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「あたご皮フ科」で副院長をつとめる江藤先生は、足の爪に何らかの異常が見られた時、まず「爪白癬(つめはくせん)」を疑うべきでは、と警鐘を鳴らします。「爪白癬というのはつまり、爪の中の“水虫”。『白癬菌』というカビの一種です。原因は、足白癬(足の水虫)から白癬菌が爪に侵入して罹患します。足の水虫と違い、かゆみや痛みもなく気づきにくいのが爪白癬の特徴です」
では、爪白癬になるといったいどのような症状が見られるのでしょうか。
「爪が白く濁ったり、分厚くなり爪が切りにくくなったりします。また、高野豆腐のように爪を触ったらポロポロと崩れてしまうことも」
さらに江藤先生は、爪白癬にかかる原因について次のように説明します。「爪白癬は皮膚糸状菌によって感染します。お家のお風呂や温泉施設などの足ふきマット、床に落ちた皮膚のチリなどを通してうつることが多いです」
‘23年の調査では、皮膚科外来を訪れた患者さんのおよそ18%が足白癬、10%が爪白癬にかかっているという結果が出ています。グラフのように、いずれも男性の方が多い傾向にあるようです。
年齢別でいうと、足白癬よりも爪白癬にかかっている患者さんは男女それぞれ60代あたりから増えています。江藤先生はこの傾向について次のように分析します。「高年齢化による糖尿病や肥満が原因で爪白癬になることもあります」
江藤先生は、普段のフットチェックの重要性について次のように語ります。
「ふだん足の爪にマニキュアをしていている場合、爪白癬になかなか気づかないケースが見受けられます。ネイルサロンで『これは爪水虫かもしれません』と指摘されて、初めて気づいて当院を訪れる患者さんもいます。なので、たまに足や爪をチェックし、少しでも異常を感じたら皮膚科を受診することを推奨します」
では、その検査方法や治療法は?
「検査方法は、皮膚や爪の組織を取って顕微鏡で調べて判断します。白癬と診断した場合、治療法として内服薬や外用薬(ぬり薬)を処方します。投薬の場合、治りは早いですが肝機能に影響を与えるリスクがあります。ですので回復まで時間はかかりますが、外用液での治療が望ましいです」
埼玉県済生会川口総合病院の皮膚科で主任部長をつとめる高山先生は、人は歩くために爪は欠かせないパーツだと言います。
「前に踏み出した足でバランスを取りながら後ろの足で地面を蹴る――。私たちはこの動作の繰り返しで歩いています。歩く時や立つ時、爪は足を支えるための重要な役割を担っています。つまり爪に異常があるまま放置すると、いずれ歩行困難や転倒につながるのです」
今年1月、楽天シニアのサイトにて高山先生による『正しい爪切り習慣で 爪水虫を早期発見』というコラムが掲載されました。
https://media.senior.rakuten.co.jp/rakuken/column/articles/kaken-clip-nails
コラムでは爪水虫(爪白癬)についての概要と予防法にふれ、正しい爪切りの方法や足指の洗い方などについて書かれています。後日、高山先生のコラムについて読者にアンケートをとったところ、読者のおよそ4割が「爪白癬を知らなかった」という結果が出ました。
高山先生はこの結果について「爪白癬はまだまだ世に浸透していなかったんだな、と思い知らされました」と言います。
続いて、コラムを読んで「爪に異常がある」読者の中で、すぐに受診したいという方は全体のおよそ2割程度でした。
「将来ずっと自分の足で歩くためにも、普段からご自身の爪を注意深くチェックする必要があります」
ここで高山先生は、爪についてのチェックポイントを教えてくれました。
では普段から爪白癬を予防するためにはどうしたらいいのでしょう?
高山先生は正しいフットケアについてレクチャーしてくれました。
「足指を清潔に保つこと、毎日洗うことが第一です。その際は、石鹸とやわらかいブラシ(歯ブラシでも可)を使い、汚れがたまりやすい爪の周りを重点的に洗うと良いでしょう。洗ったあとはオイルやクリームなどで十分な保湿を心がけてください」
続いて、正しい爪の切り方についてはこう説明してくれました。
「刃先がまっすぐのタイプの爪切りがベスト。切る時は爪の両側から5回ほどにわけて細かく切ります。深爪にならないよう、白い部分が1~2mm残る程度に切ります。仕上げにやすりで整えましょう」詳しくは前述の高山先生のコラムでチェックしてみてください。
楽天モバイルの「楽天シニア」アプリでは、毎日4,000歩以上歩くと楽天ポイントが加算される「歩こうミッション」を提供中です。毎日楽しく歩いて健康的になれるだけでなく、ポイントまでたまるのは嬉しいですね。https://senior.rakuten.co.jp/about/walking_mission
そして前出の高山先生は、1日に5,000~8,000歩くことを推奨しています。「8,000歩を歩くと、がんや骨粗しょう症、高血圧、糖尿病などあらゆる病気を予防できる効果が期待されます」 そのためには、爪を健康的に保つことが重要ですね。
“人生100年時代”と言われる今、歯の定期健診や生活習慣の見直しは多く啓蒙されていますが、「爪」の健康については見過ごされがち。
歳を重ねても自分の足で歩くために、まずはご自身の爪をチェックしてみてはいかがでしょう?
<取材・撮影・文/櫻井れき>