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もじ鉄、知ってますか? 撮り鉄、乗り鉄、呑み鉄(マイナー?)の鉄です。鉄道にまつわる「文字」に魅せられたひと。ざっくりいうとそんな感じですかね。
もじ鉄のための情報サイト「もじ急行」を運営する石川祐基さんによると、主なターゲットはプラットフォームの駅名標。日ごろ意識せずに見ている人がほとんどだと思いますが、駅名に使われるフォント(書体、写植もある)やデザインって、鉄道会社それぞれの味があるんです。しかも、その味は時代とともに少しずつ変わってきています。とくに最近は、2020年の東京オリンピックに向けて変化が激しいのだとか。新旧が入れ替わる変革期にあるんですね。
そんなディープなもじ鉄ワールドの楽しみ方を石川さんにレクチャーしてもらいました。
第4回は「京阪電気鉄道の文字」。京阪電車ユーザーのみなさま、ぜひここでご紹介するポイントを押さえて、駅の文字をチェックしてみてください!(バックナンバーはこちら)
京阪の駅名標、サインシステム全般に言えることは、良い意味で恐ろしいほどの美しさ。正規サインから、臨時サインにいたるまで、もはや “新ゴ” 、“Frutiger”、ストライプ大好き病とも思える徹底した統一美で、「公共交通のサインシステムとはこうあるべき」ということを教えてくれる。この潔癖症にも近い完璧主義さは、日本一と言っても過言ではない。
統一美は駅名標などの看板だけではない。ゴミ箱はもちろん自販機まで書体とトンマナ(※)の統一が図られている。
※トーン&マナー、デザインの一貫性
統一美だけが魅力ではない。普段はまったく気づかないような箇所にも、京阪のこだわりが垣間見れる。駅名標の白いラインに注目してみよう。それぞれに進行方向を示す切れ込みが入れられているが、駅やホームによってその形が異なっているのだ! これには一体どういう意味があるのだろう…。
同じホームから上下線の両方向へと列車が発着する場合は、切れ込みが左右に外側を向き、「どちらへも向かう」様子を表している。
これ以上は線路が続いていない “終点駅” では、切れ込みが進行方向寄りの片側だけに入れられ、この駅が最後であると表している。
線路は続いているものの、このホームに到着する列車はここで折り返しとなる “終着駅” では、切れ込みが垂直になりEND感が表される。
文字だけでなく色もサインシステムの大事な要素。のりば案内を含む基本的なサインは濃紺、出口は黄色、うりばは緑、駅事務室は赤、のりかえ路線は、より深い紺と、それぞれに役割を持っているのだ。
※掲載中の駅名標等は現存しない場合がございます。また、書体は石川祐基氏が調査したものであり、実際と異なる場合がございます。
もじ鉄案内人|石川祐基 グラフィックデザイナー
1987年東京都生まれ。東京工芸大学芸術学部中退。アニメーション・デザイン制作会社を経て、2016年より「もじ鉄のための鉄道と文字のウェブマガジン もじ急行」を制作・運営。2017年にデザイン事務所「デザイン急行株式会社」を設立。おもな仕事に、NHK「キッチン戦隊 クックルン」、新江ノ島水族館「えのしまんず」、アイドルユニット「神宿」ロゴデザインなど。Web・SNSはこちら → もじ急行|Twitter|Instagram
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