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2022年末にChatGPTが注目されたことで、AIを活用したサービスは急増しています。
自民党も行政・民間でのAI活用を推進する意向をホワイトペーパーにて示しており、AIが世界的に大きな影響をもたらしていることは疑いようがありません。
エンタメ領域においても、AI技術は非常に大きな関心を集めています。
ChatGPTのAPIが2023年3月に公開されたことにより、AIアバターの創造という新たな試みが次々に行われています。ChatGPTと3Dアバター、そして音声読み上げソフトを用いることで、架空のキャラクターとも自然な形で対話することが可能となったからです。
AIとアバターという両技術の融合により実現したこの流れは、今やメタバースやゲームの領域に留まらず、現実にまでも影響をもたらす可能性が表れています。
今回はAIアバターのメタバース、現実における活用事例を解説します。
AI技術は現在進行形で進化を続けている分野ですが、既にAI技術を活用した事業を展開している企業も数多く存在します。
本項目ではその中でも特に注目したいAIアバター事業について解説します。
プレスリリースより引用「Gatebox、ChatGPTによる新型AIキャラクター開発でクラウドファンディングを開始」:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000026497.html
Gateboxは、好きなキャラクターとの生活を楽しめる召喚装置です。
カメラやマイクが装置には搭載されているため、ホログラムで映し出されたキャラクターが自然な形で会話を行うことができます。
毎朝の挨拶や食事、睡眠、作業時に話しかけることでキャラクターが場面に応じたリアクションを取るため、まさに一緒に生活している感覚を体験することが可能です。
Gateboxの注目すべき点として、ChatGPTとの連携を行うクラウドファンディングを実施した点があります。
従来のGateboxでも基本的な受け答えが可能であり、寝食や衣装の変更も可能であったりと、かなりの自由度の高いコミュニケーションが可能でした。
しかしChatGPTのAPIが公開されたことをうけ、より自由度の高いコミュニケーションを実現することを目的としたクラウドファンディングを行いました。
最終的に目標額の10倍ほどとなる5096万円の資金調達に成功したことは、まさしくAIアバターに対する世間的な注目度の高さを示しているといえます。
ChatGPTとの連携により自由度の高い会話を実現し、豊かな感情表現と掛け合わせる形でエモーショナルな会話体験が実現される予定です。
支援者にはChatGPTと連携したオリジナルキャラクター「逢妻ヒカリ」との生活を体験できるβ版が7月を目途に提供されます。その後12月にChatGPT連携版への正式なアップデートを行う予定ということで、2023年度で特に注目度の高いプロジェクトです。
また、Gatebox社は接客用AIキャラクターや既存IPのAIキャラクター化という方面でも事業を展開しています。
AIアバターが当然のように生活に浸透する未来へ繋がる取り組みとして、Gatebox社そのものの事業展開にも注意する必要がありそうです。
プレスリリースより引用
「ガンダムメタバース専用AIを育成する「プロジェクト・メロウ」のキービジュアルを公開!さらに12月も2週連続全5回、YouTubeでAI配信が決定!」(URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000701.000051316.html)
今年10月にテストオープンを控えている「ガンプラコロニー」に関しても、AIキャラクターの実装が予定されています。
ガンプラコロニーは人気IP「ガンダム」専門のメタバースプラットフォームです。世界中のガンダムファンが集い、交流し合うことでガンダムというIPの成長を目指します。
ガンプラコロニーではメタバースならではのショッピング体験やガンプラのスキャンなど多様な体験が用意されています。
それを支える役目として、2022年にAI育成プロジェクト「プロジェクト・メロウ」が始動しました。
プロジェクト・メロウでは、ガンプラコロニー内でのユーザーの体験価値を高めるAIキャスト「メロウ」のAI育成を行っています。
昨年12月にyoutubeで視聴者と共にガンダムに関するクイズや視聴者からのコメントに回答しながら学習を行っていました。
将来的にガンプラコロニー内でユーザーの話し相手や、初対面ユーザー同士の交流を促進する役目を果たすことを目的としており、「人が来るメタバース」の創造に繋がるプロジェクトとして注目しています。
youtubeでのAI学習実験は12月で終了しており、現状のプロジェクトの進捗は公表されていません。
ChatGPTのAPIが公開されたのが2023年3月であることを考えると、プロジェクト・メロウにおいてもChatGPTと連携している可能性は否定できません。
どちらにせよ、10月のテストオープン時にメロウがどのような形でユーザーと接し、学習の成果を披露してくれるのか、非常に楽しみなプロジェクトです。
プレスリリースより引用「Webメタバース開発エンジン「Vket Cloud」、一般サービス提供を開始!」(URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000252.000034617.html)
VR法人HIKKYが提供するメタバース開発エンジン「Vket Cloud」では、ChatGPTと連携したAIアバターを作成し、ワールドに組み込むことが可能です。
Vket Cloudはブラウザで起動可能であり、誰でも気軽に触れられるメタバースを作れるために注目されています。
例えば、HIKKY様が提供している沖縄発のメタバース「バーチャル沖縄」や「バーチャルアキバワールド」など多様なワールドがVket Cloudにより作成されています。他にも企業のメタバース店舗や有名アーティストによるメタバース上でのバーチャルライブも実施してきました。
Vket Cloudの特徴として、クリエイティブにおける自由度の高さが挙げられます。
自作ワールドでのイベント開催や自作3Dモデルの販売等も可能であることに加え、Gateboxと同様にChatGPTと連携していることが特徴的です。
