■バス停周りの駐禁は、「前後」ではなく、「半径」10メートル以内だった!



 



筆者の知人が最近、思わぬ場所で駐禁の切符を切られた。どこに駐車していたかというと…それはバス停のある道路の反対車線であった。停めていた近辺にはバス停がないにも関わらずだ。なのになぜ? その場所で駐禁になってしまったかというと……なんと、「反対車線にあるバス停の半径10メートル以内に停めていたから」だと言われたそう。え?半径? 前後ではなくて?



 



バス停の中心(つまり、停留所の看板が立っている場所)から半径10メートル以内のエリアに入る車道は、反対車線であっても駐禁の対象となるそうだ。教習所で習った(はず)だろうが、筆者も記憶がない……しかし、警視庁の公式サイトにある「駐停車禁止の場所」(道路交通法第44条)には、しっかり紹介されている。





 





都電の停留場から半径10メートルも同じく駐車禁止となる。「いずれも運行時間中に限る」と書いてあるので、バスや都電が走っていない時間帯であれば駐禁にはならないのであろう。こちらの図を見ると、確かに、反対車線にも影響している。車の全体ではなく、一部であっても、この斜線エリアに入ったらダメということらしい。



 



バス停の前後に車を停めたらだめというのは筆者も知っていたが、「半径10メートルエリアも駐禁」とは意外だった…。確かに、バスが停まっていてそのバスを追い越そうとする際、反対車線に車が停まっていたら危険ではある。その車を追い越そうとしてはみ出して来る車だっていないとは限らない。半径10メートルを駐禁にする理由には納得できる。しかし、多くの人が忘れている、気づいていないことは問題かもしれない。



 



 



■実際、「交通の教則」には「半径」とは書いていない



 



それでは、「交通の教則」にはどのように記されているのだろうか?



 




昭和53年10月30日



国家公安委員会告示第3号



交通の方法に関する教則 



第五章 第八節 



「駐車と停車」の中の、駐車や停車もしてはいけない場所として、



「バス、路面電車の停留所の標示板(標示柱)から10メートル以内の場所(運行時間中に限ります。)」




とある。この文章を読んだだけで、標示板の中心から半径10メートルとは誰も思わないだろう。



 



かなり不親切である。停留所の標示板から10メートルとは、停留所を中心に前後10メートルの道路は駐停車禁止……と理解するのが一般的だと思うのだが。ちなみに、警視庁の公式サイトには、冒頭のようなイラスト付きで説明がある。



 



 



■意外と忘れている人が多い? 標識がなくても駐停車禁止になる場所



 



消火栓の周辺や交差点内やその近くが、駐車禁止となるのは多くの人が知っているだろう。しかし、中には何十年も前に習ったきりですっかり忘れてしまったという人も多いはず。違法な駐停車は渋滞の原因になるなど、周囲の交通を混雑させるとともに、道路の見通しを悪くする。子どもや自転車が違法駐車している車の陰から飛び出したり、緊急自動車の通行を妨げたりするケースもある。あまり記憶にない…という人のために改めて、駐停車禁止の標識がある場所以外に、駐車、停車が禁止となる場所を紹介しておこう。



 



1.軌道敷内



こんなところに車を停める人はあまりいないと思うが(笑) そもそも、道路軌道敷内は、原則として車の通行が禁止されている。(左折、右折、転回などで横切る場合は除く)



 





 





2.坂の頂上付近やこう配の急な坂



これは意外と知らない人がいるかも。駐禁の標識がなくても、傾斜角度が6度(10%勾配)以上の勾配が急な坂道や、坂の頂上付近は駐禁となる。



 



3.トンネル



 



4.交差点とその端から5メートル以内の場所



 





 





5.道路の曲がり角から5メートル以内の場所



これも忘れている人多いのでは?曲がり角から5メートルの場所に車が一部でもかかっていたら駐禁になる。



 





 





このほか、



 




  • 横断歩道、自転車横断帯とその端から前後に5メートル以内の場所

  • 踏切とその端から前後10メートル以内の場所

  • 安全地帯の左側とその前後10メートル以内の場所



 



等が駐停車禁止場所である。



 



 



■駐車禁止となる場所は?



 



駐停車禁止よりは、少し緩くなるが駐車禁止の場所は以下となる。3番の道路工事の区域の端から5メートル以内…に関しては正直、ほとんど記憶になかった。



 



1.火災報知機から1メートル以内の場所



2.駐車場、車庫などの自動車用の出入口から3メートル以内の場所



3.道路工事の区域の端から5メートル以内の場所



4.消防用機械器具の置場、消防用防火水そう、これらの道路に接する出入口から5メートル以内の場所



5.消火せん、指定消防水利の標識が設けられている位置や消防用防火水そうの取り入れ口から5メートル以内の場所



 



「ここは駐禁?」と思ったら最寄りの警察署に聞いてみるのがベスト。親切に教えてくれるはずだ。


情報提供元: citrus
記事名:「 【不思議な道交法】バス停は反対車線も駐車禁止!意外に知らない「標識がなくても駐禁になる場所」とは?