一般社団法人日本サステナブルビジネス機構(JSBO)は、企業のSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを評価・認証する「サステナブルビジネス認証制度(JSB認証)」を提供している。

6月10日(火)、JSBOは「JSBO サステナビリティ・フォーラム 2025」を開催し、SDGs達成における「認証」の役割に焦点を当て、その可能性について多角的な議論が行われた。フォーラムでは、JSB認証が愛知県豊田市と認証連携を開始することが発表された。

近年、SDGs達成に向けた企業の取り組みが加速する一方で、その実効性を評価する仕組みへのニーズが高まっている。消費者の間でも、企業の取り組みを客観的に評価する「認証」への関心が高まっており、認証取得の有無が製品選択に影響を与えるケースも増加している。

そのため、SDGsへの取り組みは企業の信頼格差に繋がり、客観的評価を得られる“認証”という基準は、対応企業の明暗を分けると言える。

そうした状況の中、JSBOは「サステナブルビジネス認証制度(JSB認証)」を中心に、これまでさまざまな認証制度に関する情報提供や普及活動を展開してきた。同フォーラムでは、有識者による講演やパネルディスカッションを通じて、認証制度の最新動向や具体的な活用事例を紹介し、企業のSDGs達成に向けた取り組みへの支援が行われた。

フォーラムにて、蟹江憲史氏(JSBO 理事長、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授)は「持続可能な社会への変革における認証の役割」と題された基調講演を行った。

講演の中で、蟹江氏はSDGsにおいて必要とされる行動として3つの項目を挙げた。一つは「見える化(測る):グローバルガバナンスの求めるところ」で、CO2削減を計測できるアプリ「炭削くん」を紹介した。

次は「行動をとる」必要があるとし、なんらかの最初の行動を行い、次のステップがわかる、いろいろなステップを踏むことによって課題が見えてくる、とした。

最後は「仲間を広げ行動を広げる」で、サプライチェーンの変革、基準を作り認証する、課題間のシナジー増大やトレードオフの解消に繋がる、とした。

さらに、JSBOが展開している「サステナブルビジネス認証制度(JSB認証)」について、蟹江氏は「JSBOではブロンズ、シルバー、ゴールドの3段階に分けています。まずは、自分たちで何をやっているのか、その行動を深められる点はどこにあるのかというのを認めていく、それがこの認証制度の一番大事な点です。また、SDGsへの取り組みはサプライチェーン全体で行っていくことが重要です。SDGsのどういった目標、ターゲットをカバーしているかという全てをカバーできるように、1年の時間をかけて検討しました。基準の正確さ、根拠が正しいことが非常に大切だと思っているので、しっかりと基準を作った上で、その基準に基づいた認証制度を進めています」と説明した。

今回のフォーラムで、愛知県豊田市とJSBの認証連携が開始することが発表され、泉川雅子氏(豊田市企画政策部未来都市推進課 副主幹)は、「地域レベルでのSDGsへの取組」と題された講演を行った。

泉川氏は、豊田市のSDGs実施に向けた取り組みの歩みとして、2015年に行われた「持続可能な都市に関するハイレベルシンポジウム」、2018年の「SDGs推進国際シンポジウム」、2023年には「SDGs認証制度」を開始したことなどを時系列に沿って紹介した。

豊田市は、以前から「とよたSDGsパートナー」という登録制度や「豊田市SDGs認証制度」などによって、地域レベルでのSDGsへの取り組みを進めている。豊田市は今回、新たにJSBO認証制度との連携によって、それぞれの制度の強みを生かしつつ、お互いの認証制度にメリットがあるような形での連携を実現していく。

泉川氏はJSBOの制度は、研究者や有識者による学術性・専門性の高い制度であること、豊田市の制度と比較して評価項目が多く、基準設定も細分化されている点などを特徴として挙げた。

一方、豊田市の制度は、地域に根差した制度であり、地元企業へのメリットを提供できる、「環境」「ガバナンス」「社会」に加えて「地域貢献」も評価項目としていることを特徴と説明した。

フォーラムの後半は、蟹江氏を含めて6名が登壇しパネルディスカッションを行った。

「SDGsの達成へ向けた日本の課題と認証制度」と題されたこのパネルディスカッションでは、中小企業のSDGsの取り組みの現状と課題、JSB認証制度の意義とメリットについての議論が展開された。

情報提供元: マガジンサミット
記事名:「 SDGsの取り組みを評価・認証するJSB認証が愛知県豊田市と認証連携スタート!それぞれの制度の強みを生かす連携へ