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「風にのってきたメアリー・ポピンズ」(作:P.L.トラヴァース 訳:林容吉
出版社:岩波書店)
そう、「映画はメリー」、「小説はメアリー」なのでございます。主人公ポピンズの性格も少し違います。原作小説のメアリー・ポピンズは、子供たちに対してしつけが厳しく、少々怖いキャラなのでございます。ただ、子供達から嫌われているわけではございません。さらに、映画ではバンクス家の子供はジェインとマイケルの2人の設定ですが(続編では3人になっております)、原作小説では、姉弟以外に双子の姉妹がおります。
さらに、映画と原作の間には、こんなエピソードも…
パメラ・L・トラヴァースさまは映画化を嫌い、映画化を承諾した際も、脚本のアドバイザーとして映画に口を出す権利を要求。「アニメシーンを作らない」「楽しいミュージカル映画にしない」などの条件もだし、やっとディズニーによる映画化が実現いたしました。説得に14年もかかったとか…。
そのあげく、プレミア上映を観たトラヴァースさまは、あまりのひどい仕上がりに上映の間じゅう泣きどおしだったとか。もちろん、その後の続編企画は許さなかったそうでございます。今回の続編公開には、こんな黒歴史もあったのでございます。
そして、その「メアリー・ポピンズ」と、去年、初の実写映画が公開になった「クマのプーさん」の関係でございます。もちろん、映画はどちらもディズニーでございます。ですが、それだけではございません。
実は原作小説の挿絵の担当が親子なのでございます。「メアリー・ポピンズ」シリーズの挿絵を担当していたメアリー・シェパードさまの父親が、「クマのプーさん」の挿絵を担当されていたE.H.シェパードさまなのでございます。
ちなみに、メアリー・ポピンズの仕事の依頼は最初、父親のE.H.シェパードさまにきておりました。しかし、父親が多忙で、その代役に娘のメアリー・シェパードさまが抜擢されたのでございます。そう、シェパード家は、父、娘と2代にわたり、イギリスの児童文学に多大な功績を残されているのでございます。
是非、「メアリー・ポピンズ」と「クマのプーさん」の挿絵を見比べてくださいませ。ちなみに、2月9日から4月14日まで、東京渋谷の「Bunkamura ザ・ミュージアム」で、『クマのプーさん展』も開催中でございます。こちらでは、父親のE.H.シェパードさまの貴重な原画が存分にお楽しみ頂けます。
いよいよ明日開幕!プーさんの世界がいっぱいにひろがった展示も完成したよ。みなさんも、はやく遊びにきてね。#プーさん#明日開幕#Bunkamurapic.twitter.com/Ln19lZZyTz
— クマのプーさん展 【公式】 (@wp2019jp) 2019年2月8日
そしてさらに…
原作「メアリー・ポピンズ」が映画化される経緯、制作秘話を描いた映画もDVDになっております。タイトルは、『ウォルト・ディズニーの約束』。主演はトム・ハンクスさま、パメラ・L・トラヴァース役は、エマ・トンプソンさまが演じられております。興味のある方は、こちらも是非。
(文:絵本トレンドライター N田N昌)