ミュージカル「Re~星の王子さま」への意気込みを語る、左から今牧輝琉、井澤勇貴、DION(2025年7月17日撮影)

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俳優今牧輝琉(ひかる=21)DION(24)井澤勇貴(32)の3人によるミュージカル「Re~星の王子さま」が8月20日から24日まで、シアター・アルファ東京で上演される。フランスの作家、サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」が題材。王子さまがやってきたのが25年の日本だったら、というifの世界を描く。出演する3人が、座談会で注目ポイントを挙げた。【鎌田良美】

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--過去に共演経験のある3人、今作が決まった時の心境は

今牧 うわ~、来た!って感じでしたね。それが最初に出た言葉であり、感情でした。DIONから「輝琉、8月何してる? 井澤くんと3人でミュージカルやらない?」って言われて。元々共演していて、特に関係性の深い役を2人とやってたので、ご褒美だなと思って。超楽しみでした。

--誘ったのはDIONさん

DION そうなんですよ。井澤さんとうちで何かやりたいねって話になって、じゃあ舞台作ろうかとなった時に、ふと輝琉が「この時期空いてるんだよね」と言ってたのを思い出したんです。やるやるって言ってくれたんで、これはすごいものが作れるんじゃないかとワクワクしました。

井澤 僕もうれしかったです。輝琉くんとは他作品で兄弟の役をやっていて関係性も深いですし。DIONは一緒のシーンはなかったんですけど、歌や芝居を見ていてすごくポテンシャルの高い役者だなと思ってたんで。2人とは年が離れてますけど、そこから得られるものがあるって知ってるんで、すごく楽しみでした。

--それぞれの役柄は

今牧 僕は「星の王子さま」なんですけど、絵本の王子さまに若干プラスアルファで要素が足されてて。子どもらしいかわいい一面もあるし、意外と的を射たことを言うこともある。印象としては、当然ですけど人間味はあまりなかったし、純粋に人の心を動かすことができる人だなと思いました。

DION 僕はいっぱいやりますね。メインはキツネなんですけど、惑星をわたっていった人々とか(脚本の)作道さんが新たに付け加えた役だったりとか。全部で10弱くらいあります。「その他大勢」ですね。

井澤 多分、一番大変だと思いますよ。

今牧 まじで一番大変だと思う。

井澤 素晴らしいですよ。読み合わせの時にちゃんと(役によって)変えてたし、1つお姉さんっていうか、女性っぽい感じの役があるんですけど、それもすごいよくて。今後、そっちの引き出しで(仕事が)きそうな気がする。

DION 本当ですか(笑い)。女性も、じゃあ。

--演出の中村優一さんは、DIONさんがミュージカルナンバーを1人8役歌う動画を見て多彩さに驚いたと

DION その時は女性の声もやったんですけど。自分の見た目から遠ざかった役ってあまりやることないじゃないですか。なので低い声とか、高すぎる声は使う機会がなかったんですけど、こうやっていろいろやらせていただけるからには自分の音域、全部使おうかなと。3オクターブぐらいは出ると思います。

今牧 すげえ!

--井澤さん演じる「僕」はストーリーテラーの役割も

井澤 王子さまとキツネって、作品の中心というかマスコットというか。だから人間味がなかったりって話もありましたけど、「僕」は一番お客さまが感情移入しやすいと思うんですよ。悩んでることとか、仕事に疲れたとか、世の中に対しての不満とか。その「僕」が王子さまや他のキャラクターたちと出会って、どう変化していくのか。会話もいい意味で砕けた感じがあって、令和っぽいやりとりも魅力かなと思います。

--「僕」を通して物語に没入できる

井澤 フィルターを通して皆さんに浸透していく感じっていうんですかね。

--役への向き合い方は

今牧 感情が人間らしくないなっていうのをやっぱ感じてて。人間として演じるとつじつまが合わないこともあるんだろうなって思ったので、「キャラクターです」みたいな。キャラクターって感じで演じた方が納得いくようになるんじゃないかなと。今はそうしようかなって思ってます。

--ビジュアルが絵本から飛び出してきたみたい

DION めちゃくちゃ似てますよね。

今牧 僕が絵本を読んで王子さまに抱いた感情を、そのままお客さまが感じられるように。僕がちゃんと、星の王子さまという人物を皆さんに映せたらいいなと思ってます。

--何かと王子役に縁が

今牧 本当ですよね。これからもたくさん、王子やります!

