“スマホ2時間”条例に疑問「典型的なお役所仕事」「今さら」「底抜けの…」著名人の声続々
愛知県豊明市がこのほど、スマートフォンなどの使用について、仕事や勉強など以外の余暇時間においては「1日2時間以内」を目安にするよう促す条例案を9月の定例議会に提出することを表明した。
可決されれば10月1日に施行される。罰則などはないが、この条例案に対して、SNSなどでは効果や意味を疑問視する声も出るなど議論が沸騰。著名人も多くリアクションした。
参院選に自民党から比例代表で出馬して落選した、元経産官僚で慶大教授の岸博幸氏(62)はX(旧ツイッター)で「内容的には正しいけど」とした上で、「本来は大人は自発的に自己抑制し、子供には家庭で指導すべきこと」と指摘。「それが出来なくなっているくらいに人や社会がスマホの影響で幼稚化しているのを反省し、憂うべきではないだろうか」とつづった。
現役の保育士でインフルエンサーとしても活躍している、てぃ先生は「はっきり言って豊明市は何もわかっていないと思います。子どものスマホ利用について、対策=利用制限というのは典型的なお役所仕事です」と断言。「スマホは現代の子どもたちの身近な娯楽であるとともに学習でも使われていて、役割は多岐にわたります。例えば、昔の親たちが『人』で補っていた部分や時間を、今は『スマホ』が補っています。昔は親が忙しければ祖父母や近所の人が子どもの世話をしていました。今はその『人』がいません。スマホに任せるしかない時間があります。昔でいうところの『人と遊ぶ・話す』という時間・役割をスマホが担ってくれているわけです」と現状を分析した。その上で「そもそも親たちも好きで子どもに使わせているわけではありません。共働きや家事、リモートワークなどの中で頼らざるを得ない現実があり、罪悪感を覚えながら子どもにスマホやタブレットを渡しています」と指摘。「もし無闇にスマホを制限すれば、代わりに親が長時間にわたり子どもと関わる必要が出てきます。しかし現代の家庭にそれを求めるのが不可能だということは、誰が考えてもすぐにわかります。つまり制限をしたところで、結局『テレビ』や『他のもの』に依存させるか、時間や気持ちに余裕を持つことができない親たちの負担をさらに増やすだけの結果となるわけです。豊明市が本当に子どものことを大切に考えて、その子どもがいる家庭を思いやる気持ちがあるならば、検討すべきなのはスマホの利用制限ではなく、『親が子どもと過ごす時間を確保できる社会的仕組みや労働環境』、そして『子どもが自由に遊べる環境づくり』です。それが本来の役所・議会の仕事ではないのですか?」と疑問を投げかけた。
ホリエモンこと実業家の堀江貴文氏は「頭おかしいな。」と一言でリアクション。「106億円を熔かした男」こと、大王製紙の社長と会長を務め、カジノに自社の資金をつぎ込んで実刑判決を受けた東大法学部卒の井川意高(もとたか)氏も「底抜けのバカ」と反応した。
元乃木坂46のタレント山崎怜奈はラジオ番組で「デジタルデバイスが当たり前の子どもがめちゃくちゃいるのに、今さら言うのはちょっと良くない。何にも変わらないと思う」と私見を述べた。
豊明市の小浮正典市長は、条例案への反響を受け「主にネット上で誤った記述が散見されます」として市の公式サイトで声明を公開。「2時間」の対象はあくまで「余暇時間」で、あくまで「目安」とした。その上で「市民お一人おひとりに、必要な睡眠時間、食事や運動など生活全般、学習、家庭内での役割、家族をはじめ大切な方とのコミュニケーション等、1日の過ごし方を見つめなおしていただき、いずれも支障がないのであれば、2時間が3時間、4時間となったとしても何ら問題はないと考えています」などと釈明している。