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大物家電に不具合が出ると修理や買い替えで予定外の大きな出費…!ということになりかねません。できれば故障なく長く使いたいもの。そこで、私たちがやってしまいがちな、家電の故障につながるNG行動を、家電スペシャリストに聞きました。
家電は、ちょっとした使い方の誤りが故障につながってしまうデリケートなものでもあります。家電の延長保証制度の設計や運営を行う「テックマークジャパン株式会社」の家電スペシャリストである本多宏行さんが、家電のNG使用例を教えてくれました。
IHクッキングヒーターのトッププレートは、耐熱強化ガラスが用いられているので正しく使われていれば破損することはありませんが、重いものや固いものを落とすといった強い衝撃がNGなことはご存じかと思います。また、汚れを落とす際に知らず知らずのうちにやってしまいがちなのが、金属たわしや耐水研磨紙などを用いての掃除です。強化ガラスであっても傷が付いた部分は脆くなり、大量の水や湯が入った重い鍋をそっと置いたつもりでも、わずかな衝撃でトッププレートが割れ、故障につながってしまう可能性があります。強い衝撃を与えないだけでなく、メンテナンスの際にもガラスに傷が付かないように注意しましょう。
また、拭きこぼしにも注意が必要です。トッププレートとキッチントップとのすき間から液体が侵入すると、制御基板を傷めてしまったり、各部をサビさせたりしてしまうことも。とはいえ、拭きこぼしは調理にはつきものなので完全に防ぐのは難しいかもしれませんので、拭きこぼしたらすぐに拭くことを心がけるようにしましょう。
オーブンレンジは物の出し入れに注意を。レンジ使用中はマイクロ波が出ています。このマイクロ波によって、アルミホイルなどの金属をレンジにかけると火花が発生する(スパークと言います)のはご存知のはず。庫内壁は地金のままだとスパークしてしまうため特殊塗装が施されているのですが、皿や鉄板を出し入れする際に塗装部位を傷つけてしまうと、地金がむき出しになり、スパークして故障につながってしまいます。出し入れの際は優しく取扱いましょう。
また、調理時にこぼれた食品の汚れを放置することも、オーブンレンジの故障の原因に。長時間放置された食品が度重なる加熱により焦げて炭化し、そこにマイクロ波が集中して発火、あるいは炭化部位を中心として破損するケースもあります。
冷蔵庫は、自動製氷装置の故障が最も多いそうです。その原因のひとつには、「製氷皿をスポンジで洗うこと」という衝撃的な事実がありました。製氷皿はでき上がった氷が剥離しすいよう、特殊なコーティングが施されています。スポンジでゴシゴシと洗うと、そのコーティングを剥がしてしまい、傷付いた部分に水が浸透してしまうので氷になってから剥離しにくくなってしまうとか。製氷皿に約10カ所ある氷の穴のうち1つでも氷がついたままになると、次の氷を作るために供給された水があふれ、機械部分を水浸しにしたり、すき間に入って凍ってしまい、最悪の場合ドアが開かなくなったりする故障が実例としてあります。
一度でもスポンジなどで製氷皿を洗ったことがある場合には、交換をお勧めします。製氷皿のみ交換であれば数千円ですみますが、放置してしまうと修理費用として数万円かかることも。できあがった氷が入る貯氷ケースの底に氷が張っているのが見つかったら、あふれた水が原因かもしれませんので、注意しましょう。
炊飯器の修理で見受けられるのは、電池切れによる液晶表示が消える症状です。コンセントからの電源供給が絶たれると、内部にセットされているリチウムイオン電池が機能します。このリチウムイオン電池は専用基板に溶接されているため消費者自身による交換が難しく、交換の際は「電池基板一式」となるため、費用としては7,000~9,000円ほどかかってしまいます。
リチウムイオン電池の消耗を最も早めてしまうのが、実は「コードの抜き差し」。使わないときはコードを抜くことが節電にもつながることから、あえて抜いている人もいるかもしれませんが、液晶表示部分の修理費用を考えると逆効果になってしまうことも。長期間使わないなどの理由がない限り、電源コードのプラグやコンセント周りに溜まるホコリなどに注意しておけば差しっぱなしがおすすめだと言います。
洗濯機内に衣類を詰め込みすぎると、モーターへの負荷が過大となり故障の原因になってしまいます。1回で洗う衣類の量は、機内の6~7割程度までが理想です。ちなみに、汚れがひどい衣類などを予洗いした際は、しっかり脱水してから洗濯機に入れましょう。特に全自動コースでは、水の投入量を機内の衣類の重さで感知しているため、水を多く含んで重くなった衣類があると正しい水量を感知できなくなる可能性があります。これにより直接故障につながるわけではありませんが、節水という観点からはNGと言えます。
掃除機の電源コードには注意しましょう。メーカーによって異なりますが、コードを引きつづけると黄色いテープが出てきます。この黄色いテープが「ここまでコードを引き出す」という目印だということは、あまり知られていない事実です。黄色いテープの位置までコードを引き出さずに使うと、掃除機の本体内で巻かれている電源コードが発熱する可能性があるそう。ちょっとした範囲の掃除でも、いったん黄色のテープまではコードを引き出して電源を入れましょう。
今回紹介した使用法のNG例は、説明書に記載されていることがほとんどです。とはいえ、説明書をじっくり読む人はあまりいないのが現実かもしれません。普段の生活でしてしまいがちなNG行動を知ることが故障を防ぐことにつながります。家事の相棒である家電製品、壊さずに長く使いたいですね。