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中部電力 MIRAI TOWERがSAMURAI BLUEカラーにライトアップされた夕方から始まったパブリックビューイングのスペシャルトークショーには、元サッカー日本代表監督のフィリップ・トルシエ氏、元日本代表選手の戸田和幸氏、元なでしこジャパンの岩渕真奈氏がゲストとして登場。
司会を務めたフリーアナウンサーの野村明弘から始めにFUN&ZONEを訪れた感想を尋ねられた3名は、「小さなグラウンドでサッカーをしている子どもたちを見てとっても雰囲気がいいなと思いました」(岩渕)、「ヨーロッパでは大きな試合の前にファンゾーンが作られて、試合前にアトラクションを楽しんでから試合に向かう文化があって、それに似た雰囲気を感じられる場ですね」(戸田)、「フランスにもこのように皆で集まって一緒に良い時間を過ごすイベントがありますが、フランスの場合はだいたい周りに警察官がいるので、日本は本当に平和だと思います」(トルシエ)とそれぞれの印象を述べた。
トルシエと戸田がゲストということで、前半のトークは自国開催でベスト16に初進出した2002年の日韓W杯の話題に。
最初に当時のチーム作りについて「当時はA代表、五輪代表、U-20代表を一体的に考えた準備を行いました。また、あの頃は今の選手たちと比べても高い能力を持った選手が多かったので、優秀な選手同士を競わせて練習させること、良い選手の真似をして力を上げさせることを徹底しましたね」と監督時代さながらの手ぶりを交えながら語ったトルシエ。
それに対してチームの一員として日韓W杯を戦った戸田は「僕は2000年のシドニー五輪のメンバーに選ばれなかったので、フル代表に選んでもらうまでは『ふざけるな』という気持ちでやっていました」と本音で当時の心境を明かしつつ、「ユースからフル代表まで一人の監督が指揮を執るというのはあの時だけで、その中で若い選手を徹底的に鍛えながら上の世代と融合させてすごく良い成績を上げられた。あの時、もしも日本代表チームがグループリーグを突破できなかったり、もっと弱々しいパフォーマンスをしていたら今はなかったと思う」と、かつての指揮官をリスペクトしながら当時を振り返った。
一方で、当時は小学生でサッカーを始めたばかりの頃だったという岩渕は、「やはり自国開催というのは他の国でやるのはまったく違うので、想像すると物凄いプレッシャーだったと思います」と自らの代表経験も重ね合わせながらコメント。
その後、同大会を赤髪のモヒカンスタイルで戦ったことを野村アナからイジられた戸田は「僕は髪が赤かったけど、トルシエさんは怒ると真っ赤になっていた」と絶妙なパスでトークを元監督に振る。すると、それを受けたトルシエは「やはりサッカーは情熱のスポーツですからね。その情熱を私なりに表現して伝えたら彼の髪も赤くなった。それを見て私もまた赤くなって、結果的にそれぞれが良い方向に行ったと思っていますよ」とジョークで流して会場の笑いを誘った。
その後、当時の日本代表を象徴する守備戦術だったフラット3など引き続き日韓W杯の話題で盛り上がった後、後半はこの時点で次のW杯出場が目前に迫った現在のサッカー日本代表がテーマのトークに。
ここでは「日本はW杯でベスト16以上に進めていませんが、2018年のロシア大会、2022年のカタール大会ではその天井を破る力を持っていたと思っています。次こそ天井を破り、さらに上の成績を残すことを目標に戦ってほしいです」と今の日本代表に対する思いを語ったトルシエ。
一方で「アジアでこれだけの成績を残せていますし、ヨーロッパで活躍している選手の数の多さを考えても本当に強いと思います」と、岩淵が現在のチームに対する印象を述べると、それに同調した戸田が「代表チームは毎日一緒にプレイしているわけではないので難しいところも多いと思いますが、日本代表の選手たちは本当にみんな意識レベルが高くて、一人一人のコメントを聞いていると代表チームのためにヨーロッパで努力しているとさえ感じることもあります」とその強さの秘訣を深掘りして分析。
その後、3名がこの直後に始まる日本代表対バーレーン代表戦の予想スコアを発表。「2-0」(トルシエ)、「4-0」(戸田)、「3-0」(岩渕)と、いずれも日本快勝の予想が発表されたところで大型ビジョンに埼玉スタジアム2002の様子が映し出されると、場内には興奮と緊張感の入り混じった空気が流れ始める。そして全員起立しての国歌斉唱を経て、勝てば本大会出場の一戦がいよいよキックオフの時を迎えた。
皆さんご存知であろう試合結果については詳細を割愛するが、テレビでも人気の高い戸田&野村アナのコンビに加え、日本サッカー界の大功労者であるトルシエ、時折ユーモアを挟んだ岩渕の生解説を聞けたのはサッカーファンにとって“胸アツ”な体験。場内では攻守のいいプレーが出るたびに拍手が上がり、チャンスやピンチの場面では「よし!」「きた!」「行け!」「大丈夫だ!」といった声がいたるところから起こる。
続いて待望のゴールが決まると無数の青いサイリウムが歓喜に揺れ、試合終了のホイッスルで来年のW杯出場が決まった瞬間、550人の観衆たちの喜びは頂点に。それはまるで遠く離れた本会場の埼スタと一体になったかのような臨場感だった。
なお、この日は中部電力 MIRAI TOWERの3階で期間中常設開催されている「出張 JFAミュージアム」も鑑賞。
こちらでは日本がW杯初出場に王手をかけた1994年アジア最終予選の“ドーハの悲劇”から現在に至るまでの日本代表のW杯における激闘を伝える品々が東京の日本サッカーミュージアムから出張展示。2006年ドイツ大会・ブラジル戦で中田英寿選手が着用したユニフォームや2010年南アフリカ大会・カメルーン戦で本田圭佑選手が着用したユニフォーム、2018年ロシア大会ベルギー戦の使用球に現代表のサイン入りアイテムなど、各年代のファンがそれぞれの蘊蓄を語りたくなるような、歴代大会の重大局面を物語る品が多数展示されている。
日本のW杯出場が当たり前のようになり、世界の頂点も夢ではなくなったと感じる今、親子やグループで訪れて30年にわたる熱き戦いの歴史を語り合うのもきっと楽しいはず。そのほか、代表戦後のヒーローインタビューのように記念撮影ができるスポットもあるので、ぜひ欠かさずに訪れてほしい。
なお、本会場では3月25日の日本代表対サウジアラビア代表戦でもパブリックビューイングイベントが開催され、GAKU-MCのスペシャル応援ライブと元日本代表選手の坪井慶介をゲストに招いたトークショーが行われる予定だ。いつもはグランパスカラーの赤が目立つ名古屋の街を束の間SAMURAI BLUEに染める6日間。歴代最強といわれる日本代表のプレーを大勢の人と共有する時間は、きっとかけがえのない喜びを運んでくれるに違いない。日本代表を応援するエンターテイメントイベント「FUN&ZONE」は、3月20日から25日まで愛知県名古屋市のHisaya-odori Parkで開催中。