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1960年、ロシア(当時はソビエト連邦)が有人宇宙飛行に向け、無人宇宙船のスプートニク4号を打ち上げた。スプートニク4号は有人宇宙飛行を目標とするヴォストーク計画の前段階として、生命維持装置の機能の検証や大気圏突入実験を行う目的があった。
スプートニク4号は予定通り4日間の飛行を終えて地球への帰還を試みたが、周回軌道から離脱するための逆噴射エンジンへの点火には成功したものの、その後の姿勢制御に失敗。しばらく地球の周回軌道に乗っていたが、1962年9月5日に大気圏に突入。大半が突入時の熱で焼け落ちたものの、いくつかの破片がアメリカはウィスコンシン州マニトワックの市街地に落下した。本当に街の中に落ちてきたため、現在マニトワックの市街地には破片回収地点を示した石碑が存在している。当時は米ソが冷戦状態であったが、このスプートニク4号の破片は回収された後ソビエト政府に返還されている。
このスプートニク4号の破片落下はウィスコンシン州だけではなく、ワシントン州スノホミッシュでも起きていた。画像の物体がその破片とみられていた金属塊である。アメリカ国内で宇宙船破片落下の報道がなされていたので、この物体もスプートニク4号の一部だったのではないかと地元から声が挙がったのだ。
しかし、この破片は「スプートニク4号のものではない」という結論に至った。スプートニク4号に搭載されている部品で似ているものがなかったのだ。
では、この物体は何なのか? 見たこともない金属塊だったため「UFOの破片ではないか?」とする意見もあったようだ。そして、この破片はアメリカ空軍のUFO調査であるプロジェクト・ブルーブックの調査対象となった。
現在では、この部品は表面に砂や小石が付着していたため宇宙から来たものである確率は低い、との結果が出ている。しかし、結局何の部品だったのかは正体不明のままなのである。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所
【記事提供:リアルライブ】