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まず、タイトルからして、金子文子って何者?朴烈って誰?ってなりますよね?
しかも本作は日本を舞台にした韓国映画なんです。金子文子は日本人なんですけど、朴烈も本作を観れば、日本に関わりの深い人物だという事が解ります。気になりますよね?
そもそも、本作は、2017年に韓国で公開済み。1週間で100万人を超える大ヒットしたんですが、日本では映画祭で上映されたっきりでした。この度、やっと一般公開になるんです。
舞台は1923年、大正時代の日本。その頃の日本は外国人への差別が酷い時代でした。そんな中、日本に住む外国人活動家のグループがいるんです。そこのリーダーが朴烈(パクヨル)。 物語は朴と近所の日本人・金子文子が出会う所からスタート。
文子は朴に一目惚れ。冒頭は甘いラブ・ストーリーなんですよ。朴の活動を手伝ったり、同棲し始めたり。
そんなタイミングで当然、関東大震災が起きるんです。そこから話は急展開。
朝鮮人を一掃したい警察は「不貞朝鮮人が井戸に毒を流した」とデマを自己流出。その大義名分を理由に朝鮮人虐殺事件が発生。その事件隠蔽の為、朴や文子などグループメンバーが逮捕されてしまう事態に。世に言う所の"関東大震災朝鮮人虐殺事件"へ巻き込まれていく訳です。
前半での2人のドラマチックな共同生活が微笑ましい分、後半の離ればなれな獄中生活は切ないです。そんな中でも、看守や警察組織へのジョークめいた態度は痛快。韓国映画によくある1本の中で爆笑から号泣まで連れてく振り幅の広さは圧巻。
アナーキストと自称するには、やたらノーテンキな活動家グループたちや、完全悪として描かれる単純な警察組織など、史実の疑わしい描写がプロパガンダ的ではあるものの、2人の純愛に涙。
政治色が強くとも、どこまでも明るい主人公たちのユーモラスさに重くなり過ぎない演出が見易さをキープ。
毎度、"いい顔"が揃う韓国映画。本作も例に漏れず、悪徳内務大臣を演じるのは、『お嬢さん』などで謎の富豪を演じたキム・インウ。本作でも、笑顔だけど目だけ笑っていない怪しい表情が炸裂。もはやサイコパスにしか見えない怖さ。
また、当時の日本の再現度や美術なども力が入っていて、特に関東大震災シーンは大きな震災を経験した今だから伝わってくるリアルさがあります。
歴史的事実を知らなくとも理解できる構成になっており、むしろ、歴史勉強の入門編にはうってつけ。本作を観賞後、日本史の勉強へ繋げて頂きたい一本になっております。
映画『金子文子と朴烈(パクヨル)』は2月16日より公開になります。
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ギボ・ログ★★★☆☆(星3つ)