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あるのでございます。それも超アートな大人絵本でございます。
「本の子」(作:オリヴァー・ジェファーズ サム・ウィンストン 訳:柴田元幸)
去年の秋に出版された「A Child of Books」の翻訳本でございます。こちら、ボローニャのラガッツィ賞を受賞、アート絵本としてのクオリティの高さもお墨付きでございます。日本では今年6月に翻訳本が出版されております。
どんな絵本かというと…。大量の細密文字が一つの絵になり、それが1冊の本になっている、そんな絵本でございます。
さらに、この絵本の凄いところは、その細密文字が全て名作児童文学の文章で出来ているところでございます。名作児童文学の中の文章や台詞、単語が切り貼りされて絵本の中の絵を形作っているのでございます。
その児童文学の数は40作以上。例えば、波打つ海は「ドリトル先生航海記」、くねくね道は「ふしぎの国のアリス」の中に登場する文章・単語で描かれております。ちなみに、「ふしぎの国のアリス」の初版本の中のネズミのストーリーの部分も、テキスト(単語)が尻尾の形で表現されております。これはきっと、作者の不思議な国のアリスに対するオマージュではないかと…。
そのほか、ガリヴァー旅行記、フランケンシュタインなどなど、みなさんご存じの児童文学が総出演しております。
そうそう、大切なことを忘れておりました。こちらの絵本、日本語訳版では、絵に使われている細密文字(名作児童文学のテキスト)も、日本語に翻訳されているのでございます。
例えば、怪獣が登場するシーンの怪獣の絵の中には、「忌み嫌っている」「嫌悪」「痛ましい」といった暗い言葉が並んでいるのでございます。もちろん、こちらも名作児童文学の中の文章、単語でございます。
翻訳を担当された柴田様が、それぞれの児童文学の絵本に登場するパート、及びその前後を翻訳。その柴田様の翻訳に出てくる文章、単語をデザイナーが原書に忠実に切り貼りする、そんな膨大な手間がかかっているのでございます。
そう、この「本の子」は、ただの翻訳本ではないのでございます。
それだけではございません!柴田様は言わずと知れた翻訳界のスーパースターでございます。ポール・オースターをはじめとする現代アメリカ文学の名訳で知られる翻訳の第一人者。本好きな方ならおわかりになると思いますが、超贅沢な翻訳絵本なのでございます。本好き女子へのプレゼントには最高のアート絵本でございます。
プレゼントする際には、こんな一言を…
「実は、この絵本の見返し(表紙をめくってすぐの頁)は、児童文学のタイトルと作者名で埋め尽くされているんだけど、超有名なアノ作品がなぜか載ってないんだよね…。アノ作品って何だと思う?」
正解は「クマのプーさん」でございます。1926年、イギリスの児童文学作家、アラン・アレクサンダー・ミルン様が発表された作品でございます。ちなみに、この作品は息子のクリストファー君のために書かれたものだとか。
芸術の秋、読書の秋、ちょっと変わったアート絵本と出会ってみませんか。プレゼントしてみませんか。
(文・N田N昌)