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安藤優子、ジョン・カビラの両氏がMCを担当した今回のイベントでは、まず初めに、UPI代表理事の西村峯満氏が主催者を代表して挨拶。「このように多くのノーベル平和賞受賞者が一つのテーマにおいて団結して行動することは今までになかったことであり、実に嬉しい限りです」と最初に述べた西村氏は、昨今の世界情勢や世界平和について強く訴えて、自身とUPIが掲げる世界平和へのビジョンを語った。
続いて、ゲストとして招かれた5名のノーベル平和賞受賞者と、体調等の都合でビデオメッセージでの参加となった1992年ノーベル平和賞受賞者のリゴベルタ・メンチュ・タム氏が順に講演。それぞれのテーマで世界平和に向けた提言を行った。
一人目に登壇したレイマ・ボウィ氏は、女性が平和構築活動に安全かつ全面的に参加できるよう求めた非暴力活動で2011年のノーベル平和賞を受賞したリベリアの女性平和運動家。
「世界平和に資する女性の役割」をテーマにスピーチしたボウィ氏は、今起こっている戦争や内戦が激化する世界の現状を憂いながら、自身の母国であるリベリアで1989年に起こった内戦を回想。今までの自らの活動を振り返った上で「私たちの成功は世界の他の地域でも再現できるのか。その答えは『YES』だ」と力説した。
次に登壇したカイラシュ・サティヤルティ氏は、奴隷労働を強いられていた児童の救出や教育普及活動を1980年代から続け、2014年のノーベル平和賞を受賞したインドの人権活動家だ。
「児童保護と世界平和」をテーマにスピーチを行った同氏は、かつて30年以上前に来日した際に、広島、長崎、そして水俣を訪れたエピソードを披露した。
続いて「民主主義と市民主権」をテーマにスピーチを行ったシリン・エバディ氏は、人権活動家、民主運動家としての顔も持つイラン人弁護士。民主主義と人権擁護に対する貢献が評価され、2003年のノーベル平和賞を受賞した同氏は、イラン人初、また女性のイスラム教徒で初のノーベル賞受賞者となった。
百年に渡るイランのフェミニスト運動について語った同氏は、自らの考えを述べた。状況が変わりつつある同国の現状を説明した。
続いて、イエメンでの平和貢献活動が認められ、2011年のノーベル平和賞を受賞。同国初のノーベル賞受賞者となった女性活動家のタワックル・カーマン氏は「多国間での国際協調・マルチラテラリズム」をテーマにスピーチした。
そして、講演者として最後に登壇したジョディ・ウィリアムズ氏は、対人地雷の禁止および除去における活動が認められ、地雷禁止国際キャンペーンととも1997年の同賞を受賞したアメリカの平和活動家だ。
「グローバルガバナンスによる世界平和の実現」をテーマにスピーチしたウィリアムズ氏。
それぞれの視点から世界平和への貴重な提言をしてくれたノーベル平和賞受賞者たち。また、この日は国連前事務総長の潘基文氏もスペシャルゲストとして来場。これから始まるUPIの活動を激励した。
そのほか、この日は東ティモールの元大統領で1996年のノーベル平和賞受賞者であるジョゼ・ラモス=ホルタ氏がビデオメッセージで祝辞を寄せたほか、実業家で世界連邦運動協会会長の大橋光夫氏、衆議院議員で世界連邦日本国会委員会会長の衛藤征士郎氏も来賓を代表して挨拶。世界平和、そしてSDGsが目指す持続可能な社会の構築に向けて、広範で鋭い視点からの意見が交わされた。
講演の後には、一般財団法人ピースコミュニケーション財団による「世界こども未来会議」とのコラボ企画も実施。閉会の挨拶にはUPI代表理事の西村氏が再び登壇し、「私たちUPIは本日を契機に新たなスタートを切っていきます。人類の永遠の悲願であった、世界平和の実現に向けて、誰もがなし得なかった非常に難しい事業にチャレンジしていきます」と力強く宣言して全体を締めくくった。