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※左側がすべての歯を覆(おお)う従来タイプ、右側がりょうきデンタルオフィスの頭痛治療用マウスピース
じつに多くの方が日々苦しみ悩まされているであろう「頭痛」。全国でおよそ3,000万人もの人が、いわゆる頭痛持ちであると考えられています。
今回は偏頭痛(片頭痛)などの慢性頭痛を歯科医という立場から治療にあたる、りょうきデンタルオフィス院長・領木治良先生にお話をうかがいました。先生いわく、慢性頭痛は噛みしめ・喰いしばりや歯ぎしりに端を発する場合が非常に多いというのです。
りょうきデンタルオフィスは、千代田区九段にある歯科医院。全身の健康をしっかり維持しつつ、一生の間の総医療費をできるだけ安く抑える。そのことに貢献できる歯科治療が、ベストな歯科治療だとのポリシー・方針で、一般の歯科治療はもちろん偏頭痛の治療にも力を入れている歯科医院です。
ーーなぜ歯科医という立場から頭痛治療にたどり着いたのでしょうか?
「まず、最初にきちんと分けて考えなければいけない点があって、それは急性の頭痛つまりクモ膜下出血とか脳腫瘍などの、命にかかわる、治療に一刻を争う病気があるということです。激しい頭痛があったとき誰でも、もしやこれらの病気ではと心配してMRI等の検査を受けたりするんですが、当然ですよね。
しかし厳密に調べてもらっても何の異常も発見されない、それなのに頭痛はしょっちゅう襲(おそ)ってくる。私が申し上げてるのは、こういう偏頭痛とか緊張型頭痛と呼ばれている慢性頭痛の場合なんです。
ちょうど18年前の今頃、ある顎関節症の患者さんの治療をマウスピースを使ってやっていたとき、たまたま重度の頭痛持ちでもあったこの患者さんの、その頭痛のほうが先に、急速に消えていったんです。何だろう、これは?と。」
ーーそれは思わぬかたちで?
「ええ、マウスピースの調整を、通常とはかなり変わったやり方ではやってみたのですけどね。あくまで顎関節症を治そうとしていた立場からは、思わぬ展開でした。」
ーー変わったやり方とは?
「噛みしめ喰いしばりの力を、徹底して消すようなカスタマイジングによってです。」
ーーもっと具体的に言うと、どういうことでしょう?
「人の噛みしめ方というのは、主としてどの歯に、どんな方向や角度で、どれくらいの力を入れるのか、その人その人によって当然違います。そんな余計な力が入らないようなカタチに患者さんごとにマウスピースをちょっとずつ作り変えていくんです。
なので仕上がりは千差万別、どころではない"万差億別"ですね。」
ーー何か参考にした専門書とか、習った師匠の先生とかは?
「学生時代も歯科医になってからも誰からも教わってないですし、本でも読んだことはありません。」
ーー完全にオリジナルな方法であると?
「はい。あと すべて手作りで作っています。
七、八年前に、そうかこれなんだと納得するまで、ああでもないこうでもないと、さんざん試行錯誤を繰り返しましたが。」
ーーでも頭痛があるからといって歯科に行こうとは普通しませんよね?
「もちろんです。だから患者さんの噛み合わせ方を診(み)て『おや ひょっとして』とお尋ねすると『頭痛ですか?よくあります』と。
「そうやって症例が増えていった感じですね。」
ーーこれまでどれくらいの?
「600例弱です。」
ーーいったいどの程度の治癒率でしょうか?
「それはうちのホームページをご覧になっていただくとして(笑)
しかし、噛みしめ喰いしばりを絶え間なくやっている人が本当に増えてきたというのは強い実感としてありますね。いまや国民病と言っていいのでは、と思うくらいに。」
ーーなぜ増えてきたのでしょう?
「おそらくスマホやパソコン無しではまるで一日が成り立たない、そんな生活スタイルになったからではと考えています。小さな文字を目で追うために首から上が固定されやすく、噛みしめ喰いしばりを無意識のうちにやり続け、側頭筋(ソクトウキン)という頭部を広く覆(おお)っている筋肉の過緊張から頭痛へと繋(つな)がってゆくと。
昨今のテレワークもこの状況にますます拍車をかけているかもしれません。」
ーーここで具体的にお聞きしますが、どれくらいの治療期間がかかるものでしょうか?
「そうですね、具体的な例でお話ししますと、たとえば30代の女性で仕事もバリバリこなしているけれど ひどい頭痛持ちの方が、3~5回の治療回数でめざましい改善があった、そんな例・患者さんの声はよくお聞きします。
一般的には、患者さん個々の噛みしめ喰いしばりの、力の強さや心理的な根ざし方のレベルにもよるものですから、あくまで個人差はありますが。」
ーー最後に、頭痛に日々悩んでいる患者さんへ向けたメッセージをお願いいたします。
「はい。これだけ医療技術が発達し珍しい難病とかの治療が進歩した現在でも、まったくありふれた病態である慢性的な頭痛には、鎮痛薬くらいしか今だに救いの手がありません。市販のクスリを1錠飲んで少し横になればラクになるという程度の人はまだしも、学校に行けないとか 仕事ができないとか 日常生活すら普通に送れない、そんな重度のレベルの頭痛持ちの方は、ご自分の噛みしめ喰いしばりを一度疑い、そこを起点にした解決法を求めてみられてはいかがでしょうか。」
無意識下の噛みしめ喰いしばりによる、頭部の筋肉への過度の負担が慢性頭痛を引き起こす。これをハンドメイドのマウスピースにより緩和させ治療してゆくという、りょうきデンタルオフィス院長・領木治良先生。
領木院長の考え方、治療法は頭痛に苦しむ人々にとって、まさに画期的な救いの一手になるかもしれません。