「台本や原作を読ませていただいて、過激なシーンもあったりするので、はじめはオーディションを受けること自体どうしようかと思い悩みました。だけど、この作品は、そこが軸なのではなく、『クズの本懐』という作品の本質は心の中にあると気づいたときから花火を演じたいなと思って、オーディションを受けさせていただきました。花火という娘の危なっかしいところが、放っとけなくて助けたいと思ったんです」
キスシーンや過激ラブシーンが話題となっているドラマ『クズの本懐』(フジテレビ系、水曜・深夜1時55分~)。主役の女子高校生・安楽岡花火を演じる吉本実憂(20)は、過激な描写に目を奪われがちな同作に自ら進んで「演ってみたい」と思った理由をそう語った。
同ドラマは、安楽岡花火と粟屋麦(桜田通、25)の高校生2人は付き合っているが、実はそれぞれ別に好きな人がいる。しかし、その人は自分のことを好きにはならないため、寂しさから2人は付き合うという“契約”を交わす。原作は累計140万部を突破した横槍メンゴ氏の人気コミック。
--花火を演じてみたくなった理由の「助けたいと思った」とはどういうことですか?
「花火は明るく純粋な子で、純愛と寂しさの間を揺れ動いているような女の子です。私はそういう危なっかしいところに惹かれました。だからこそ、親心ではないんですけど、心配で助けたいと思ったんです。役作りしはじめただけで、今後どうなっていくんだろうと、すごく心配になりました。そこで自分が演じることによって、もしかしたら助けられるかもしれないと。ただただ過激なシーンがあるわけではなく、全ての行動には理由があるんです。観てくださる人に花火の感情を伝えることで、何か助けられるんじゃないかなと思いました。だから、精いっぱい演じさせてもらったり、花火と向き合わさせてもらいました。ただ、どうやったら助けられるのかはわからないです。全ての放送が終わってから気づくことなのかもしれないですけど」
--女優であると同時に、アイドルグループ『X21』のリーダーという顔も持つ吉本さんですが、アイドルなのに過激なシーンの連続に抵抗はなかったですか?
「なかったです。私の軸は女優・役者なんです。グループでアイドルでもありますけど、自分の中では表現者であり役者です」
--現代の女子高生の姿・考え方を反映していると思いますが、満たされないから寂しさを紛らわすためにそういう関係になるということは、理解できますか?
「純粋だからこそ歪んじゃったのかなぁと思います。自分たちは自分たちのことを『クズ』と思ってない。客観的にやっていることが『クズ』だから『クズの本懐』なんです。私的には心のどこかで、それはダメだなとは思ってますけど、花火として演じている側としては、花火自身を『クズ』だと思ったことはないです。花火自身は自分を『純粋』だと思ったことない。私が客観的に見て純粋だと思ったんです。寂しいから温もりを求めちゃうというシンプルなもので、その気持ちはわかる。欲に負けちゃうことは、人間ならば誰にでもあること。私なら食欲なんですけど(笑)。おなか空いたら我慢できない。これが恋愛だったから、こうなっているわけで、人それぞれ欲に勝てないことはあると思うので、否定することはないですね」
--自分の恋愛観に比定すると?
「私は好きになったら一途です。花火も契約しちゃったけど、お兄ちゃんを好きという気持ちは、もし私が好きな人が出来て一途に好きと思う気持ちと共通しているとこがあるのかなと思います。花火も麦を好きになったら、好きになれるのであれば、そんな簡単な話はないんですけどね・・・」
--20歳というときに来たこの役についてどう思いますか?
「殻を破れたかなぁと思います。役の幅はすごく広がったなぁと思います。喜怒哀楽の全てを出しきっている役なので、すごく自分の力になったんじゃないかなぁと思います。私の中では、泣き笑いがすごく多い子というイメージがあります。泣きながら、でも、がまんしながら泣かないようにするんです。それは花火として生きていないとできなかったりするので、そこは監督と話し合ったり、本番前に気持ちを作ってやらさせてもらいました。そうしたことは無駄じゃない。そこは自分の力になっていたらいいなぁと思います」
--最後にドラマのPRを
「ドラマはドラマとしてフラットな気持ちで見ていただきたいです。原作、アニメ、ドラマすべてを好きでいてもらえるように、最後まで頑張ります。本質は心の中にあるので、『本懐』がなにかは最終回に向かっていく中でわかると思いますので期待していてください」
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【インタビューを終えて】
一昨年の年末に、晴れ着撮影会で初めてインタビューさせてもらったときとは、だいぶ印象が違った。あの時はもっとキリッとした印象があった。さすが、大所帯のアイドルグループ『X21』のリーダーともなると18歳で貫禄あるなぁと思ったが、今回2年ぶりにお会いして、髪をショートにしたせいか、やわらかな雰囲気というか、どこか支えてあげたいと思わせる感じに変わっていた。
そのことを率直に言うと、「髪を切って、ふんわりしたやわらかい雰囲気になったのもありますけど、(あの時は撮影が)終わったときだったので・・・私は顔にすぐ出ちゃうんです。『役によって顔が変わる』って言ってくださることが多くて、すごくうれしいですが、他の仕事に良くも悪くも影響しちゃうので直さないと、とは思っています」と、笑顔で応える。
「あの時の撮影」とは、映画『罪の余白』のこと。表の顔はカリスマ女子高生ながら、その裏では、言葉巧みに相手を心理的追い詰めていく残酷で狡猾(こうかつ)な悪魔のようなダークヒロインを演じた。
そして、今回、過激なシーンを伴う役に挑戦。叶わぬ想いの寂しさを身体の関係で紛らわすヒロインを演じ、「花火という娘の危なっかしいところが、放っとけなくて助けたいと思った」と、語った。「助けたい」という言葉が妙に印象に残った。
そして、30分ほどのインタビュー中、「支えてあげたい」「助けてあげたい」「考えを修正して導いてあげたい」と思わせるほど、花火と同化したかのような雰囲気だった。
最後に、「制服や女子高生役は何歳までいけますか?」と、ちょっと意地悪な質問をした時には、「ショートボブにして、もうちょっとだけ、25歳ぐらいまではいけるのかなぁと。髪形ってだいぶかわったりしますので・・・って、いってもまだ20歳(ハタチ)ですよ~!」と、等身大の表情と茶目っ気たっぷりな言い方でおどける。ふっと距離が縮まり、素の表情が垣間見えた気がした。
2年前も、今回も、「本当にお芝居が楽しくて大好き。何でこんなに楽しいんだろうというぐらい。いくらやっていても疲れないんですよ」と、繰り返していた吉本。
次回、会うときには、どんな雰囲気の女の子になって目の前に現れてくれるのか、非常に楽しみな女優である。
※ただいま、吉本実憂がグランプリを獲得した全日本国民的美少女コンテストが今年30周年記念の15回大会を開催!
5月2日まで出場者募集中!
応募方法など詳細は、オスカープロモーション公式ホームページにてご確認下さい
URL http://www.oscarpro.co.jp