ナレーション:運送業を中心に年商100億円を目指し、国内外に50拠点を目指す総合物流グループ。会社をここまで育てながらも賢者の姿勢はどこまでも謙虚だ。老舗を背負った3代目社長の静かなる革命を今回、紐解く。アイ・リンクホールディングスは総合物流のホールディングカンパニー。運送・倉庫・流通加工・コンサルティング・人材派遣・自動車整備業など合計10社からなるアイ・リンクグループの管理部門である。

石島:「企業は人なりという言葉があると思うのですが「人財づくり」という経営理念が基本になっています」

ナレーション:創業者は祖父、石島喜八。賢者は三代目の跡取り息子として生まれ育った。時は1960年代、高度経済成長の真っ只中。少年時代の賢者は野球に夢中だった。

石島:「当時は長嶋さんや、王さん全盛期の頃でしたから、小学校の時の少年野球から硬式野球を始めて、大学のときに準硬式とほぼ野球漬の学生時代でした。」

ナレーション:六大学リーグでは首位打者に、また外野手としてもベストナインに選ばれた。いつかは野球を離れて家業を継ぐものとして最初に学んだことがある。

石島:「よく言われるように、4番バッターだけだと勝てない。やはり一番バッターも頑張り、各自の役割を果たして初めてチームとして勝負できます。会社も同じように、いろんな個性がある中で、その個性をいかに生かしていけるかが大切。そしてその個性が一致団結した時に、本当に強い力を発揮できるので、会社というのもそういうところがあるのかなと思っています。」

ナレーション:学業にも手を抜かず、運送専門のゼミに所属。教授の手厚い指導のもとでビジネスの理論をしっかり学んだ。現場第一主義になりがちな運送業界では、異色の経歴。

石島:「当時、物流が大学の研究のテーマにあがるような業界ではなかったのですが、これからは物流というのは、社会の主力になっていくという話を先生はされてました。現状ではロジスティクスというのは非常に注目を浴びている部門ですから、そういう意味ではその先生が言っていたことが現実になってきていると思います。」

ナレーション:卒業後3年間の他社修行を経て、石島運送に就職。配属は営業部。手探りの日々が始まった。

石島:「最初の頃は営業まわりをしました。営業で仕事をとってくれば、皆に喜ばれるのかと思いきや、当時もドライバーさん不足で、忙しいのになんで仕事を取ってくるんだと思われることがありました。そのため、仕事を取ってきて、自分でトラックに乗る状況が2〜3年ありました。」

ナレーション:何のために仕事をするのか、何を目指して進むのか、ひたすら走り続ける日々の中、一つの支えを見出した。

石島:「弊社のような物流会社はエンドユーザーからありがとうという直接の言葉はなかなか、いただけないんです。けれども、最終的にその人たちのありがとうという言葉をイメージしました。そして、時に「仕事をお願いしてよかったよ」と言ってもらえることが一番の励みでした。」

ナレーション:37歳で社長に就任。野球で知ったチームワークの強さ、大学で学んだ経営理論、そして現場で知った喜び、その経験をいよいよ生かす時が来た。

石島:「経営理念や社是社訓、事業計画などが全くない会社だったので先ずはそういうものを作っていきたいなと思いました。当時は高度成長に近いところもありましたので行き当たりばったりでその日の仕事だけこなしていれば、仕事が自然に入ってきました。けれどもこれからは経営理念が大事だということを勉強して、先ずはそこに着手しました。」

ナレーション:アイリンクグループの経営理念は「真心つなぎ人財づくり」。

石島:「真心つなぎというのはそのままで、真心を込めて商品を作った人や送った人の気持ちを真心を込めて次の人につないでいきましょうという意味合いです。仕事を通して苦労もありますし、大変なことや困難もあります。そのようなことを乗り越えて、勉強して人財になっていく。材料の材ではなくて、財産になる。そして地域社会の財産になっていこうというのが人財づくりの経営理念になっています。」

ナレーション:今、賢者が目指すのは運送業界のイメージアップ。荷物を仕分ける作業員さんやトラックのハンドルを握るドライバーさん、その全員が誇りを持って働けること。そんな会社づくりが目標だ。

石島:「物流は体で言えば血液の役目をしているとよく言われます。物流が止まると皆さんが生活できないですし、いろんな人から役に立っているのが実感できる仕事だと思います。荷物を届ければ最後にありがとうと言ってもらえます。このように社会になくてはならない仕事になっているため、物流というのは重要な仕事だと思っています。」 

ナレーション:創業88年。老舗企業の誇り高き三代目。その誠実さと知性でグループ社員1250名の明日を担う。

石島:「自分一人では何もできず、いろんな人に助けをかりないと物事を為せないと感じています。そのことから今後も人財づくりを大切に事業拡大をしていきたいと思っています。12年後には弊社は100周年を迎えます。その100周年までに売上を300億円にしたいと考えています。そのために人をしっかりと育成していくことが重要だと思っています。」

ナレーション:日本を背負う若者へメッセージを最後に語った。

石島:「弊社グループのスローガンでもあります「チェンジアンドチャレンジ 変化して挑戦する」。この気持ちを忘れずに進んでいってもらいたいと思います。一度や二度の失敗にはくじけず、なにくそっていう気持ちを常に持っていただき、次の成功につなげていただければと思っております。失敗を恐れずに挑戦し続けてください。」

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 変化して挑戦する心を大切に、地域社会の財産になる人財を育てる。老舗を背負った「三代目社長」の静かなる革命