- 週間ランキング
世界最速のソーラーマシンはどれだ-。
今年10月にオーストラリアで開催されるソーラーカーの世界大会、「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」。工学院大学(新宿/八王子)の学生プロジェクト「工学院大学ソーラーチーム」は3度目の世界大会に挑戦します。6月29日、新宿キャンパスで新車両と応援大使の発表が行われました。
「2017ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ」は、約5日間でオーストラリア北部であるダーウィンから南部のアデレードまで、約3,000kmをソーラーカーで走破します。砂漠を縦断する過酷な環境下の中を工学院大は、多くの企業や団体からサポートを受け、学生自らが設計・製作したMade in 工学院大学のマシンで挑むのです。
工学院大が参加するのは「チャレンジャークラス」。タイヤ4輪、ドライバー1名という条件で、目的地までの順位を競います。つまりスピード重視の設計ということ。
今回、満を持して発表された新車両の名称は「Wing」です。自然界との共存と若きエンジニアが将来に羽ばたくことを意味して名付けられました。
コンパクトな流線型のフォルムが印象的で、羽部分にあたるソーラーパネルには3D曲面太陽電池とシリコン太陽電池4㎡が搭載されています。
テンションMAXで話す足立さん
応援大使に選ばれたのは人気の若手女優、足立梨花さん。ソーラーチームの濱根洋人監督は、足立さんを選定した理由を「まさに勝利の女神という感じ。ソーラーカーやそれを生み出す技術を広く伝えてくれるぴったりの人物」と話していました。
濱根監督と握手を交わす足立さん
足立さんは「すごく嬉しい。同じ世代の人が次世代の技術で世界のトップを獲るために頑張っている。私ももっと頑張らなきゃと思いました」としていました。
新車両を目にした足立さんは「イメージと違いました。もっとスポーツカーみたいなのかと。可愛らしいフォルムだけど速そう」と感想を述べ、前回大会では130km/hを記録したことを知り、驚きの表情でした。
また、同大学名誉博士で2010年にノーベル化学賞を受賞して時の人となった根岸英一氏からは、ビデオメッセージが届きました。「ソーラーチームの斬新な活動は素晴らしい。チャレンジを諦めないで上を目指せば、その先のゴールに行ける気がします」とエールを送っていました。
新車両発表のプレゼンを行う中川キャプテン
トークショーでは足立さん、濱根監督のほか、300人以上のチームスタッフを取りまとめる学生キャプテンの中川拓朗さんと、工学院大初の女性ドライバーとなった石川はるかさんも登壇。
オーストラリアの砂漠は42℃ほど。当然車内にクーラーなどありません。石川さんは「汗もかくし体重も減ります。今は自転車トレーニングで鍛えています」と話しました。それを聞いた足立さんは「運転するだけじゃなく自分自身も鍛えなきゃいけないんですね」と、感心していました。
もうすぐ七夕ということで、壇上には笹の葉とそれぞれの願いを込めた短冊が登場しました。足立さんはシンプルに「優勝できますように」と綴りました。個人的な目標を聞かれると、「事務所の先輩である石原さとみさんの作品に対する思いとかがすごいと思いました。女優として憧れています」とし「昔から好きなB’zの主題歌の作品で主演ができれば」と語っていました。
濱根監督は「無事にレースが終わりますように」、中川キャプテンが「世界優勝」だったのに対し、石川さんは「単位が欲しい!」と大学生の切実な思いを吐露し、笑いを誘っていました。
初の女性ドライバーとなった石川さん
当日の記者発表では、多くのサポート企業も駆けつけました。帝人株式会社の内川哲茂グループ執行役員は、サポート企業を代表して「『Wing』は多くのアイデアが詰め込まれ、学生、協力企業・団体のテクノロジーの粋を集めたマシン。私たちも成長させてもらいました。万全の体調で優勝を勝ち取って欲しい」とあいさつ。
帝人グループは同チームが設立する2009年以前から、ソーラーカーの製造ノウハウなどの全面的なバックアップをしていました。今回は例年通りマシンの軽量化を図る炭素繊維「テナックス®」やポリカーボネート樹脂「パンライト®」などを提供。また、初めての試みとして、吸汗速乾に優れたPTT繊維のシャツやレーシンググローブといったウェア関連も。スタッフの“快適”もサポートしていきます。
他にも世界トップクラスの補聴器「signia」のメーカー、シバントス株式会社は先端研究に励む学生が開発と設計、製造する工学院大学の「ソーラープロジェクト」に共感し応援することを発表しました。
マシンの足回りは株式会社ブリヂストンががっちりサポート。次世代低燃費タイヤ「ologic®」は、今までになかった狭幅・大径化を実現させ、低燃費でありながら安全性を両立させています。
同チームは2015世界大会クルーザークラスで準優勝を果たしています。この時のタイムは、クラス最速を記録しました。クルーザークラスは快適な乗用車思想で設計したのに対し、今年はスピードに注力したレーシングカー思想の設計。多くの人や企業の技術と思いを集めた“羽”が世界最速を目指すのです。