- 週間ランキング
食物繊維が豊富であるごぼうは、意外と知らないさまざまな栄養や効能があることをご存じですか?
また調理によって栄養が減ってしまうのではと心配になる方も多いはず。
ごぼうの栄養をムダにせず、効率よく摂るポイントも知っておきたいですよね。
今回の記事では「ごぼうの栄養」について、管理栄養士が解説します。
古くからごぼうは種の部分が薬に使われることもあり、豊富な栄養や効能が期待される野菜です。
ごぼうを日常的に食べるのは日本だけといわれていますが、その栄養価の高さから、近年では海外での関心も高まってきています。
具体的には、野菜の中でもトップクラスの含有量である食物繊維や、クロロゲン酸というポリフェノールを含んでおり、健康づくりに役立ちます。
またたっぷり食べてもカロリーを摂りすぎる心配が少なく、ダイエットにもぴったりです。
続けて詳しく、ごぼうの栄養や効能を見ていきましょう。
ごぼうに含まれる栄養はどのようなものがあるのか、解説していきます。
ごぼうに含まれる食物繊維は、野菜の中でもトップクラスの含有量です。
ほかの野菜と比較してみると、以下の通りです。
レタスの5.2倍、大根の4.4倍、キャベツの3.2倍の量で、同じく食物繊維が豊富といわれるブロッコリーよりも優れた含有量であることがわかります。
ごぼうの食物繊維は「イヌリン」と「リグニン」が代表的です。
それぞれの働きを確認してみましょう。
イヌリンは水溶性食物繊維のひとつで、血糖値の上昇を防ぐ働きや、整腸作用が期待される成分です。
イヌリンは腸内で血糖値の吸収を妨げることで、血糖値の上昇を穏やかにしてくれます。
また腸内で善玉菌のエサとなり、善玉菌が活動しやすい環境を作ります。
腸内細菌の利用率が100%ともいわれ、ほかの食物繊維に比べ、整腸作用の高さが期待されます。
リグニンは不溶性食物繊維であり、腸内で有害物質を吸着し、体外へ排出してくれる働きがあります。
また便の材料となり、腸を刺激して排便をスムーズにしてくれます。
クロロゲン酸はポリフェノールの一種で、ごぼうのアクの成分です。
抗酸化作用があり、健康づくりや美容面でよい働きをしてくれます。
ストレスや紫外線、喫煙により生成された「活性酸素」という物質は、細胞を傷つけ、肌へのダメージや、がん、動脈硬化、免疫機能の低下を引き起こします。
クロロゲン酸は抗酸化作用により、活性酸素の働きを抑えたり、取り除いたりしてくれます。
カリウムは余分なナトリウムを排出する働きがあります。
ナトリウム(塩分)の摂りすぎが原因となる高血圧を防ぐために欠かせない栄養素です。
カルシウムは骨の材料となり、強い骨づくりに必要です。
カルシウムが不足すると、骨からカルシウムが取り出されてしまい、骨がスカスカになる骨粗しょう症の原因となります。
日本人の平均的な摂取量は不足気味であるため、意識的な摂取が大切です。
鉄は血液中のヘモグロビンの材料となり、貧血を防ぐうえで欠かせません。
ヘモグロビンは酸素を全身に運ぶ働きがあるため、不足すると疲れやすさ、息切れなどの症状を起こすことがあります。
※参照:文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」,厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」,厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」
ごぼうは100gあたり58kcalであり、キャベツ(21kcal)やブロッコリー(37kcal)などに比べるとカロリーが高い傾向がありますが、それでも白米や肉類などに比べると大幅にカロリーが低くなります。
たっぷり食べても太りにくく、ダイエットの強い味方です。
ほかに、ごぼうがダイエットにおすすめな理由は以下があります。
・噛み応えがあり食べすぎ予防になる
・消化に時間がかかるため満腹感が続きやすい
・食物繊維が豊富であり糖や脂質の吸収を抑えてくれる
ダイエット中に取り入れる際は、スープや炒め物などのメニューにするとカロリーを抑えやすくなります。
砂糖やみりんをたっぷり使う煮物や、油を多く使う揚げ物などはカロリーが高くなってしまうため、ダイエット中はなるべく控えたほうがよいでしょう。
「野菜は加熱すると栄養が減る」というイメージを持つかもしれませんが、ごぼうは調理によって栄養成分に変化はあるのでしょうか?
