『家呑みよりも、気になる町で独り呑み』今回は<新橋烏森口>に繰り出します。東京で気温40度を記録したこの夏。土用のうなぎだけじゃとてもじゃないけど猛暑を乗り切れそうにないので美味しい肉を肴にスタミナチャージ!

この日も35度の猛暑でしたが、サラリーマン天国新橋は人、人、人。働き方改革の影響か、景気回復の証か、酒場を目指す人たちの熱気が凄い。

ランドマークは『ニュー新橋ビル』病院から風俗店まで入居する「小さな町」は昭和レトロそのもの。でも、老朽化・耐震問題などで、そのうち取り壊しになるそうです。(都が「東京遺産」として保存する価値があるのになぁ…)

駅前には烏森口の由来でもある「新橋烏森神社」があります。参道にはシブイ店が軒を連ねますが、今宵の独り呑みは別の場所。

パチンコ店の横の路地に入ると、そこは食の迷宮。待ち受ける名店・老舗に目もくれず、突き進むこと数分。目的の店「とみたや」に到着。知る人ぞ知る「すき焼き」が人気の居酒屋さんです。

年間100日以上外食するプロデューサーの紹介だったので、期待はしていましたが、感動的な名店でした。

最初の驚きは「枝豆」…たかが「枝豆」と言うなかれ。これが本当に美味いのだ。他の店とはちょっと違う口当たりで塩は控えめ。しかも、房の両端をカットしてあるので超食べやすい。この感激をお店の方に伝えると、「わかります!?産毛を取る作業とか、すごい手間をかけているんです。豆にもこだわっているんですよ」と嬉しそうに教えてくれた。

いきなり「本気」を見せつけられたが、次の「ポテトサラダ」も凄かった。今やコショウやマスタードを効かせたり、ベーコンやハムがたっぷり入ったタイプが主流だが、このポテサラはじゃがいもの味わいをストレートにいかしている。

かつて「アメトーーーク」のポテトサラダ芸人の回で、ケンドーコバヤシさんが「ポテサラは高い料金がとれないのに手間がかかる。だからポテサラが美味しい店は他の料理も美味しい」とを言っていたが、その通りの展開に。

白神山地の水で仕込んだ日本酒を一口呑んだところで、女将さんから「だし巻き卵が出来ました。切り分けると空気が抜けてしまうので、その前にちょっと見て下さい」とのお声がけ。見るとパンパンに膨らんだ黄色い塊が…まるで洋菓子のような佇まい。(カウンター席の特権です)

ふわふわの食感にニヤニヤしてしまう。サンドの伊達さんなら「このだし巻き卵は空気なんでカロリーゼロです」と言うに違いない。

〆張鶴の限定品が品切れ。ガックリしていたら「同じ値段で結構です」と、凄い日本酒を出してくれた。その名も「山本(Pure Black)」。あまりの旨さに口から出たのは「えっ」という一言。(詳細はラベルを参照下さい)

と、ここで「お席の移動を」と誘われ、少し離れたテーブル席へ。「とみたや」さんでは、スタッフがすき焼をていねいに作ってくれるんです。

圧巻はすき焼きの玉子の準備。白身をやさしく泡立て、黄身とからめていく…。

こうすると1つのタマゴで最後まで食べきれるため、どんどん旨味が加わり、美味しくなるそうです。(なんという細やかな気遣い)

火の通った極上の肉をあのタマゴにからめて食べると…うぅ生きてて良かった(涙)特選ロースを先に食し、脂が割り下ににじみ出たところで野菜を投入。ネギやシイタケを堪能した後は、THIS IS 牛肉…特選赤身の登場。肉本来の旨味を味わうという流れに感服。

聞けば女将さんのご実家が三重県のお肉屋さん。肉への愛情はすさまじく、肉を最良の状態で食べさせる為には労を惜しみません。ももと同店は虎ノ門の高級店で、新橋移転を機に味はそのまま、値段は抑えめにしたそうです。(だから料理のコスパが抜群なのか!)

美味しさと行き届いたサービスに感動しっぱなし。店の女性スタッフにお礼を言うと、「私も“とみたや”の味に感動して、看護師を辞めてここで働くようになったんです」という。古めかしい雑居ビルの2階にこんな名店があるなんて、さすがは新橋。奥深い大人の街です。

【今回のおすすめポイント】

▶店舗力:☆☆☆☆☆

▶商品力:☆☆☆☆☆

▶サービス力:☆☆☆☆☆

 

「とみたや」

東京都港区新橋4-15-1 岩崎産業ビル 

03-3433-2847

営業:月~金 17時~23時

定休日:土曜・日曜・祝日

※10名様以上

by Hot-Dog PRESS(バイホットドッグプレス) 2016-03-25 発売号
Fujisan.co.jpより
情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 【東京☆今夜はここで独り呑み】 ~新橋烏森口 コスパ抜群!美人女将の牛肉愛~