ビール女子のみなさま、こんにちは!ポートランド在住の東リカです。
ポートランドの女子ブルワーをリレー形式で紹介するこの企画。2人目は、前回のリーさんが「やる気があって、謙虚で、創意工夫の人!」と大絶賛しつつご紹介下さったジェン(Jenn McPoland)さんです。





彼女もリーさん同様、女性ブルワーに焦点を当てたポートランドのビールイベント「SheBrew」の立ち上げから尽力してきたポートランドを代表する女子ブルワーです。


自宅にプライベート・タップルーム!





ジェンさんが待ち合わせに指定したのは、彼女のご自宅。夕方お家に伺うと、通されたのはなんと家の裏にある自前のタップルーム!


ジェンさん、初めまして!今日はよろしくお願いします。それにしてもお家にタップルームがあるなんて驚きました!営業しているんですか?


Jenn





違うわよ。ただの趣味。夫婦で飲んだり、近所のみんなとパーティーしたりするの。外で映画も上映したりして。
まあ座って。ビール飲むでしょ?いつもなら半分くらいは私たちの作ったビールなんだけど、残念ながら夏からめちゃくちゃ忙しくって、ちょうど切れてるの。でもIPA好きなら、Breaksideの『Wanderlust IPA』は、間違いなく気に入るはず!





ありがとうございます!それにしても、趣味でこれはすごいですね! 11タップの樽生って…!


Jenn





ビール好き同士で結婚しちゃったからね。私たちの子供みたいなものよ(笑)タップルームの名前も、私の苗字のMcPolandと夫の苗字のLandersを合わせた「McPolanders」なのよ。





愛情が伝わってきます!それにしてもジェンさんは、何がきっかけでそんなにもビールにのめり込んだのですか?


Jenn





ポートランドのベルモント通りにある「Horse Brass Pub」の常連客だったんだけど、そこで友達になったサーバーが、ビールの勉強会に誘ってくれてね。ビールの飲み比べだと思って喜んで付いて行ったら、ビール審査のクラスだったの。そこで、ホームブリューイングについて色々なレクチャーがあって。
で、彼女に「責任とってホームブリューイング教えて」って頼んで…、そこからかな。




作る方にも手を出してしまったんですね。ビール作りの魅力はなんですか?


Jenn





ビールの味はもちろん、種類が多くてクリエイティブなところビール作りは自由で、私の創造力のはけ口(creative outlet)よ。
ホームブリューイングを始めて、オレゴンで一番歴史のあるホームブリューイングクラブ「Oregon Brew Crew」に入ったんだけど、そこで夫と知り合ったの。
結婚式は「Widmer Brothers」のタップルームが会場で、乾杯は私たちが作った甘酸っぱいベルジャンビール(笑)。ちなみにハネムーンは、3週間かけてベルギー、ドイツ、チェコを回ったんだけど、ミュンヘンで「オクトーバーフェスト」の200周年祭にも参加したのよ。





最初からお二人ともかなりのビール好きだったんですね。そして一緒になって、ますますビールへのハマりっぷりが加速したというわけですか(笑)。いつもお二人でビールを作って入るんですか?


Jenn





だいたいそうかな。私がレシピを考えて、一緒に作る。意見が食い違った時は、それぞれのレシピで作ることもあるけど、醸造は協力し合う。あ、でも「SheBrew」のコンペに出すものは、私が一人で作ってるの。去年は、ペア・ジンジャー・サイダー「Ginger Perry」で「Best of Show(全サイダー部門の最優秀賞)」を受賞したのよ。






女子ブルワー増加の好循環



すごいですね!他にもたくさん受賞されていますよね、メダルがいっぱい。ご夫婦で作ったビールも多いと思うのですが、女性ブルワーならではの特徴ってあると思いますか?


