■『ソイレント・グリーン』:人口爆発に食糧難。おぞましい解決策を見出だした未来とは



 



1973年公開のSF映画『ソイレント・グリーン』は、さまざまなゲームやマンガに影響を与えた、センセーショナルなSFスリラー映画だ。



 



2022年、爆発的な人口増加で危機的な食糧難に陥り、社会は一部の特権階級と、大多数の貧民とに分かれてしまっていた。そんななか、殺人課の刑事ソーンは、大企業ソイレント社が貧民に提供する人工食料“ソイレント・グリーン”の秘密に迫っていく……。



 



劇中に登場する安楽死システム、増加する貧困層、そして貧民が口にできるほぼ唯一の食料ソイレント・グリーン。これらの要素がひとつに繋がった時、世にもおぞましい真実が明らかになってくる。ディストピア映画の古典であり、色褪せぬ傑作だ。



 



 



■『ゼイリブ』:「眠れ…考えるな…」知らぬ間に忍び寄る侵略の魔の手…



 



『ゼイリブ』は、巨匠ジョン・カーペンターが1988年に制作した傑作SF映画。この映画の持つ強烈な風刺と恐怖は、2020年になり、格差社会化が進む今の日本社会にも当てはまるものがあるだろう。



 



貧困層の肉体労働者ナダは、労働者仲間のキャンプ地を転々としていた。そんなある日、立ち寄ったキャンプ地の隣で、奇妙な集会をする集団を目撃。彼らの持つ不思議なサングラスを手に入れたナダは、人間に擬態して社会を支配する“異星人”の存在を知ることに……。



 



サングラスをかけると、街中には「従え」「眠れ」「考えるな」といった、人々の潜在意識を支配するメッセージがあふれていることに気がついてしまうという筋書きは、メディアや特権階級に踊らされ、搾取され続ける現実の社会の比喩になっている。世にも恐ろしい1作だ。



 



 



■『パージ』:ありとあらゆる犯罪が許される、1年に一度の恐怖の夜…



 



2013年公開の『パージ』は、4作もシリーズ化された人気ホラー映画だ。ハイテンポな演出と、ショッキングなバイオレンスシーンでかすんでしまいだが、本作が下地に持つ社会設定は、ディストピアそのものである。



 



経済崩壊後に再編成されたアメリカでは、1年に一度、殺人や強姦を含むあらゆる犯罪が合法化される夜(パージ)を制定していた。完璧な防御を施した家で毎年のパージをやり過ごしてきた富裕層の一家は、予期せぬきっかけで、この法律の恐怖の一面を体験することになる。



 



国民の暴力衝動を解放することで国を統制する、恐ろしい社会。しかし真に恐ろしいのは、富裕層ではなく、何も持たぬ貧困層だけが暴力の標的になってしまうという現実なのである。誰かを叩いてスッキリするという、人間の心の暗部を描き出した、恐怖の1作だ。


情報提供元: citrus
記事名:「 【驚愕】格差, 監視, 支配… 絶望が支配する社会を描いた傑作『ディストピア映画』3選