【Dリーグ】「完全王者」CyberAgent Legit 来シーズンも「Ray」放つ
D.LEAGUE24-25レギュラーシーズン首位でチャンピオンシップも初制覇した史上初の「完全王者」CyberAgent Legitが7日、東京・渋谷のライブハウス「O-EAST」でワンマンライブを行った。
3年前のシーズン終了後から、オフの期間の恒例としてワンマンライブを行ってきた。今年は親会社や練習場などがある、拠点とする渋谷での開催選んだ。
「勝敗を抜きにした、Legitが好きな『レジポッセ(Legitファン)』だけに届けます」(KAI→)「会場全員が味方なので、好きなことをやりまくります」(ena)というステージ。毎年、ディレクターのFISHBOYを中心にメニューを考えるが、今年は参院選出馬という大冒険と重なったこともあり、すべてをメンバーで運営。
リーダーTAKUMIが総合的に目を配りながら、地獄が脚本、1chがダンス以外の企画、KAI→が動画と役割分担。全メンバースタッフへの連絡などenaが運営の軸となって、この日を迎えた。
テーマは「Ray」。スポットライトから一筋だったり、強烈に輝いたりと、彼らのダンスをよりドラマチックに演出する光を意味した。
ドラマ仕立ての動画は「カジノRay」で架空通貨100万Legitを目標に勝負していく内容で、彼らが稽古場や楽屋でかわしているだろう、どうしようもない? ダジャレや、本人にしかわからないだろう世界観をコミカルに披露。動画製作にも定評があるKAI→が連日明け方まで編集した力作に、約1000人が集まった場内は爆笑が相次いだ。
動画の「落ち」と連動して、今シーズン発表した作品を次々に披露。通常の大会場や配信とは違い、コンパクトな空間で披露するステップやパワームーブがフロアを蹴り、きしませる音や、ダンスが空気を切り裂き、揺れるような感覚は迫力満点。
ため息とどよめきが起こり続けた。
5年目のシーズンに迎えた新メンバーの素顔も垣間見えてきて、Legitを支えるチームワークの強さを感じさせた。
今季限りでB BOY SHOSEY、AYUNA、Shojiの3人がLegitから卒業する。
Shojiは1年だけの在籍で、出演も1度だけだったが、理想のダンスシーンを求めて、新天地に足を踏み出す。
AYUNAは3年前に加入。もともと仲が悪かったのに、子供の頃からコンビを組んできたenaとの「アユエナ」を復活させた。この3年こそ、メンバー9人という小所帯ながらLegitが急成長を遂げ、シーズン優勝を重ねてきた。クライマックスでマイクを渡されると「この3年間は私の宝物。みなさん愛してます」と涙。気丈に振る舞おうとしていたenaが花束を渡す時に、涙をこらえられず、抱き寄せる姿が印象的だった。
B BOY SHOSEIこそ、D.LEAGUEの申し子かもしれない。17歳で高校を中退。TAKUMIに誘われて、まだ形も見えていなかったD.LEAGUE、そしてLegitに入った。
得意のブレイキンは国内屈指のレベルだが、ほかのジャンルはからっきし。そのため、最初のころは控えに回ることが多かった。舞台で踊るには、他のジャンルも磨くしかないと、レッスン場でメンバーにアドバイスを求め、年下のKANATOと行動を共にして、教えも受けた。
あらゆる技術がレベルアップして、出番が増えるほどに、今度はSHOSEIのブレイキンがLegitのアクセントになり、時には軸にもなった。退団して新たな道を歩むのは1年前に決めていたという。「Legitは僕の分岐点でした!」。
D.LEAGUEもLegitも5年目が終わった。
どこかとんがったキャラクターが集まったダンスシーン。5年前、ジャンルを超えて、複数の審判のジャッジで勝敗を決めるリーグ戦という、スポーツでもありエンタメでもあるようなないようなD.LEAGUEの発足は、多くのダンサーが「何それ?」と敬遠する空気があったという。
enaが言う。「何それ? って5年前に入ってこなかった人たちが、今入ってくれるようになった。一番の変化だと思います」。
地獄が感じる。「Dリーグが始まってから、ダンスはやってないけど、ダンスを見るのは好きって人が増えたと思います」。
この日の楽屋でもCHAAが「D.LEAGUEっていいっすよね」と言いながら、衣装にアイロンをかけていたという。
踊るのも見るのも、ダンスが身近にある幸せ。
その中心に彼らがいる。
この5年間、いろんなことはあったが、決定的なもめごとはなかったという。
FISHBOYが説く信念は「誠実」であり「謙虚」だった。
言いたいことや、疑問に思うなら、まず練習してみる。おたがいの良さや、言葉の意味がわかってくるから、自然と仲間をリスペクトするようになるという。
TAKUMIにあらためてチームのストロングポイントを問うと「おたがいを信頼しているのが一番ですね。反発より信頼があればもめることがないですね」。
だから、退団するメンバーも送り出せるし、胸を張って言えるのだろう。
「Legitはファミリーだから、戻りたくなったら、戻っておいでよ」
先日25-26シーズンの日程が発表された。「BLOCK HYPE」と「BLOCK VIBE」の2ブロック制で「HYPE」に入ったLegitは、新規参入のLDH SCREAM同ブロックとなった。
さっそく、先日のイベント会場で顔を合わせた地獄に「おまえらぶっ潰すぞ! ぐらい言ったの?」と聞いた。「はい、それぐらいのことは言ってやりましたよ。やさしくですけど!」。
気は優しくて、誰より強い。
来シーズンもCyberAgent Legitが放つ「Ray」が楽しみだ。【久我悟】。(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「Dリーガーのオドリバ」)