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『最近TVであまり見かけなくなったガッツ石松さんに「どうしていますか?」と直撃してみた』なるタイトルの記事を、「あらゆるエンターテインメントを取り上げ、多くの人たちの知的好奇心に応えられること」を目指している(らしい)ニュースメディア『ENCOUNT』が配信していた。
言われてみれば、たしかに近ごろガッツ石松さんのメディア露出度は確実に減ってきている気もする。ぶっちゃけ、言われなければ「あまり見かけなくなった」ことすら気がつかなかった。本人の意向は定かじゃないけど「静かにフェイドアウト」していた……って感じか?
もしかすると、若いcitrus読者の皆さまは、下手すりゃ「ガッツ石松」の名前すら知らない可能性もあるので、念のため簡単なガッツ・プロフィールを添えておく。
ボクシングの世界チャンピオンから俳優に転身し、あの大ヒットドラマ『おしん』(NHK)や『北の国から』(フジテレビ系)などで好演を果たす。「OK牧場」「ラッキーセブンの3」ほか、お笑い芸人顔負けの天然ボケを武器とし、バラエティ番組でも引っ張りだこに……いわば「おバカタレント」の走り……どころか、トップを独走する希有な存在であった。
さっき私は「本人の意向は定かじゃないけど〜」と書いたが、同インタビュー記事によると、「本人」の現状に対する分析と心情は以下のようなものだという。
「テレビは声をかけてもらわないと出られないわけだから、今の時代からすると“ガッツさんは存在価値がない”ということなのかな」
「自分で良かったら、いつでも出られるようにコンディションは整えています。(中略)体調に問題はないですよ。ただ、ちょっと出不精になっているかな。あんまり人に会いたくない気分のときもある。Why? ちょっとガッツが足りないんだね」
つまり、歯に衣を着せぬ表現をしてしまえば、「ガッツさんご自身はまだまだテレビに出るのはやぶさかじゃないけれど、テレビ側が彼を求めていない」ってことになる。じつに正直で好感を抱けるコメントではないか。
では、なぜガッツ石松さんは“第一線”から姿を消しつつあるのか?──それを考える前に、かつては「ガッツ伝説」とも呼ばれた“大ボケ”のいくつかを紹介しておこう。
(とあるインタビューで「好きな数字」を質問されたときの回答)
「ラッキーセブンの3!」
(とある世界タイトルマッチの解説で挑戦者の気持ちを質問されたときの回答)
「いや、怖いのが半分、恐ろしいのが半分でしょうね」
(とあるインタビューでのコメント)
「私はボクシングで人生が380度変わりました」(=20度しか変わっていない)
(とあるクイズ番組にて)
司会者「世界の三大珍味です。トリュフ・フォワグラ、もつ一つは?」
ガッツ「サキイカ!」
司会者「残念ながら違います」
ガッツ「あっ、思い出した…キャタピラ!」
(パスポートの申請時に)
性別(SEX)の欄に「週一」と書いた
あまりに豪快……というか、ダイナミックな珍エピソードのオンパレードである。宇宙的とさえ称しても、決して大袈裟ではあるまい。
ただ、「おバカタレントによるおバカなリアクション」も時代の流れとともに、それなりの変容、進化(?)を遂げているのもまた事実で、ガッツさんのような一発KOの必殺パンチで場の空気をガラッと変えてしまうかのごとくな荒業ではなく、あくまで「とぼけたことぬかしてんじゃねえよ」と、つい失笑を誘うだけの“スパイス”的な役割にとどまるクラスの「おバカ」しか、もはやバラエティーの現場は欲していないのかもしれない。そもそも、高学歴の芸人やアイドルあたりがクイズ番組で次々難問を解き明かしていったり、専門家顔負けの鋭い斬り口を発揮したり……と“クレバー”がトレンドの主流となっている今、「おバカタレント」の需要自体が激減しているのではなかろうか。
……とは言え、あまり昔を懐かしむような真似はしたくないのだけれど、ガッツ石松さんのような、かつての「昭和のストロングスタイル」が「お茶の間における過去の遺物」と化していくさまは……やはり実感すればするほど、私としては少々偲びなかったりもする。ガッツさんもすでに御年70歳。カラダは相当キツいだろうけど、心から願う。あと、せめて10年は“現役”で頑張ってください……と。