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衆院選挙を前に政界は混沌としております。民進党の解体、さらに「立憲民主党」、「希望の党」の旗揚げ。「希望の党」の誕生により保守勢力が一挙巨大化、「保守二大政党」などと言われております。
選挙で当選者を出すための新党の乱立、……日本の民主主義は大丈夫なのでしょうか?そんなことを考えてしまう今日この頃でございます。
そんななか、注目を集めている絵本があるのをご存じでしょうか?絵本と侮ることなかれ!民主主義のあり方を問う絵本でございます!
絵本の帯には…
「緊急復刊!!」「数の理論は民主主義じゃない!!」「フェイズブック、ツイッター、TVで大反響!」などの文字が躍っております。さらに、文中の登場する台詞がゴイスーでございます。
「そうだよな。みんしゅしゅぎは、いいことをみんなできめるんだよな。それをまちがると、かずがおおいやつが、かってにいばったり、わるいことをしだすんだよ」。
さらに!
「かずがおおかったら、なんでもやっていいなんて、いったいだれがきめたんだ」
こちら、最近書かれた絵本ではございません。モリカケ問題が発覚するはるか前、30年以上前に出版された絵本でございます。さらに、この会話、遊び場である広場(空き地)の使い方を話し合っている子供たちの会話の一部なのでございます。
いったいこの絵本の正体は…
「こどものとうひょうおとなのせんきょ」(作:かこ さとし)
初版は1983年。一度廃刊になっていたものが、選挙権年齢引き下げになった去年、緊急復刊された絵本でございます。稀代の名著と言われていた絵本でございます。内容は、小さな広場の使い方を巡って争いが絶えない子供たちが、「それなら投票で広場の使い方を決めよう」という物語。絵本の中には33年前の当時の選挙のシーンも出てまいります。その辺も楽しみどころでございます。
ちなみに作者は、1956年に絵本作家デビュー、現在91歳。年間何冊も絵本を出す現役バリバリの人気作家、かこさとし様でございます。昨年、生誕90年、今年、代表作「だるまちゃんシリーズ」が誕生50周年ということで、様々なところで特集されている注目の絵本作家でございます。
かこ様は誰もが知る国民的絵本作家。累計220万部を超える「からすのパンやさん」、さらに180万部を超える「だるまちゃんとてんぐちゃん」シリーズでも有名でございます。
「こどものとうひょう おとなのせんきょ」は、そんな巨匠の作品なのでございます。この絵本、「あとがき」もすばらしいのでございます。下記のようなかこさとし様の重たい一言で締められております。
『…民主主義のヌケガラと後世から笑われないために、私たち自身が反省したいと思っております。』
何度も言いますが、これ、今の絵本ではございません。30年以上前に出版された絵本でございます。民主主義とは何か?投票日前に是非読んで頂きたい大人絵本でございます。「親子で読んで」というレベルではございません。大人に読んで頂きたい!
そんな大人絵本でございます。
(文:N田N昌)