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1983年5月5日に『お・ね・が・い』でデビューを果たした森尾由美。この年には大沢逸美・松本明子・いとうまい子・岩井小百合などが同期としてデビューしているのだが、前年には小泉今日子や中森明菜などのデビューがあり、83年度デビュー組は狭間世代なんて言われていた。
そういう厳しい世代であったが、それぞれ個性を持ったアイドルが揃っていた。そのメンバーの中で気になる子もたくさんいたので、現場に会いに行ったりしたりしていたが、気になりながらも会いに行っていなかった子がいた。それが森尾由美である。彼女たちがデビュー2年目となった84年に私は高校に入学した。同級生に森尾の弟と同じ中学に通っていた人がいて、その友人の話を聞いているうちに無性に森尾に会いに行きたくなってしまった。
その友達は森尾の家にも行ったことがあるそうで、しかも姉のベッドにダイブをしたことあるとか自慢されてしまった。その話を聞いた途端に、森尾に会いに行く決心をした。とりあえず森尾のスケジュールを調べてみると、私の定番の現場でもある後楽園けやきステージに出演予定があった。もちろんいつものように自転車を走らせて現場に向かった。始まる少し前に現地に到着したのだが、さほど混んでいる様子もなかったので、そこそこ前方でイベントを観ることができた。
まず第一印象は顔が小さいだった。初々しい森尾はハキハキしていて、実際に現場で観たのは時間にして30分程度だったが、私に好印象を与えてくれた。それからアイドルがたくさん出演するような公開収録番組などにも頻繁に出演していたので、それなりに森尾を観る機会はあった。出待ちなどでは、そこにファンが待っていてくれる姿を見つけると、笑顔で手を振ってくれたり、話しかけてくれたりとかして、良い意味でアイドルらしからぬフレンドリーさがあって、一度でも森尾と接したことのある人は、その魅力にとりつかれていったのではないかと思う。
いつでも笑顔で可愛い森尾だが、アイドル歌手としてヒット曲に恵まれず、次第にアイドルイベントやアイドル番組の出演が激減してしまい、次第に仕事は女優がメインとなった。アイドルファンにとっては淋しいことだが、アイドルから女優への展開が見事にハマり、当時のトレンディードラマなどに多く出演するようになり、女優としての存在感が出てきた。
92年に26歳になった時に結婚し、今では2人の女の子の母親でもある。2回の出産を経験したが、仕事を休むこともあまり無く、コンスタントにドラマやトーク番組などに出演し、ママタレントとしてのポジションもしっかり掴み、女性からも支持されるような好感度の高いタレントとして活躍するようになった。
個人的には99年から長寿シリーズとして放送された昼ドラ『大好き!五つ子シリーズ』(TBS系)の母親役で出演した森尾が大好きだった。番組のスタート当初はまだ30代前半だったにも関わらず、5人の母親役とかでビックリしたが、普通の主婦であり母親役でも素敵な美貌が保たれ、アイドル当時の可愛さもしっかり見せてくれた。
現在も女優のみならず、バラエティ番組や情報番組などでも活躍している森尾だが、森尾といえば94年からスタートした『おそく起きた朝は…』(フジテレビ系)は外せない番組である。現在は『はやく起きた朝は…』とタイトルを変えて放送しているが、21年も同じスタイルで番組も放送され、ここでは等身大の素の森尾が見れることもあり、アイドル当時のファンもこの番組が続いていることに嬉しさと誇りを持っている人も多い。今後もこのスタイルで芸能活動をやっていくと思うが、もし可能ならアイドル歌手として、何かの節目で記念コンサートを開催して欲しい。今でもキラキラと輝く森尾由美を大きなステージで見てみたいものだ。
(ブレーメン大島=毎週土曜日に掲載)
【ブレーメン大島】小学生の頃からアイドル現場に通い、高校時代は『夕やけニャンニャン』に素人ながらレギュラーで出演。同番組の「夕ニャン大相撲」では元レスリング部のテクニックを駆使して、暴れまわった。高校卒業後は芸人、プロレスのリングアナウンサー、放送作家として活動。現在は「プロのアイドルヲタク」としてアイドルをメインに取材するほか、かつて広島カープの応援団にも所属していたほどの熱狂的ファンとしての顔や、自称日本で唯一の盆踊りヲタとしての顔を持つことから、全国を飛び回る生活を送っている。最近、気になるアイドルはNMB48の三田麻央。
【記事提供:リアルライブ】