アバターにChatGPTを連携させることで、任意のアバターをAIアバターとして実装し、テキストチャットを通じて対話を行うことが可能になります。
プレスリリースより引用「Webメタバース開発エンジン「Vket Cloud」、一般サービス提供を開始!」(URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000252.000034617.html)
これにより、自作のワールドに自作の3Dアバターを配置し、ChatGPTを実装することで好きな場所で好きなキャラと時間を過ごせることが可能になります。
現状ではChatGPTとの連携は試験的に導入されているのみですが、今後はプロンプトの設定によりAIアバターがワールド内を自由に歩き回り、音声による会話もできるようにアップデートされていく予定です。
また定期的にDiscordにて勉強会が開催されており、初心者でもチャレンジしやすい点も何よりの特徴です。
無料で利用可能であるサービスであるため、ぜひ一度体験してみることをお勧めします。
AI×アバターサービスの中には、現状では発展途上ではあるものの将来的な可能性が非常に大きいプロジェクトも多く存在します。
本項目ではそのようなプロジェクトを3つ紹介します。
プレスリリースより引用「大日本印刷株式会社のバーチャルキャラクター「ファンズちゃん」とウェルヴィルの日本語対話AI「LIFE TALK ENGINE」が連携」(URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000066680.html)
ウェルヴィル株式会社が、5月に大日本印刷株式会社公式キャラクター「ファンズちゃん」と提携し、対話型AI「LIFE TALK ENGINE」による接客サービスのプロトタイプを開発しました。
現実・メタバースの両面での優秀な接客スタッフとして活用されることを目的として本サービスは開発されました。
サービスの最大の特徴は独自アルゴリズムによる分析により曖昧な表現や発話に伴った感情を解釈し、蓄積データに基づき自然な返答を可能にしている点です。
AI側からの会話の誘導も可能であり、AIキャラクターの個性を活かしながら柔軟な対話を行うことが可能です。そのためショッピングにおける今までにない楽しみを提供できるとされています。
プレスリリースより引用 「ChatGPT」搭載の全く新しいAIプロジェクト「AIカノジョNeon」等の事前登録開始 (URL:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000117996.html )
合同会社スパイクが提供する「AIカノジョNEON」では、ChatGPTを活かしてカスタマイズ性の高いキャラクターとのチャットを楽しめます。現代会では4人のAIキャラクターとの対話を楽しむことが可能です。
AIカノジョNEONの特徴的な点は、AIキャラクターのカスタマイズに必要なプロンプトをクリエイターやユーザーと協力しながら作成していく姿勢です。
ユーザーが制作したAIキャラクターのデザイン・プロンプトを投稿することで人気投票に参加できます。その中で高い評価を受けたキャラクターをAIキャラクターとして公開し、製作者に利益が還元される仕組みが作られています。
現状アバターなどの形で社会実装はされていませんが、メタバース・VR・NFTとして展開することも想定されているということで、将来性に期待したいプロジェクトです。
プレスリリースより引用 「【ChatGPT】AIキャラクターとの自然な対話を実現するAnimaDoorが、あなたを支えるAIメイド『雨戸アヤ』の先行体験を実施!」(URL: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000121678.html )
AnimaDoorプロジェクトは、人とAIの良質な関係を構築することを目的としたAIキャラクター開発プロジェクトです。5月にはプロジェクト第一弾として、AIMEIDO 『雨戸アヤ』が発表され、先行体験ユーザーを募集しています。
ChatGPTを活用したAIキャラクターとして話し相手として悩み相談や激励等を行います。また、会話の内容に応じて感情や表情が変化する機能も搭載されています。
人とAIの間のコミュニケーションの在り方を模索するという観点から、今後も多様なAIキャラクターが開発される予定です。
本記事で紹介したAIアバター以外にも、画像生成AIやAIボイスチェンジャーなど、AI技術を用いた技術は次々に私たちの生活の中に浸透しています。
バーチャル美少女ねむ氏(@nemchan_nel)とメディアプラットフォーム「note」CXOの深津貴之氏の対談では、メタバースとAIは相互に影響を与え合いながら世界を拡張させるものであるとされています。
AIアバターに留まらず、多岐にわたるAI活用事例を見てみると、AIはメタバースはもちろん、現実の在り方すらも大きく変えながら成長していく驚異的な分野である考えることも可能です。
そうした変化は恐らく不可逆的であり、今後私たちの生活の中に次々にAIが入り込むでしょう。
その流れに適応しつつ最大限楽しむために、今から積極的にAIとその活用事例に触れていくのはいかがでしょうか?
2022年11月にChatGPTが登場したことで、AI市場に爆発的な変化が訪れました。
Googleトレンドによると「AI」というワードの検索数は2023年以降前年のおよそ二倍近くに増加しています。またIDCが行った市場予測においても、2027年までのAI市場の年間平均成長率は23.5%程度となり、2027年には約1兆1034億円ほどの市場規模になると予測されています。
このことからも、世界的にAI市場の規模が爆発的に拡大していることがわかります。
AI市場の爆発的な増加の理由として、AI技術が非常に多岐に渡る分野で応用されている点が挙げられます。
マッキンゼーによる生成AI市場レポートでは、マーケティングやIT、法務関連、研究開発等の分野においてAIを応用した実践が行われているとされています。
また、特に日本ではエンタメ領域における生成AIの活用事例も広がっています。本記事で紹介したように、メタバース等の先端技術とAIの相性が非常に良いことから、そうした事例は今後も増加していくことが予測できます。
こうした状況を踏まえると、AI技術はあらゆるビジネスにおけるゲームチェンジャーになる可能性もあり、2023年で最も注目すべき技術の一つです。