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「もみじのてがみ」(作・絵:きくち ちき 出版社:小峰書店)
育児休暇中だったシゲタさまが今年3月、4年半ぶりに新刊「たべものやさん しりとりたいかい かいさいします」で復帰されました。
シゲタさまの復帰を待っていた大人の絵本ファンの方、多かったのでは。シゲタさまは、そのナンセンスなストーリー、ポップな絵、登場するキャラクター全員が白目ということで、いわゆる古典的・保守的な絵本と一線を画しつつ、ママの間からは絶大な支持を得ていた絵本作家さまでございます。
大人女子には過去の作品を是非是非検索して、チェックして頂きたい。
今回の復帰第一作は、手の凝り方がハンパございません。読めば、おわかり頂けるはずですが、最後のオチを堪能した途端、おもわず「お疲れさまでした」と、心からそのご苦労をねぎらいたくなるような、そんな凝った設定&ストーリーでございます。絵本を読んだことがなくて、「最近、絵本が大人に人気らしいけど、何か読んでみようかな」と思っている大人女子には、必見でございます。
「たべものやさん しりとりたいかい かいさいします」(作:シゲタサヤカ 出版社:白泉社)
大人に大人気のふたりの絵本作家のコラボ絵本でございます。お二人の共通点は、画家としても大活躍されている点、挿絵、挿画も数々手掛けております。絵が素敵なだけではございません。ストーリーが深い。大人に刺さる作品ばかりでございます。で、どんなコラボかと申しますと……。
ふたりの作家が互いに文と絵を担当した絵本(2冊)なのでございます。つまり、一冊は「文:Aさん 絵:Bさん」。もう一冊が「文:Bさん 絵:Aさん」になっているのでございます。だぶん、かつてない試み、業界初ではないかと。さらに、内容も素敵にリンクしております。まさに“大人が楽しめる総合芸術”ではないかと。アートや文芸にうるさい大人の方に是非、体験して頂きたい2冊でございます。
「とおいまちのこと」(作:植田真 絵:nakaban 出版社:佼成出版社)
「みなとまちから」(作:nakaban 絵:植田真 出版社:佼成出版社)
先日、お笑いコンビ“ジャルジャル” の福徳秀介さまが絵本作家デビューし、「なかよしっぱな」(小学館)を出されました。お笑い芸人のみなさまの絵本参入も相次いでいますが、漫画家のみなさまの参入も相次いでおります。なかでも今年話題になったのが、ギャグ漫画家の藤岡拓太郎さまでございます。書店で若いカップルが「これ、面白くない?」と仲良くこの絵本を開いているシーンを何度も見かけました。
藤岡拓太郎さまといえば、昨年10月に発売されたチャットモンチーのベストアルバムの発売記念でのコラボも話題になっておりましたが、ずっと絵本を描きたかったそうでございます。長新太さまのファンとのこと。シンプルな繰り返しが面白いナンセンス絵本でございます。人間の本能に訴えかけてくる“笑い”でございます。子供から大人までもれなく笑える作品でございます。数年前に話題になりましたお笑い芸人の“世界のナベアツ”さまの「3の倍数と3が付く数字のときだけアホになる」に近いかもしれません。
是非、こちらも大人の方にご体験頂ければと存じます。
「たぷの里」(作:藤岡 拓太郎 出版社:ナナロク社)
そろそろ、お時間となりました。
最後に二つだけ。小生も大好きだった絵本作家の上野紀子さま、谷内こうたさまが今年亡くなられました。ご冥福をお祈り申し上げます。みなさん子供の頃、きっと読んだことのある絵本の作家さまでございます。
年末年始、だまされたと思って大人絵本を手に取ってみてはいかがでございましょう。2020年が「大人絵本」との出会いの年になるかもでございます。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)