Jenn





あるある!女性ブルワーはとてもクリエイティブ。材料にしても考え方にしても、型にはまらないユニークなものが多いと思う。前回の「SheBrew」のコンペには、グリッター入りのビールが2つも出たのよ。1つはリーの緑色のベルジャンビールでしょ。もう1つは、「ゴールドダスト・ウーマン」っていう金色のもの。材料にしても、ラベンダーのような花を使ったりね。




なるほど。それらの斬新なビールに対する周囲のブルワーの反応はどうでしょうか。


Jenn





刺激を受けていると思う。前よりもいろんなビールに対してオープンになってきているのは確かね。女子ブルワーがビールコンペで受賞しているのも大きいし、「女子ブルワーを雇いたい」ってブルワリーも増えてきたわ。
SheBrew」を始めた最初の2年は、参加してくれたプロの女子ブルワーは2人きりだったんだけど、去年は22人!全て女子ブルワーのビールやサイダーでイベントを開催できたの。そして、次の第5回目は、3月開催なんだけど、既に31人の地元の女子ブルワーが参加申請してくれてる。
女子ブルワーは飛躍的に増えているの。おいしいビールを提げたかっこいい女子ブルワーが表に出るようになって、これまでブルワーは男子の仕事だと思い込んでいたビール女子が「私にもできるかも!」ってブルワーを目指しているみたい。




この好循環には、「SheBrew」が貢献していますよね?


Jenn





そうね。「SheBrewは非営利イベントで、ビール女子のコミュニティとして機能しているの。パシフィック・ノースウェスト(オレゴンやワシントン州)のビール女子が女子ブルワーを見つけると、すぐ私に連絡が来る(笑)。みんなでクラフトビールを盛り上げようっていう同志意識が強いの。






大好きなクラフトビールコミュニティ



ジェンさんは、ポートランド出身ですよね。近年ものすごい勢いでクラフトビールのブルワリーが増えるのを目の当たりにされたと思うのですが、どのように感じていますか。


Jenn





うん、すごいことになってるよね(笑)。この辺(ポートランド北部ケントン地区)はまだ増える余裕もあるけど、一部エリアは「これ以上無理」ってとこまで来てるかも。ブルワリー営業って結構大変だから、なーんにも考えずに始めると、続かない…。けれど、新しいビールが出てくる度にワクワクするわ。




ご夫婦で、そこまでビール好きなら、「ブルワリー営業が夢!」なーんておっしゃっても不思議じゃないと思うのですが?


Jenn





いやいや、本業にしちゃうと、大変よー。二人とも今、安定した良い仕事があるし、好きなビールを家で自由に作って楽しく飲んだり、たまにブルワリーとコラボしたりって感じがちょうどいいの。
私たち、実は「SheBrew」以外にも「Holiday Ale Festival」とか「Portland Craft Beer Festival」、「Oregon Beer Awards」などのビールイベントもボランティアで手伝っているの。大変なんだけど、ビールもこのクラフトビールのコミュニティも大好きだから。




お金のためにはしたくないんですね。でも、ブルワリーで自分のビールを出すことは、お客さんの反応もあって、やっぱり楽しいんじゃありませんか?


Jenn





そうね。「Untappd(ビールのSNS)」でお客さんの評価をチェックしたりね。




どれくらいの頻度でブルワリーとのコラボビールを作っているのですか?





撮影:Jeremie Landersさん(ご主人)



Jenn





年に数回かな。クラフトビールコミュニティと密に繋がっているから、ブルワーと話していて、「そのビール面白いね、やろう」みたいな感じで。あと、ホームブリューコンペの受賞特典にブルワリーでビールを作るってことも割と多いの。ポートランドのブルワリーは、結構どこもそういうコラボに積極的よ。




ご自身の代名詞的なビールはありますか?


Jenn





特にない。毎回、違うビールを作るから。賞を取ったものでも、繰り返し作るってことはないの。新しいものを作りたくなっちゃう。
例えば、友達が畑で取れたルーバーブをたくさん持ってきてくれたからこれでビール作ってみよう、みたいな。それで、ルーバーブならウィートで、とかスタイルを決める。
ビールのレシピは、いろんなレシピを比べて外せない要素を頭に入れて、自分達流のアレンジをする。料理と一緒よ。




人生を変えた一杯ってありますか?


Jenn





うーん、難しい…。けど、オレゴン東部の街、エンタープライズにある 「Terminal Gravity Brewing」のIPAには衝撃を受けた。ホップ好きになるターニングポイントだったかも。






最後に日本のビール女子へ一言お願いします!


Jenn





とにかく違うビールを色々と飲んで欲しい。ビールはワインを上回る数のスタイルがある。90種類くらいもあるのよ。私、ビール苦手って人にも、美味しい!って言わせるクラフトビールを見つける自信があるの。絶対にどの人にもぴったりのスタイルがあるって保証するわ。






Jennさん、ありがとうございました!
情報提供元: ビール女子
記事名:「 【インタビュー】自宅には自前のタップルーム!ポートランドを代表する女子ブルワー