って生活に取り入れるようになったり、アーユルヴェーダを実践する中でヨガの必要性を感じてヨガを行うようになったりするのですね。
「いのちの科学」と呼ばれるアーユルヴェーダが取り扱うものは、まさしく「いのち」に関わること全てであり、その教えはとても広いものです。アーユルヴェーダは、すべての医学の大元とも言われています。インドの伝統医学としてあらゆる医学に影響を与えながら、長い時代を超えて今もなお世界中に広がりをみせています。

アーユルヴェーダの効果

アーユルヴェーダの目的は「健康な人の健康を守り、病気の人の病気を治すこと」と古典書に書かれています。病気の治療はもちろんのこと、病気にかからずに健康で長生きすることができるよう、病気の予防と健康長寿、若返り、幸せに人生を過ごすための秘訣を沢山教えてくれます。
医学ですが、病院や医者に頼ることなく、日々の暮らしの中でセルフケアを通じて病気や老化の予防を行うことができるのもアーユルヴェーダの魅力です。「キッチンファーマシー(台所薬局)」と呼ばれるように、アーユルヴェーダでは身近にあるものを使ってケアをしたり、スパイスやハーブを使って病院で処方される薬の代用となるものを取り入れたりすることもできるようになります。
例えば、スーパーで購入できる太白ごま油を使用するケア法は、とても簡単で効果も絶大です。オイルうがいを習慣にすることで、口臭予防、味覚の向上、歯や歯茎を丈夫にする、ほうれい線や顔の乾燥予防、小じわの軽減など美容効果も得られます。
また、太白ごま油で全身のオイルマッサージを自宅で楽しむこともできます。肌や髪の保湿効果はもちろんのこと、骨や関節、筋肉の強化、神経が滋養され痛みやしびれの改善、免疫力向上、睡眠の質の向上、老化予防などその効果はさまざまです。セルフケアを継続することで、自己観察力が養われて自分の体や心の変化に気付きやすくなり、病気を未然に自ら防ぐことができるようになります。
太白ごま油を使用したセルフケア方法を知りたい方は「息がキレイな人のデトックス習慣。 “舌磨き+オイルプリング”のススメ」もご覧ください。

このような実践法の他、いのちに欠かすことができない食事、日常生活や季節の過ごし方、仕事や人間関係についてもアーユルヴェーダは私たちに人生を幸せに送るためのヒントをくれます。
アーユルヴェーダもヨガも情報を得るだけではその効果はありません。いかにご自身の生活に取り入れることができるかが重要なポイント。関心があるものや楽しそうだなと思うこと1つから取り入れてみましょう。
全ての教えを実践しようとして、今までの生活と大きく変わりすぎると、逆にそれがストレスになり病気の引き金にもなりえます。少しずつ良い習慣に置き換えていくことが大切です。

アーユルヴェーダのメソッドの根本“ドーシャ”とは

ここまで見てきたように、アーユルヴェーダで健康を取り扱っていることがわかってきましたよね。アーユルヴェーダが言う健康に欠かすことができないキーワードがあります。それが「ドーシャ」です。
ドーシャの語源には「病素」「不純なもの」という意味があります。このドーシャは3つあり、「トリドーシャ」と呼びます。トリドーシャは私たち人間だけではなく、生き物や自然、時間、季節、食べ物などすべてのものに作用しており、互いに影響を与え合い、常に変化しています。私たちは常に変化しているドーシャの影響を受けながら生活しているということです。
アーユルヴェーダでは、このトリドーシャのバランスがとれている状態を健康と定義します。トリドーシャの働きによって、呼吸や血液循環、排泄、消化など私たちの生理機能が果たされます。逆にトリドーシャのバランスが乱れると、生理機能がうまく働かなくなり病気を引き起こすことになるのです。トリドーシャは次のように構成されています。

≪ヴァータ≫ 運動のエネルギー/空と風の元素

冷性・軽性・乾燥性・粗性・動性という性質を持ち、全ての動きや運搬、神経伝達、呼吸、血液循環、排泄などの機能を司る。

≪ピッタ≫ 変換のエネルギー/火と水の元素

熱性・軽性・鋭性・液体性という性質を持ち、消化、吸収、代謝、体内の化学変化などの機能を司る。

≪カパ≫ 結合のエネルギー/水と地の元素

冷性・重性・緩慢性・停滞性という性質を持ち、体液や粘液、潤滑液など体の潤い、肉体の成長や構造、体力維持などの機能を司る。
ご自身のドーシャバランスを知りたい方は「アーユルヴェーダの「ドーシャ占い」とは? 自分の体質を診断しよう!」でチェックしてみてください。

アーユルヴェーダを学んでみよう

アーユルヴェーダに関心が出てきてもっと深めてみたいなと思ったら、本を読んでみたりこうしたコラムを読み進めたりするのもオススメです。ですが、私の生徒さんからよく聞くのは、アーユルヴェーダに関する文献が沢山あって読んでみようと思って買ってみたものの、新しい言葉がいっぱい出てきてなかなか読み進めることができないということです。
アーユルヴェーダは先生から生徒さんへ口伝で継承されてきたという歴史があります。先生からわかりやすく説明してもらうことで、日常生活にも取り入れやすくなり、間違った理解や実践法を修正することができるとより効果的ですね。
繰り返しになりますが、アーユルヴェーダを生活に取り入れるときにはくれぐれも無理がないところから!ストレスにならないものから!をお忘れなく。

情報提供元: Tonoel
記事名:「 インド発祥の予防医学“アーユルヴェーダ”とは?