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一般的な観葉植物と違って、食虫植物の一番の魅力はやはりその生態だ。
なんといっても見飽きない。そのひと言に尽きる。たとえば、ハエトリソウはトラバサミのような形で、自分が虫であれば食べられた瞬間に命の最後を実感するだろう。そんなハエトリソウの近くに、もし虫が飛んでいたとしたら、どうだろう。きっと誰もが“その瞬間”を生で見てみたいと思うんじゃないだろうか。
Youtube全盛期の今であれば、動画で見たという人は多いかもしれないが、生でその光景を見られるチャンスはなかなかない。しかもそれが家の中でちょくちょく見られるのであれば、なかなかスリリングだ。そういう意味では、たしかに普通の観葉植物では物足らないという人にとって刺激的かもしれない。
食虫植物という名前のとおり、虫を食べるのは事実だが、なにも虫を食べないと枯れてしまうというわけではない。水や日の光があれば十分に生きられる。なぜなら、虫を補食するようになったのは進化の結果だからだ。つまり、置かれた環境のなかで十分に水も太陽も得られなかったときの選択肢として“補食”を選んだのだ。
実際、ハエトリソウは口を閉じて虫を捕食するが、それには相当の体力を消費するという。捕食できず空振りを繰り返した場合、枯れることもあり、まさに諸刃の剣のような生き方をしているのだ。こうした背景を知っておくだけでも食虫植物を買う側としては、かなり感情移入ができる。
たとえば、つらい現実、厳しい環境で必死に働き、心が折れそうなときでも「うちのハエトリソウだって頑張っている……私も頑張ろう!」。そう思うことができれば、少なからず心の支えになるかもしれない。
ここまで読んで少しは興味が出てきた人もいるだろう。筆者も調べていく過程で興味が出てきた。きっと家の中でマリオのパックンフラワーを育てるようなイメージだ。観葉植物を育てた経験はないが、必死に生きようとしている様子が伺えるだけでも、なんとか枯らさずに育ててあげたいという愛着が沸くだろう。では、いったい食虫植物はどこで手に入るのか。
最近ではその人気から、ホームセンターや園芸店などで売られているという。素人でも育てやすいタイプはどんな種類だろうか。極端にまとめると、「ハエトリソウ>ウツボカズラ&モウセンゴケ」のような順番だ。
いずれも亜熱帯地域が生息地なため、十分な水やりと日当たりで育つようだが、とくに夏場は日差しが強すぎると葉っぱが枯れたり、土が乾燥して枯れてしまう原因にもなるため、育てるならば残暑を感じさせる今時がちょうどいいようだ。ハエトリソウは受け皿に水を張っておく「腰水」という手法であれば、土を乾燥させずに済むから手軽だとか。これならば素人でも比較的育てやすいかもしれない。
今回はメジャーな3種類の食虫植物を紹介したが、これ以外にも種類はいろいろあるので、自分のお気に入りの一鉢を探してみるといいだろう。ちなみに食虫植物にコバエなどを食べてもらう目的で購入するのは辞めたほうがいい。なぜなら食虫植物の種類によっては、虫を呼び寄せる甘い匂いを放つからだ。虫退治のつもりが余計な虫をおびきよせる結果になってしまうのは残念だろう。