ゆでることで、水溶性のミネラルであるカリウムが減ってしまいます。
日本食品標準成分表に掲載されている、生とゆでたものを比較してみましょう。
ゆでることでカリウムの量が3割以上減ってしまっています。
カリウムをムダなく摂るなら、煮汁ごと食べられるスープなどの調理法がよいでしょう。
なお、カルシウムの量が増えているのは、ゆでたためにごぼうの水分量が減ったことが理由として考えられます。
ごぼうを炒めたり揚げたりした場合の栄養成分値の変化は、成分表には掲載されていません。
ビタミンCは加熱により損なわれることが知られているため、減ってしまうことが考えられます。
しかし、油と一緒に調理することで脂溶性であるビタミンEの吸収を助けてくれるメリットがあります。
また加熱によりごぼうがやわらかく食べやすくなるため、たくさん食べられやすい調理法でしょう。
ごぼうを水にさらしてアク抜きすることで、カリウムなどの水溶性の栄養素や、ポリフェノールであるクロロゲン酸が減ってしまいます。
ごぼうのアク抜きの理由は主に変色防止のためであり、必ずしも必要なわけではありません。
変色が気にならない場合は水にさらさない方が栄養素をよりムダなく摂れます。
水にさらしたい場合は、30秒程度と短時間にしておくとよいでしょう。
スーパーなどでは、ささがきにされ水につけられた状態の「ささがきごぼう」が売られています。
長く水につかっているため「栄養がないのでは?」と思うかもしれません。
確かに先ほど説明したとおり、水溶性である栄養素は損なわれてしまっていることが考えられます。
しかし、栄養素が全てなくなってしまうわけではなく、食物繊維はそのままの量を摂れます。
ごぼうの食物繊維などの栄養を手軽に摂りたいときや、ダイエット中に取り入れたいときには便利であるため、上手に活用してください。
調理により多少なりともごぼうの栄養成分が減ってしまうことがわかりました。
ほかにも、栄養素をムダなく効率的に摂るためのコツをお伝えします。
ごぼうは皮ごと食べても問題ない野菜であるため、ぜひ皮ごと調理するようにしてみましょう。
皮の部分には、ポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれています。
土臭さが気になる場合は、たわしや丸めたアルミホイルでこすることで、薄く皮をむくことができますよ。
ごぼうの切り方は、ささがきより乱切りがおすすめです。
ささがきだと切り口が大きくなるため、水にさらしたときにポリフェノールやカリウムなどの成分が流れてしまいやすいのですが、乱切りにすることで切り口が少なくなり、流出を防げます。
また乱切りにすることで、しっかり噛んで食べられるメリットも得られます。
栄養をムダなく取りたいとき、ダイエット効果を期待したいときはぜひ試してみてください。
ごぼうは食物繊維が豊富であるゆえ、毎日食べても大丈夫なのか心配になる方もいるかもしれません。
結論をいうと、ごぼうは毎日食べても問題ありませんが、食べすぎには注意が必要です。
やはり食物繊維が豊富であるため、食べすぎにより消化不良を起こし下痢や腹痛の原因となったり、栄養素の吸収を妨げたりすることがあります。
毎日食べたい場合は、小皿1皿分(70g)程度を目安にするようにしましょう。
これはバランスの良い食事の例を示す「食事バランスガイド」を参考にしています。
もちろん、これ以上食べて問題があるわけではありませんが、ほかの野菜をバランスよくとることも大切です。
ごぼうばかりに偏らず、バランスのよい食事を心がけましょう。
今回の記事では「ごぼうの栄養」について管理栄養士が解説しました。
ごぼうには、豊富な食物繊維をはじめ、ポリフェノールやビタミン、ミネラルなどのさまざまな栄養素が含まれます。
食べすぎには気を付けながら、ダイエットや健康づくりなどに活用してくださいね。
最後に、ごぼうの栄養をたっぷり摂りたいときにおすすめできるレシピを3つご紹介します。
食物繊維が豊富なごぼうとこんにゃくを組み合わせた、お腹をすっきりさせてくれる煮物のレシピです。
作り置きしておけば、食べたいときにすぐ食べられて便利です。
ごぼうとこんにゃくの煮物
ごぼう、こんにゃく、○めんつゆ(3倍濃縮)、○酒、赤唐辛子(輪切り)、ごま油
調理時間:20分
豚肉とごぼうをあわせてメインのおかずにすれば、ヘルシーでも満足感のある1品が完成します。
豚こまと新ごぼうの丸め焼き
豚こま切れ肉、新ごぼう、○しょうゆ、○酒、○みりん、○しょうがチューブ、○薄力粉、サラダ油
調理時間:20分
定番のメニューに飽きたときは、炊き込みピラフはいかがですか?
ついご飯をたくさん食べてしまうという方にも、食べすぎ予防としておすすめできるレシピです。
ベーコンとごぼうの炊き込みピラフ
ベーコン、ごぼう、米、○洋風スープの素(顆粒)、○酒、○しょうゆ、○にんにくチューブ、バター、塩・こしょう
調理時間:40分