井澤 いいなあ。気弱な役が多かったですよ、僕がこの年代の時は。

今牧 全然想像できないね。

DION 今だと完全にラスボス(役が多い)ですもんね。

--人間味あふれる役は逆に新鮮

井澤 2、3年ぶりかもしれないです。等身大っぽいですよね。

今牧 僕は今回初めて見ました。

--DIONさんは何役も務める

DION 高い声で歌った後、違う曲で地声に近い声に戻った時にラグが生まれるんですよね。戻りづらいっていうのを感じたので、喉の負担だけでも結構大変なのかなとは思いつつ、でもそこは自分の特技としてやりたいなと。あとはいかに1つの1つのキャラクターに向き合えるか。形だけ変えるのではなく、1つ1つのキャラクターに、1役しかやらないのと同じテンションで向き合いたいと思ってますね。

井澤 作品としての難しさがすごくあって、本質的なことはすごく簡単なことだと思うんですよ。星の王子さまに出会って「僕」が変わっていって、いわゆる現世に戻った時にやりがいや幸せを見つけていく。とてもシンプルなんですけど、その課程を台本上で見ると、めっちゃパズルが難しいんですよ。1枚の絵は簡単なんです。それをバラバラにして、いちから組み立てましょうってやった時に、これどこだっけ? 全然はまんないんだけど? みたいのを台本上の至るところから感じてて。台本読んで、ここおもしろいな、ふくらませたいなっていうシーンはお客さまの印象にも残ると思うんです。そこ以外をどう印象に残していくか。その作業が難しいなと思いました。

--楽曲も20曲以上

井澤 歌わせていただく曲は多くはなるかなと思います。2人が醸し出す歌の表現や芝居の表現から得られるものが本当に多いので、対等にいきたいなって思いますね。<中に続く>

◆「Re~星の王子さま」musical サン=テグジュペリの小説「星の王子さま」が題材。映画監督でもある作道雄氏が脚本。演出は俳優中村優一(37)が務める。「Re」には令和、新しくするなどの意味が込められた。生きることに疲れた「僕」(井澤)が星の王子さま(今牧)に出会い、物語が展開する。

◆今牧輝琉(いままき・ひかる)2003年(平15)11月20日、東京都生まれ。主な出演作はミュージカル「テニスの王子様」「新テニスの王子様」シリーズ、舞台「魔法使いの約束」、ミュージカル「NO・6」、舞台「WIND BREAKER」など。身長168センチ。血液型AB。

◆DION(でぃおん)2001年(平13)3月2日、群馬県沼田市生まれ。主な出演作はミュージカル「新テニスの王子様」、ミュージカル「翼の創世記」、短編映画「Sing with me」など。来春ミュージカル「メリー・ポピンズ」出演が控える。身長168センチ。血液型O。

◆井澤勇貴(いざわ・ゆうき)1992年(平4)11月26日、東京都大田区生まれ。主な出演作はミュージカル「新テニスの王子様」、「ROCK MUSICAL BLEACH」、ミュージカル「フラガリアメモリーズ」、DMM TV「キミに親の資格はない!-サレ夫の泥沼不倫親権裁判-」など。身長181センチ、血液型A。

情報提供元: 日刊スポーツ_芸能
記事名:「 今牧輝琉、DION、井澤勇貴3人で令和版「星の王子さま」人間味ない「王子」と等身大の「僕」