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「我が家の貯金額は多い? 少ない? 」「他の家庭では、毎月いくら貯金しているの? 」お隣さんのお財布事情は気になるけれど、なかなか聞けませんよね。そこで、総務省の統計局が毎年発表している「家計調査」より、年齢別・年収別貯蓄額の平均などをチェックしながら、貯金額の目標を決めるときのポイントについてお伝えいたします。
※本記事での「年収」とは額面年収のことを指しています。
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貯金額について解説する前に、まずは言葉の意味をご説明します。よく混同してしまう表現として、「貯金」と「貯蓄」があります。「貯金」とは、「お金を貯める」という時に広く使われる言葉であるのに対し、「貯蓄」は、銀行や保険、有価証券などを含めた「金融資産の合計」の事を指しています。また、ゆうちょ銀行や農協(農業協同組合)の口座は「貯金」ですが銀行は「預金」と表現する違いもあります。
毎月の貯金額を決めず、何となく月の最後に余ったお金を貯金にまわしていませんか。貯金が上手くいかないという家庭では、そもそも「いくら貯金するか」に対する意識が低くなりがち。先々で必要な金額や時期を書き出し、明確な目標設定をすると貯金の意識が高まります。
例えば、主なライフイベントにおいて必要な貯蓄額は、教育資金なら子どもが大学に入学するまでに最低400万円(一人あたり)、住宅購入をするなら購入予算の2割(例: 購入額が4,000万円だとしたら800万円)、老後資金は65歳までに夫婦で4,000万円を貯めておくというのが目安となります。その他、車や家電の買い替えや旅行などの費用を考えて目標額を決めてみましょう。
ただし、現在の年齢や家族構成によって適切な貯金額は変わり、ライフステージなどにより貯蓄額は増減します。収入や支出の関係で順調に貯金できる時ばかりではありません。明確な目標設定に悩んだ際は、まずは以下で説明する”統計における貯蓄額の中央値”を目指して家計のやりくりをしてみて下さい。
ちなみに、目標金額に関わらず参考として覚えておきたいのが、手取り収入額における貯金額の割合。手取り収入から貯蓄にまわす金額の目安は、おおよそ手取り収入の10%が適切です。なお、子どもの教育費がかからない方や車を持っていない方は、20%程度を貯蓄にまわすのが良いでしょう。
統計局「家計調査(資産・負債編)-平成29年平均結果- (2人以上世帯)」によると、全世帯の平均貯蓄額は1,812万円。年齢別にみると、40歳未満は602万円、40歳~49歳では1,074万円、50歳~59歳は1,699万円となっています。
こうやって数字を見ると、金額の高さに驚く方も多いのではないでしょうか。「我が家の貯蓄額は全世帯平均に全く届いていない…」と嘆く必要はありません。全世帯の平均額は、60歳以降の貯蓄額が2,000万円以上と多いために高くなっているのです。ちなみに、勤労者世帯の平均貯蓄額は1,327万円です。
それでもやはり、平均貯蓄額が「高くて驚く」と思われる方もいるでしょう。実は、統計調査の平均は、一人でも高額貯蓄者がいれば金額が引き上げられてしまうため、実態とかけ離れた結果になってしまうことが多々あります。
そこで用いられるのが「中央値」です。中央値は、調査対象の結果を低い順に並べて真ん中にくる数値のことで、平均値よりも実態に近い数字であると考えられています。前述の調査では、貯蓄額の中央値は2人以上世帯全体が1,074万円、勤労世帯の場合は792万円です。どの程度の貯蓄額がオーソドックスなものかを考える場合は、この値を基準に考えてみると良いでしょう。
さらに調査を詳しく見てみると、平均貯蓄額1,812万円を下回る世帯が2/3以上であること、貯蓄0円世帯も多く存在することが分かります(貯蓄0円世帯を含めた、勤労世帯の中央値は743万円)。
また、収入と貯蓄額の関係をみると、やはり収入が高ければ貯蓄額も高くなる傾向にあります。勤労世帯のうち、年間の収入が~453万円の世帯では平均貯蓄額は795万円、年収453万円~592万円では989万円、年収592万円~740万円では1,114万円、年収740万円~945万円世帯では1,552万円です。
貯蓄額の多い少ないに一喜一憂をする必要はありませんが、現在の貯蓄額は今までの「成績表」と心しておくことは大切です。意外と貯蓄額をきちんと把握されている方は少ないので、ご家庭の貯蓄合計額を把握し、家計の中で月々どの程度貯蓄に回せているかを一度しっかりチェックしてみて下さい。
適切に目標設定をして、無駄は省きつつ、無理なく貯蓄に励みましょう。
参考: 総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果-(二人以上の世帯)