食品に設定されている「消費期限」と「賞味期限」。同じ商品を購入するなら、できるだけ日持ちする方が良いですよね。ところでこの2つの期限について、何が異なるのかはご存知でしょうか。意味の違いや、そもそもこの期限がない食材はあるのかなどを解説します。


消費期限と賞味期限、何が違う?

まずは消費期限と賞味期限の違いを説明します。混同しがちな2つの期限ですが、それぞれ意味は大きく異なります。衛生上問題なく、また食品本来のおいしさを楽しむためにも覚えておきましょう。

消費期限の意味と該当する食べ物の例

消費者庁によると、「消費期限」は「定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の品質(状態)の劣化に伴い安全性を欠くこととなるおそれがないと認められる期限を示す年月日のこと」とされています。"定められた方法"とは、その商品を製造販売している各食品メーカーなどが決めた保存の仕方。基本的にはパッケージに「直射日光を避け、常温で保存してください」や「要冷蔵(10℃以下)」などその方法が書かれています。


保存方法の表示例

このように、パッケージなどに記載されている方法で問題なく保存した場合、衛生上問題なく、安全に食べることができる期限が消費期限です。なお、常温保存が可能な食材は保存方法が明示されていないこともあります。

消費期限を過ぎた食品は"安全に食べられる期日を過ぎた"ものです。くれぐれも食べないように注意すること。安易に「見た目やにおいに問題がなさそう」と自己判断して食べてしまうと、体調を崩す原因にもなりかねません。

なお、消費期限は"品質がすぐに悪くなりやすい食べ物"に使用されます。目安は製造日もしくは加工日から5日以内で傷んでしまったり味などが劣化してしまったりするものです。消費期限が早い食品を冷凍保存して傷むスピードを遅くするという手段がありますが、長く冷凍保存すると味も損なわれ品質も劣化します。たとえ冷凍保存したとしても、できるだけ早く食べきるようにしましょう。

品質がすぐに悪くなりやすい食べ物の例

調理パン、生麺、豆腐、食肉、ケーキなどの生洋菓子、弁当や惣菜など。野菜や果物などの生鮮食品には基本的に期限表示の義務がないため記載がありませんが、傷みは早いので購入後はパッケージにある適切な保存の仕方で管理し、すぐに食べきってください。またパンはものによって「消費期限」と「賞味期限」のどちらを使うかが分かれます。野菜や加工肉などの具材を使った調理パンは他のパンよりも傷みやすく、消費期限のケースがほとんどです。



賞味期限の意味と該当する食べ物の例

次に賞味期限について解説します。消費者庁によると、「賞味期限」とは「定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日のこと」とされています。つまり、パッケージの指示通りに問題なく保存したときにおいしく食べられる期限が賞味期限です。ただし商品によっては賞味期限を過ぎてしまっても、味や品質がしばらくは変わらないケースも。ここは消費期限と大きく異なる点です。とはいえ、十分に注意が必要なのは同じ。賞味期限がきれたものを食べるか迷った場合は、判断力のある大人が見た目やにおいなどをよく確認し、判断するようにしてください。少しでも違和感を覚えた場合は食べないようにしましょう。

なお、賞味期限は6日以上品質が長持ちする食べ物に適用されます。逆に、5日以内に品質が劣化する食品に関しては消費期限が適用されます。

品質がすぐには悪くなりにくい食べ物の例

ポテトチップスなどのスナック菓子やカップ麺、チーズなどの乳製品、缶詰、ペットボトルドリンクなど。賞味期限を長く設定したいものには、保存料などの食品添加物が使われていることもあります。

例えば同じ"ポテトチップス"でも、「食品添加物不使用」にこだわって作られているポテトチップスは賞味期限が製造日から2週間程度、一般的なスーパーなどで販売されているものは数か月、ということもあります。同じカテゴリの商品だからと言って期限の長さは同じではないため、ご注意ください。

また少し意外なのが、牛乳も「消費」ではなく「賞味」期限の方に入るということ。一般社団法人日本乳業協会によると「牛乳の加熱殺菌は、有害な細菌を死滅させるために行われるもので、多くのチルドの牛乳で採用されている超高温瞬間殺菌は殺菌効率が高いので、『賞味期限』表示」なのだといいます。ただし、低温殺菌牛乳は殺菌効果が低いため消費期限表示となります。

期限の長さにもよりますが、災害時などの備蓄用に食品を保管しておきたい場合は「品質が悪くなりにくい食べ物」の中から、賞味期限が長めのものを選んでおくと良いでしょう。



一度袋を開けても期限は有効?



お菓子や調味料など、1度で食べ(使い)きれずに封をして置いておく際、いつを目安に食べ(使い)きれば良いのか迷ったことはありませんか。再度食べてみたらパッケージの消費期限・賞味期限内なのに味が落ちてしまっていたという経験がある人も多いはず。

説明した通り、消費期限と賞味期限の両期限は「定められた保存方法で保存した場合に」安全もしくはおいしく食べられる期限ですが、これは食品を開封せずに保存していることが前提。そのため一度袋を開けると、決められた適切な保存方法とは言えなくなります。「消費期限や賞味期限までなら食べられる」と思わず、開封した際は極力早く食べきるように。また、「開封後は冷蔵保存」などと表記がある場合は、その内容に従いましょう。

賞味期限や消費期限がない食品はあるの?



「料理をしようと思った時に、使いたかった食品のストックを切らしていた……! 」なんて事態は避けたいもの。買い物の手間を省くために、よく使うものは買いだめしておくという方も多いでしょう。ところで、各商品のパッケージを見てみると、期限が年月日まで書かれたもののほか、年月までの(日まで設定されていない)ものやそもそも書かれていないものもあります。これはなぜだかご存知でしょうか。

実は、賞味期限を表示しなければいけない食品のうち、製造もしくは加工後3カ月以上、安全かつおいしく食べることができる食品は、賞味期限の記載は「年月」だけで良いとされています(※ただし決められた保存方法を守った場合に限ります)。また、長い間保存しても食品の品質や味わいがほとんど劣化しないものは賞味期限の表示はしなくても良いと決められているのです。こういったものの例は、塩や砂糖、一部調味料などです。また、通常-18℃以下で保存されるアイスクリームも品質の変化がほとんどないという理由から賞味期限の記載義務はありません。

買い物でストック用の食品を購入するか迷った場合は、「賞味期限の記載がない食品についてはある程度ストックしておいても品質や味が損なわれないので大丈夫」などと参考にすると良いですね。ただし「買いすぎて収納する場所がない! 」なんてことにはならないように注意して購入しましょう。

消費期限や賞味期限を決めているのは誰?

消費期限や賞味期限については、厚生労働省や農林水産省が表記を義務付けやどの食品にどの期限を適用するかなどを定めています。では、各食品の期限を具体的に決めているのは誰なのでしょうか。

これについては、食品の製造・加工元の各企業で安全またはおいしく食べられる期限が決められています。各社が表記する責任を負い、実験やこれまでの経験をもとに各品の期限を設定しているのです。

「もったいない」という気持ちはとても大切ですが、消費期限を過ぎた食品を食べたことにより体調を崩してしまうことも。またスーパーでお買い得になっている時につい買いすぎてしまい、結局賞味期限ぎれでおいしくなくて捨ててしまうという経験はありませんか。期限を守らないと体調不良や食品廃棄にもつながってしまいます。表示された保存方法を守り、期限までに食べきれる量を購入するようにしてくださいね。

監修: 管理栄養士 尾花友理


情報提供元: トクバイニュース
記事名:「 消費期限と賞味期限の違い--誰が決めてる? 期限記載なし食品もあるって本当??