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無理に笑うことはなく、視聴者に寄り添わないスタイルで動画を配信しているMIYUさん(実はめちゃくちゃいい人)。
さて、動画を見たことがある人ならわかると思うけど、MIYUさんは小柄な女性だ。一方で、乗っているクルマは自身よりも何倍も大きな、トヨタの「ハイラックスサーフ185」。
1990年代から2000年代初頭に販売された、今ではクラシックと呼ばれるSUV。古着が好きなMIYUさんらしく「時を経た風合いや味わいが素敵だなと思って」と購入した決め手を語る。そして、こう続ける。「無骨なフォルムも本当に気に入ってるんです。そしてなにより、キャンプ道具がたくさん積めるのが最高で」
そんな愛車と向かうのは、猛暑の街として知られる埼玉県熊谷市。
この連載を通して気付いたことがあるのだけど、物理的な距離は近くても、心理的に遠い街が関東にいくつもある。それらの街は、知っていそうで、なにも知らない。今日も関東にあるローカルを目指して、車を走らせる。
熊谷までは、都心から車で約1時間半。ちょっと遠出するにはいい距離で、日帰りで楽しめるスポットが点在するエリアだ。
最初に訪れたのは、アウトドアと車をつなぐ新拠点として話題となっている「AUTO DOORS RV KUMAGAYA」。
埼玉トヨペットが昨年オープンさせたこちらの施設には、キャンプ仕様にカスタムされたSUVや4WD車がずらりと並ぶ。屋外展示スペースには、無骨なランドクルーザーや車内にベッドキットを備え付けたアウトドア仕様のハイエース、荷台にルーフテントを載せたピックアップトラックなど多彩なラインナップが勢揃いしていた。
MIYUさんも「このラインナップはなかなか見れないですよね。いまの車も最高ですけど、欲しい車がたくさんあるなぁ」と目を輝かせる。
建物内に足を踏み入れると、車とアウトドア好きにはたまらない空間がお出まし。キャンプギアの展示やカフェスペースも併設され、ただのカーディーラーとは異なる雰囲気。ショールーム奥のカフェで淹れたてのコーヒーをいただきつつ「ここは一日中いても飽きないかも」とMIYUさん。
ちなみにショールームの一角には4WDパーツやアウトドアグッズの物販コーナーもある。どストレートに「LAND CRUISER」と書いたグッズもツボをおさえてる。
「クルマは私達にとって大切なアウトドアギアなんです。日々の生活から自然につなぐハブ拠点にしたくて、この場所を作りました」とは店長さん。休日ともなれば、キャンプ帰りの人や、これからキャンプに出発するという人たちがお茶をしながら、情報交換する姿も見られるという。
車トークを楽しんでいたら、あっという間にランチの時間に。続いて向かったのは熊谷市民に愛される老舗うどん店「元祖田舎っぺうどん 本店」。
昭和48年創業のこちらは、コシの強い極太麺と旨味たっぷりのつけ汁で有名で、昼時には行列ができることもしばしば。早速席に着くと、周囲のテーブルでは常連客が豪快にうどんをすすっている。湯気と出汁の香りに包まれ、期待も高まる。
MIYUさんは看板メニューの「塩肉ネギ汁うどん」を注文。茹でたての太いうどんを、塩ベースの熱々の汁につけて一気にすする。噛むほどに小麦の風味が広がる麺に、ネギと豚肉の旨味が溶け出した塩味スープが相性抜群だ。
「うわぁ、お肉とネギのダシが利いていて優しい塩味。ちょっと、箸が止まんない」と、いつもは表情を崩さないMIYUさんも思わず笑顔に。
「うちは創業者が考案した塩肉ネギ汁が自慢でね。他にはない味だから皆さん遠方からも来てくださるんですよ」と店主が語るように、塩味のつけ汁は、ここだけのオリジナル。定番の醤油ベース肉汁うどんもいいけど、一度この塩味を覚えたらリピーターになる人が続出するという。
満腹になった後は、古着&雑貨屋さん巡りへ。車で数分走った先にある「On Fleek Store」は、アメリカンな雑貨と古着が揃う場所。MIYUさんが「ここは絶対寄りたかったんです!」と楽しみにしていたショップだ。
1階にはアメリカから輸入したカラフルな日用品や雑貨が所狭しと並び、まるで海外のガレージに迷い込んだような世界観にワクワクする。洗剤のパッケージひとつ取っても日本では見かけないデザインで、「なんか映画に出てくるお家みたい」とMIYUさんも興味津々。
階段を上がった2階は古着のフロア。ラックにかかったUSA古着の山に、思わず目移りしてしまう。バンドTシャツやLevi’sのデニム、ミリタリージャケットにワークブーツまでジャンルもさまざま。MIYUさんは「この色褪せ具合がたまらないですよね~」と、味のあるプリントTシャツを手に取って、家のクローゼットを想像し思考を巡らす。
「近くでは手に入らないアメリカのヴィンテージを楽しんでほしくて、雑貨から古着まで幅広く揃えたんです。好きなモノに囲まれて暮らす豊かさを提案できればと思っています」とは店長さん。まさにコンセプト通り、ここに来れば、暮らしもファッションも丸ごと“アメリカン”に染められる。
結局、迷った末にお気に入りのプリントTシャツを一枚購入したMIYUさん。「キャンプに着ていって自慢しよっと」と戦利品を抱えて店を後にした。
ドライブの締めくくりは甘いもの。郊外へと足を伸ばす。
熊谷市街から車で約20分、のどかな田園風景の中に現れたのは牧場直営のジェラートショップ「Blue Bamboo Farm Gelato &Cafe」だ。牛のオブジェが目印の可愛らしい店構えで、隣には広々とした牧草地が広がり、その向こうには牛舎も見える。
ここでは、敷地内の牧場で毎朝絞っている生乳を使用したジェラートが人気。遠方から足を運ぶファンも多いという。
ショーケースには牧場ミルクやピスタチオ、季節のフルーツなど定番から限定まで10種類以上のフレーバーがずらり。どれにしようか迷った挙げ句、MIYUさんは定番人気のミルク味とピスタチオ味のダブルをオーダー。
牧場ならではのフレッシュな生乳ジェラートは濃厚なのに後味さっぱりで、「ミルク本来の優しい甘さが口いっぱいに広がります」とMIYUさんもうっとり。ピスタチオも風味豊かで、こちらも負けず劣らずのおいしさだった。
「運動したあとのサウナも最高ですけど、ドライブのあとのジェラートも最高かも」
平日の午後ということもあり、牧場の周りは穏やかな空気が流れていた。
日が傾きかけた空の下。テラスのベンチに腰掛け、のんびりとジェラートを味わいながら「こんな近くに自然を感じられる場所があったなんて知らなかった」とMIYUさんもしみじみ。
ジェラートでお腹も心も満たされたら、そろそろタイムアップ。
「また、すぐにでも別の場所にドライブに行きたくなっちゃいました。最初、熊谷に行くと聞いて、正直『なにがあるの?』と思ったけど、こんなにたくさん楽しい場所があったとは…」と、ローカルタウンの魅力にすっかりハマった模様。
虹を横目に、帰路につく。次も誰かと、知っているようで知らない、あの街へ。
Photo/Shouta Kikuchi, Text/Jun Nakada
The post 脱力キャンパーのMIYUさんと行く、埼玉・熊谷ゆるっとトリップ。【ワンデイドライブ #15】 first appeared on GO OUT WEB.