『森の京都』首都圏メディア説明会が23日、都内で開かれ、自然が数多く残る京都への移住や、現地に伝わる伝統工芸品・産品などの魅力がたっぷりに詰まったものとなった。
京都府では約3年前から『もうひとつの京都』と題した3つの京都プロジェクトを構想。その前段階として、京都府北部、中部、南部という府内の各エリアにスポットを当てた『もうひとつの京都、行こう。』キャンペーンを2014年11月がスタートした。
プロジェクト第1弾としては2015年度に、天橋立の観光振興策『海の京都』が開催。そして今年の2016年度には地域振興を目的とした『森の京都』。2017年度には文化・産業振興を目的とした『お茶の京都』を控える。
今回の『森の京都』は京都府中部6箇所(亀岡市、南丹市、京丹波町、綾部市、福知山市、京都市右京区京北)をクローズアップ。15年7月には京都府の北部地域と南部地域を結ぶ、全長約100キロの京都縦貫自動車道が開通したこともあって、京都市中心部から自動車で約1時間と気軽な気持ちで行ける距離となったことも今回のプロジェクトには大きな要素となった。
京都府内から20人を超える職員と関係者が会場に来場しており、聞く方の記者たちもその熱気を感じるものに。京都府広報課の担当課長・山本哲也氏はこの『森の京都』へ「情報発信をし、地域にたくさんの方が来て頂き、人と人とのつながりがたくさん生まれる地域を目指していきたい」と、狙いを語る。
京都府中部は林業が盛んで、良質な木材は都での神社仏閣などの材料となっていたり、京野菜の産地として知られるなど自然の恵みも多く、水源にもなっていることから京都の歴史を担ってきた。
そんな京都府の魅力に惹きつけられ、移住者も増加傾向にあるといい、2014年度には相談者は500件、移住者は100件を超える。なかでも、綾部市は定住実績が全国第3位で30代の子育て世代が多いという。移住への理由としては、「自然豊かな場所で子育てがしたい」という思いや、「地域社会での人間関係に触れさせて育てたい」という声もあるそうだ。
ちなみに、子育て世代の次に相談にやってくるのは独身の30代、40代の男女なのだとか。自分で食べるものは自分で作りたいという気持ちが先立つそうで、男女比でいうと女性の方が多いとのこと。京都府農林水産部農村振興課の地域活性化担当 副課長の川野是人氏は、その理由を「都心に出てきて5年、10年と暮らしていくうちに仕事は楽しくても住む場所じゃないと考える方もいらっしゃるようですよ」と、相談者の心情も交えて語ったり、別の女性スタッフは、「来てくれたら、60歳までは若手なので、周囲の方が優しくしてくれることも多いですよ。また、結婚する相手がいないというと、お世話をやいてくれたがる方もいて、実際にそういう例もちょこちょこ出てきてます」と、“その先”のことまで楽しげに話していた。
なお、移住などは京都移住コンシェルジュサービスのホームページを見たことがきっかけで、その土地のことが分からない状態から話に来る人がほとんどだそう。大阪・京都・東京に窓口を持ち、どこでも親身になって説明や相談を聞いてもらえる環境も整っているようだ。
ほか、会場には『森の京都』のなかで販売などがされている黒谷和紙を使った型染めクッション、奈良拭漆盛皿(ならふきうるしもりざら)、京丹波町の旧和知町地区でとれる黒大豆「和知黒」を使った少し黒いのが特徴で濃い食感の和知黒豆腐、獣害対策のためのシカ肉のカルパッチョ、道の駅『京丹波夢の里』でしか買えないオリジナル商品で黒豆パウダーがほんのり香る『京丹波フィナンシェ』、美山牛乳の味を存分に楽しめる『美山プリン』の実食など、色とりどりの展示がなされ、その魅力を伝えていた。