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シチュエーション・スリラーはシンプルなルールに観客を釘付けにすることでその緊張感を倍増させる。
もしかしたらいろんなルールの中でも「音を立ててはいけない」というルールほど多くの人の共感を得やすいものはないかもしれない。
何故ならほとんどの人は子供時代のかくれんぼに始まり他人から隠れて静か自らの存在感を消した経験を一度や二度は必ずしたことがあるはずだからだ。
音に即座に反応して襲いかかる恐ろしい怪物に支配された地上で、必死に生き延びようとするある家族の奮闘を描いた前作。
そこでは一瞬も目が離せないような緊張感の中で、怪物を出し抜く人間たちの工夫や子を守ろうとする大人の感動的な犠牲に目を惹かれた。
続編に当たる本作の緊張感も並々ではない。
音を立てることは自らの命を差し出すことに等しい。
赤ん坊を連れて移動を試みる家族は前作にも増して逞しいが、怪物の襲撃は変わらず容赦がない。
何故この怪物が現れたのか、何故音に反応して人を襲うのかについては全く触れられず、このことが映画のシチュエーションの不条理さ・純粋性をさらに高めている。
求められるのは、音を立てずにただ生き残ることだけなのだ。
無音、予期せぬ物音、確信犯的な物音。
あらゆる種類の音やその有無が映画の恐怖感を見事に彩る。
そして前作を超えるほどの緊張の連続はやがて大きな見せ場へと繋がっていく――。
不条理な怪物に堂々と対峙する人間の姿は、圧倒的に誇り高く、そこから溢れ出るものは単なるパニックムービーの域を超えた未来への希望、人間讃歌そのものだ。
■監督・脚本・製作・出演:ジョン・クラシンスキー
■製作:マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッド・フラ-
■出演:エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ、キリアン・マーフィ 他
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