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階段上のベンチからパン作りの作業工程が見学できるベーカリー内で行われた説明会に登壇した同社の丸岡武司代表は、輸入食材の通販業として始まった同社の成り立ちや、時にフランスまで足を運んでいた趣味のベーカリー巡りが高じて8年前に創業したトリュフベーカリーの歩みを始めに振り返り、続いて同社にとって国内最大級の拠点となる本施設のコンセプトを説明した。
世界の食材を扱ってきた成り立ちから、従来より素材への並々ならぬこだわりを持ってきたトリュフベーカリー。その上で丸岡氏は「パンに使われる半分くらいの材料は水なので、新たなチャレンジとして天然水を使いたいと思い、八ヶ岳に拠点を持ってきました」と語り、開発拠点を移した一番の理由にこの地の天然水をあげる。
また、本施設はラボであることから営業日を金曜から日曜の週3日に絞る予定。その他の日は商品開発にあてるという。そのため、ここだけの試験的な商品が登場することもあるといい「他の店舗にはないいろいろなパンが毎週並ぶ、喜びのある空間にしていきたい」と同氏。加えて、広大な空間と周囲の環境を活用し、季節のフルーツの天然酵母を使ったパン作りや、手ごねと自然発酵による原始的なパン作りにも取り組んでいきたいと意気込む。
一方で空間作りについては「料理人に比べて光が当たることが少ないパン職人にスポットライトが当たる空間にしたかった」と述べ、まるでキッチンが主役の映画を見るような空間をイメージしたことを明かした。
「山梨県は名産品のフルーツがたくさんあって、小麦も栽培している。何より野菜がとんでもなく美味しい。だから野菜のタルティーヌなどを通じて地方の美味しいものを伝える役割も担っていきたい」と、この土地の水以外の魅力も語った同氏。最初は「自分はあまりこういう場に出るタイプではないので」と不安を見せていたが、そのエネルギッシュな語り口は、尽きることないパンへの愛を十分に感じさせるものだった。
続いて、水の良さをシンプルに実感できる高加水の『天然水ブレッド』をはじめ数種類のパンが試食として提供され、担当者がそれぞれのこだわりを説明。
その中で『麓のまるごとカブ』は、天然水で皮ごと煮た信州産のカブを丸ごと使った大胆な一品。同じ八ヶ岳山麓で隣接する信州・野辺山産の牛乳を使ったベシャメルソースで、柔らかなカブがミルク感たっぷりのソースと交わる優しい味わいが楽しめる。
ルバーブも推しにしていきたい地元食材のひとつだといい、オープン時は『ルバーブタルト』『ルバーブのクリームパン』『ルバーブ・ルージュ』の3商品がラインナップ。素材の持つ酸味を活かした味わいになっている。
定番メニューをアレンジした『白トリュフの塩パン version八ヶ岳』は、八ヶ岳の牛乳を通常品より20%増量し、ミルキーさをアップ。乳酸菌アロマの使用に力を入れたいという同店の思いが強く表れた商品でもある。
その他、どれも独創性を感じさせるパンは、すべてが既存の在り方を変えながら食材と製法を追求するトリュフベーカリーらしさを感じる味わいだった。
その後の自由時間では、隣のカフェテリアも見学。
秘密基地感があるベーカリーとは打って変わって、こちらはほぼ全面ガラス張りの開放的な空間で、中から眺めるガーデンの景色は、まるで四季の移ろいで色を変える一枚の絵画を見ているかのよう。
こちらでは天然水を使ったドリップコーヒーやソーダ、ルバーブヨーグルトなど25種類のドリンクが提供され、ベーカリーで購入した商品ももちろん飲食可能。また、先ほどと同じ野辺山産の牛乳を使ったソフトクリームも提供し、甘くてコク深いその味は、ますます熱くなるこれからの季節に人気を呼びそうだ。
なお、この日の会場では、来年春に竣工予定の予約制レストランや設置検討中のパティスリー、ファーマーズマーケットなど第2期以降の構想も紹介された。
「TruffleBAKERY 南八ヶ岳」は7月4日にオープン。同社がトリュフベーカリーにとって“第2章の始まり”と位置付ける新たな開発拠点は、パン好きであれば遠方からでも足を運びたいと思うスポットになることは間違いない。
【店舗情報】
TruffleBAKERY 南八ヶ岳
所在地:山梨県北杜市大泉町西井出字石堂8240-6728
開業日:2025年7月4日(金)
営業日:金・土・日曜日を予定
アクセス:《鉄道》JR小海線・甲斐大泉駅から徒歩25分 《車》中央自動車道・長坂ICから15分
https://truffle-bakery.com/?page_id=3704
※その他詳細は順次下記の公式インスタグラムで更新予定。
https://www.instagram.com/trufflebakery_yatsugatake/